◆◇◆肯定側立論◆◇◆
これから肯定側立論を始めます。
はじめに定義をします。
1. 救急車とは、体調の悪くなった人や、自力で病院まで行けなくなってしまった人を
病院まで運ぶ為の車の事で、現在は各自治体のもとで無料で行われているものとする。
2. 有料化とは、救急車を利用した本人が定額の料金を請求されるものとする。
3. 利用とは、救急車を呼ぶ事を指す。
肯定側のプランは2点です。
1. 2005年9月9日から救急車を有料化する。
2. 救急車は一回の利用につき1万円とし、支払いは銀行振り込みとする。
プランを導入することによって発生するメリットは2点です。
メリットの1点目は「必要な時に確実に利用できる」です。
発生過程を説明します。
現在、救急車は必要な時に確実に利用する事のできない状況があります。
証拠資料を引用します。出典は『ABC WEBNEWSのHP』2003年6月9日(月)放送分
です。引用開始。
「こうした中で、深刻なことが起こっています。5台の救急車がすべて出払ってしまう
ケースが、月に平均8回、発生しています。「一日に2、3回、一度に車が出払うという
形があります」(指令室の隊員)。今年3月には、すべての救急車が出払っているときに
86歳の女性から「胸が締め付けられる」と通報がありました。隣の大阪市から来てもら
いましたが、現場に着くまで、23分かかってしまいました。」引用終了。
このように、現在大阪府の八尾市では、つきに8回も全ての救急車が出払ってしまってい
て、しかもそれにより実際に被害が起こっているのです。また、この問題は八尾市以外の
都市、神戸市、大分市など全国の各地で起こっています。
そのような事態が起こっている原因は、消防署への通報の中に、救急車を呼ぶ必要のない
通報があるからです。では証拠資料を2つ引用します。一つ目の資料の出典は、
「消防白書平成15年度版」です。引用開始。
「平成14年中の救急自動車による搬送人員432万9,935人のうち、死亡、重症
中等症の傷病者の割合は全体の48.6%、入院加療を必要としない軽症及びその他の
割合は51.4%となっている。」引用終了。
では2つ目の資料を引用します。出典は『神戸新聞』2004年3月4日です。引用開始。
「救急隊員のもつ大きな不満の一つは、軽症の患者の搬送依頼が多いことである。どの地
域でも、約半数の患者は入院すら必要としない軽症の人たちであった。虫刺され、擦り傷
などの軽微な外傷や便秘、下痢、かぜなど、自分で歩ける程度の軽い病気でも救急車が呼
ばれており、救急隊員の不満の種になっている。」引用開始。
資料のように、現在、通報患者の51.4%は軽症及びその他で、しかもその内容は
虫刺されやすり傷などとても軽いものです。
これからこのまま救急車が搬送を続けると、さらに事態は深刻化します。
なぜなら、これからは高齢化社会により高齢者人口が増加するからです。
国立社会保障・人口問題研究所ホームページによると、65歳以上の高齢者人口は、
2000年時点では17.4%ですが、2050年には35.7%にまで急増します。
救急車の利用は65歳以上の高齢者がとても多くいますから、これから、救急車の利用は
どんどん増えていきます。すると、今まで以上に救急車の対応が追いつかなくなりますか
ら、現状のままではとても危険です。
しかしプランを導入すればこの問題は解決できます。
なぜなら、お金がかかれば通報をやめる人たちが出てくるからです。
通報をやめる人とは、具体的には
・悪戯で呼んでいる人 ・タクシー代わりに利用している人
・軽症だと分って呼んでいる人 などです。
まず、悪戯で呼んでいる人たちはお金がかかれば当然通報をやめます。
タクシー代わりに呼んでいた人はタクシー等他の交通手段の方が安いので他の交通手段で
行きます。また、軽症だと分って呼んでいる人は、自分でも手当てができると分かってい
るので救急車を呼ばなくなります。よってメリットが発生します。
次にメリットの重要性を述べます。
現在でも、毎年救急車の利用率は増えています。つまり、このまま現状維持を続けていて
は先ほど挙げた八尾市のような例がどんどん増え続けると言うことです。これは、重症患
者の容態悪化ひどければ死亡につながりかねません。現状を維持していては危険なので
す。しかし私たちのプランは、その元凶である軽傷やタクシー代わりの人たちを無くし、
重症患者が確実に利用できる環境を確保できるため非常に効果的です。なのでこのメリッ
トは重要です。
次にメリットの2点目に移ります。
メリットの2点目は「財政圧迫回避」です。
発生過程を説明します。
