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米FTCと欧州当局、グーグルをネット閲覧追跡問題で調査

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 米国と欧州連合(EU)の規制当局は、米検索大手グーグルがアップルのネット閲覧ブラウザー、Safari(サファリ)のプライバシー機能の抜け穴を利用し、サファリユーザーの閲覧情報を収集していたことに関して現在、調査を進めている。事情に詳しい関係者が明らかにした。

 グーグルは先月、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道を受けて、抜け穴を利用した情報収集は止めている。

Getty Images

サファリ利用者の閲覧情報収集で欧米当局はグーグルを調査中

 調査しているのは米連邦・州政府の規制当局と、フランス主導のEU規制当局で、調査結果次第では、グーグルは数年に及ぶであろう法的闘争を抱えることになり、最終的に重い罰金が科せられる可能性が出てきた。

 WSJは2月、グーグルが特別なコードを使ってサファリのプライバシー機能をすり抜け、トラッキング(追跡)に通常使われるクッキーと呼ばれるファイルをユーザーの端末にインストールする手法で、ユーザーの情報を収集していた事実を報道した。

 グーグルの報道担当者は「もちろん我々は調査に協力する」としたうえで、「重要なのは、我々はこのような事態が起こるとは思っていなかったことと、サファリ・ブラウザーから広告閲覧追跡用クッキーをすでに取り除いたことだ」と述べた。

 米連邦取引委員会(FTC)は2011年にグーグルとプライバシー侵害訴訟で和解し、グーグルは同社のプライバシーポリシーに関して利用者に「説明を誤る」ことはしないと約束したが、事情に詳しい関係者らによると、FTCはこのときの和解内容に今回のグーグルの行為が違反していないかどうか調査している。

 仮に和解内容に違反していた場合、1件の違反に対して1日1万6000ドル(約134万円)の罰金が科せられることになっている。ネットでは数百万人が影響を受けるため、計算方法にもよるが、いかなる罰金も急激に膨らむ可能性がある。FTCはコメントを避けた。

 関係者らによると、ニューヨークのエリック・シュナイダーマン氏やコネティカットのジョージ・ジェプセン氏を含む州検事総長の団体は、グーグルがサファリのプライバシー機能を回避していたことについても調査をしている。州検事総長は1件の違反に対して上限5000ドルの罰金を科すことができる。

 欧州ではフランスの情報処理および自由に関する国会委員会(CNIL)が、グーグルのプライバシーポリシー変更に関する欧州全域の調査をすでに行っているが、この調査に今回のサファリ回避問題を加えたと、関係者が明らかにした。CNILは昨年、グーグルの車両が地図サービス「ストリートビュー」の情報収集をしていた際に、パスワードや個人情報も収集したとして、グーグルに対し10万ユーロ(約1100万円)の罰金を科した。

 CNILはコメントの求めに応じていない。当時、グーグルは間違いを謝罪し、集めたデータを削除すると述べた。

 グーグルはほとんどの収益をオンライン広告から得ている。多くの広告会社同様、グーグルはターゲットを定めた広告を掲載するため、クッキーを使って利用者のネット閲覧行動を追跡する。

 広告主はターゲットが狭い広告に対してプレミアム(上乗せ料金)を支払う。そしてグーグルは今、ライバルのソーシャル・ネットワーキング最大手フェイスブックとこの広告料を奪い合う熾烈な争いを繰り広げている。

 グーグルは自社のソーシャル・ネットワーキング機能である「+1」のサービスを開始した昨年、いくつかの広告でサファリの抜け穴を利用してきたことを先に認めている。「+1」はフェイスブックの「いいね!」ボタンと同様、クリックするとユーザーの友人らにその広告が有益であることを知らせるものだ。ただグーグルは、その後はサファリユーザーの追跡はしていないとしている。

 FTCは昨年、グーグルの別のソーシャル・ネットワーキング機能「Buzz」の利用者が、最も頻繁にメールを送る相手の情報が他の人に見られてしまう事実を知らされていなかったとして、グーグルが同社のプライベートポリシーに違反したと判断し、ほかの問題とも併せて訴訟を起こした。

 この民事訴訟を終結させるため、グーグルは多くの対策をとることでFTCと和解、合意内容のなかには「包括的なプライバシー・ポリシー・プログラム」の確立が含まれていた。このプライバシー保護策は外部団体が隔年で査察を行うことになっている。

 グーグルは和解時、違反容疑を認めなかった。Buzzは結局、廃止された。

 FTCは今、グーグルがこの合意内容に違反したかどうか調査している。ネット倫理向上を図る米公益団体、民主主義と技術のためのセンター(CDT)でプライバシーポリシー問題を担当するジャスティン・ブルックマン氏は「これは詐欺の明白なケースだ」と指摘する。

 しかし同氏によると、FTCがグーグルに対し、合意内容に違反したとして罰金を科すことは困難かもしれないという。グーグルが意図的に行った行為であると証明する必要があるためだ。グーグルは結果的に消費者の追跡につながったことは意図していなかったと主張している。

 アップルのブラウザー、サファリは携帯機器のブラウザーとして最も広く利用されており、グーグルがインストールしたような追跡ファイルをブロックするようデフォルトで設定されている。

 事情に詳しい関係者によると、FTCはどれだけの人が影響を受けたか情報を求めているという。FTCはグーグルに科すための罰金の規模を計算するつもりではないかとみる向きもある。

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