現在、救急車は無料で業務を行っているため、毎年の救急の為の収入には殆ど変動は
ありません。ところが、自治体の救急搬送費は毎年かさむ一方です。
なぜならメリットの1点目で述べたように年々、救急搬送数が増えているからです。
また、将来的に高齢者が増加する為に搬送人員はもっと増えます。
救急隊一隊における一年間の維持費は約1億円です。搬送人員の増加により将来的に救急
車を増やさざるを得なくなってしまっては、出費はさらに莫大なものとなります。
すると、救急費用では出費がまかなえず、
年々借金が増加していきます。しかし、いまPを導入すればそのような事態を未然に
防ぐ事ができます。なぜなら収入が入るからです。
よってメリットが発生します。
続いてこのメリットの重要性を説明します。
自治体の借金が増加すると、他の政策に関するお金が回らなくなり、地域住民の願いを
かなえる事ができなくなります。Pによって借金の増加を防ぎ、地域住民の望む
政策にお金を使うのは地方行政を運営する上で大変重要です。
よってこのメリットは重要です。
これで肯定側立論を終わります。
◆◇◆否定側立論◆◇◆
否定側立論を改造しました。改造前の立論と改造後の立論を両方添付します。
簡単ですが変更点を。
〜M1〜
・ 「現在多くの軽症者が救急車を利用している」というような資料と、
その理由づけの資料を追加しました。
・ 心臓病についての資料を追加し、説明文を増やしました。
・ 発生過程Bを削除しました。
〜M2〜
・ ラベルを「不満の増加」から「貧困者が呼べなくなる」に変更しました。
だいたいこんな感じで改造済み。
…とはいうものの
・ 資料が多いので長くて読みきれるかどうか危うい
・ 意味が分かりづらい所がある
・ 微妙に内容がかぶってる資料がある
など問題点が多々あるのでどんどん改良してもらえれば嬉しいです。
ラベルを変更してしまった所は変更前の方がよければそちらを優先してもらってかまいま
せん。
あと、ついでに質問なんですが、貧困者(主に高齢者)について、
どんな高齢者が救急車を呼ばなくなるんですか?
例えば軽症の高齢者とか…。だれか気が向いたら教えてください。
では。長くなってすみません;;
……………………………
否定側立論
これから否定側立論を始めます。
定義は肯定側に従い、プランは現状維持とします。
肯定側のプランを導入する事によって発生するデメリットは2点です。
デメリットの1点目は「治療の遅れ」です。
発生過程を説明します。
現在、救急車は無料で勤務を行っています。
ですから、自分の症状がどんなものか判断できない場合、もしくは症状が軽そうな場合は
救急車を呼んでいます。証拠資料を引用します。出典は、杉本つよし侃(大阪大学名誉教
授)著『救急医療と市民生活』(へるす出版、1996年)p. 99です。引用開始。
「どの地域でも、約半数の患者は入院すら必要としない軽症の人たちであった。虫刺さ
れ、擦り傷などの軽微な外傷や便秘、下痢、かぜなど、自分で歩ける程度の軽い病気でも
救急車が呼ばれており、救急隊員の不満の種になっている。」引用終了。
しかし、プランを導入し救急車を有料化すると、
今までにそのような理由で救急車を呼んでいた人たちは、お金がかかる為に利用を
ためらいます。お金がかかると、利用をためらう例を挙げます。
四月から医寮費が3割負担になりましたが、実際には金額にして1000円程度しか上がって
いません。
しかし、お金が今まで以上にかかることによって、多くの人が受診を抑制しています。
資料を引用します。出典は2003年10月9日bb01News福祉医療専門紙・最新の新聞情報で
す。引用開始。
「東北保険医団体連絡会はこれほど、今年4月に導入された被用者保険本人3割負担の影響
に関する調査結果を公表した。それによると、回答者の6割が受診抑制を行っており、7割
の人が2割負担に戻すべきと考えている。(中略)連絡会は、青森・岩手・秋田・宮城・
山形・福島各県の保健医療会の会長理事長で構成される団体で、調査は今年7月から8月に
かけてアンケート方式で行われた。」引用終了。
このように、1000円程度で6割もの人が受診を抑制しているのに、肯定側のような、高額
の利用料を強いられると、救急車を呼ぶのをためらう、または呼ぶのをやめてしまう人が
出てくるのは目に見えています。
しかしこのようなためらいは非常に危険です。なぜなら一見軽症に見えても
実際は重症である病気があるからです。そのような病気とは、
・心筋梗塞 ・狭心症 ・くも膜下出血 ・脳梗塞 などのことです。
その中でも心筋梗塞を例にとって説明したいと思います。
心筋梗塞の発作前の初期症状は一見軽い物です。証拠資料を引用します。
出典は保原中央クリニックホームページの中の心筋梗塞のコーナーです。引用開始。
「前兆(この前兆の事を不安定狭心症;心筋梗塞になりやすい不安定なタイプの狭心症)
のある患者さんもいますが前兆のない患者さんの方が多いようです。また強い胸痛ではな
く圧迫感程度の患者さんもいます。胸ではなく胃の痛みとして感じられる事もあります。
吐き気や嘔吐で発症する患者さんもいます。」引用終了。
このように心筋梗塞の症状は胃の痛みや、吐き気、嘔吐などとても軽そうな物です。
現在は、先ほど証拠資料を使って述べたようにこのような軽い症状でも、人々は
救急車を呼んでいます。
しかし、肯定側のプランを導入する事により、このような一見軽症の人たちはお金がかか
るので救急車を呼ぶのを躊躇する、またはやめてしまいます。よってデメリットの1点
目、「治療の遅れ」が発生します。
つぎに、このデメリットの深刻性を述べます。
現在、心筋梗塞などの患者は初期症状の時点で救急車を呼んでいるので助かっています。
証拠資料を引用します。出典は埼玉医科大学ホームページ内の「埼玉医科大学付属病院
ニュース第21号」です。引用開始。
「最近の高機能救急車には、心室細動を治療する機器(除細動器)が備えつけられてお
り、救急救命士が、医師の指示によって加療することができます。」引用終了。
このように、救急車を呼べば、乗車している最中に発作が起こっても助かります。
しかし、プランの導入により「治療の遅れ」が発生すると、
心筋梗塞や脳卒中などの患者は死んでしまう可能性があります。
証拠資料を引用します。出典は先ほどと同じ埼玉医科大学ホームページ内の
「埼玉医科大学付属病院ニュース第21号」です。
なお、資料中の発作とは、軽い初期症状が起きた後に起こる致死的な発作の事です。
引用開始。
「心筋梗塞の治療の原則は、出来るだけ早い時期に入院し、厳重な監視下に適切な治療を
受けることです。急性心筋梗塞は発症直後に、心室細動という致死的な脈の乱れ(不整
脈)が起こりやすく、一度起こると心停止の状態となり20秒程度で意識がなくなり、3分
以内に治療を開始しなければ死に到ります。」引用終了。
さらに、現在、心臓病・狭心症の患者は約91万、脳血管疾患の患者は約137万人です
から、デメリットはとても大きな規模で発生します。
こんなにたくさんの人の命が失われかねないこのデメリットは深刻です。
ではデメリットの2点目にうつります。
デメリットの2点目は「貧困者が救急車を呼べなくなる」です。
発生過程を説明します。現在、救急車は無料です。だから、高齢者や、一人暮らしの学
生、失業者などの低所得者も救急車を呼べるのです。
事実、高齢者は、救急車通報の多くの割合を占めています。証拠資料を引用します。
出典は2002年1月15日横浜市の市長記者会見記録です。引用開始。
「そのなかで65歳以上の高齢者の搬送人員は15585人で全体の3分の1、
33.5%」引用終了。
しかし肯定側のプランを導入すると、いま資料で述べた高齢者や先ほど述べた低所得者
など、多くの人が利用料を払えない為に救急車を呼べなくなります。
実際、高齢者は現在医療費を削るほどの苦しい生活を送っています。
証拠資料を引用します。出典は全国保険医団体連合会のHPです。引用開始。
「10月より高齢者の医療費負担が改定となった。悪性腫瘍やC型肝炎などで高額な薬剤を
使用する場合や在宅医療では、月1万円を超す負担となっている。こうしたもとで、在宅
酸素療法の中断の申し出などが相次ぎ、まさに命を削る事態となっている。また、高額な
負担とならない場合でも、検査や往診を断る事例が多数生まれている。今回の制度改定
は、低所得者が多数を占める高齢者の実態を無視した過酷な改定である。」引用終了。
このように、現在高齢者はたった1万円程度の医療費ですら払えない状況にあるのです。
ですから、プランを導入し 万円というお金が救急車利用料としてかかると、
救急車を利用する事ができなくなります。よってデメリットが発生します。
次に深刻性を述べます。
高齢者などの貧困者が救急車を呼ぶ事ができなくなると、処置が遅れたり、
できなかったりしますから、傷病者にとっては危険です。また、高齢者の通報は先ほども
述べたように全通報のうちの3分の1をしめています。それに加え、通報患者の中には
そのほかの貧困者も含まれますから、このデメリットはたくさんの人々に
被害を与えるのです。よってこのデメリットは深刻です。
これで否定側立論を終わります。