第三部 導なき世界の中で…… (C.E.72年-C.E.75年)
82 再帰する時 -SEED Holder 2
「なるほど、私にそいつの治療をさせる為か」
「ええ、いきなり治療してくれっていう訳に行きませんから、スムーズに事を運ぶ為の繋ぎという奴です」
「確かに、急にやって来られても困るところだな……、おい、そいつをそこのベッドに寝かせろ」
エヴァ先生の指示に従い、イシカワ少佐と共にもう一人の救急隊員……ムゥ・ラ・フラガを治療台に押し上げ、横たえさせる。
「ラインブルグと貴様……、確か、イシカワと言ったな」
「ええ、お世話になりますよ、ドクター」
「ああ、迷惑料込みの治療代はロンド・ミナ個人に回しておくと言っておけ」
「ぷっ、ええ、わかりました」
「ふん。……よし、貴様ら、しっかりと抑えておけよ?」
そう言ったかと思うと、エヴァ先生は素早く猿轡……何故にあるのかは謎である……をフラガの口に嵌め、上半身の衣服を剥ぎ取り、手早く視診や聴診、それに触診を始めた。エヴァ先生のよく手入れされた綺麗な指先が地肌を這い回る度に、むーっ、んぐぅーっ、とフラガがうめき声を上げているが、潔いまでに無視である。
一頻りフラガを甚振るかのように弄ぶ、もとい、触診すると、エヴァ先生は一つ頷いて見せた。
「ふむ、よく鍛えてある事が幸いしたな。おそらくは肋骨に皹が入っている程度だろう」
「内臓は?」
「それはまだわからんな。とりあえずは、各種検査に回した方が良かろう。直に手配する」
「お願いします」
エヴァ先生が早くも関係先に連絡を取り始めたので、代わって俺がフラガから猿轡を取ってやる。
「どうだった、妙齢の女医さんに診察してもらった感想は?」
「お、俺としては、も、もう少し、優しく、お願い、したかった、もんだな」
「おいおい、腕のいい美人女医を紹介してやったのに、その言い草は何だ。……あ、それともお前さん、脂ぎった中年男から身体中を官能的に撫でまわされる方が良かったのか?」
「ば、馬鹿、言うなっててててておおおおおつつつつつっ」
「ほら見ろ、贅沢言うからだ」
痛みに呻くフラガが恨めしい目で俺を睨んでくるが、見えませーん。知らん顔で口笛を吹く真似をして、フラガの怒りを煽っていると連絡を終えたらしいエヴァ先生がこちらに戻ってきた。
「おい、ラインブルグ、患者を甚振るのは医者の特権だ」
「……いや、その考え方もどうかと思いますけどね」
エヴァ先生に突っ込みを入れてから、無理が祟って脂汗をかいているフラガに備え付けのペーパータオルを握らせてやる。
「ぁっっ、た、たくっ、怪我人、には、もっと、優しく、するもん、だぜ?」
「減らず口を叩ける奴は怪我人じゃないさ」
「ならば、ラインブルグ、貴様の身体を弄りたければ、減らず口を叩けないようにすれば良いのだな?」
「まだ解体されたくないので、それは勘弁してください」
俺やエヴァ先生、それにフラガのやり取りを見て、ニヤニヤ笑っていたイシカワ少佐が耳に手を当てると、表情を改めた。
「ラインブルグ君、ネオ・ロアノークの死亡が正式に確認されたようだ」
「だってよ、良かったな、死人さん」
「おま……、軽く、言うがな、撃たれた、時は、マジで、死んだ、と思った、んだぞ?」
「まぁ、実際、結構な時間、心停止してるしねぇ」
「へっ?」
イシカワ少佐の呟きを聞いたフラガが〝嘘だと言ってよ〟ってな感じに目を見開いたので、フォローの意味合いを込めて口を挟む。
「いやいや、これまで為した悪行の禊と思えば、心停止の一度や二度くらい、安いもんだろ?」
「ば、ばーろー、撃たれる、直前、まで、信じても、いない、神に、祈ってた、俺の、気持ちを、察しろ、って」
「何、結果的には運良く生き残れたんだ、それで万事解決さ」
結論付けるように断言してフラガの反論をぶった切っていると、部屋の戸がノックされ、三人の男性看護士が車椅子を持って入ってきた。
「うむ、お前達か、そいつの検査を頼む」
「わかりました」
三人の代表者と思しき筋肉と熱量に満ちた看護士はなんら疑問を挟むことなくエヴァ先生に応じると、他の二人が即座にフラガを車椅子に乗せ始めた。
「おい、この汗の量を見ろよ。間違いなく、エヴァ様に甚振られたようだぞ」
「……な、なんて、羨ましい」
その際に二人の看護士の呟きが耳に入った気がしたが、うん、空耳の類だろう。
「おい、二人とも、なんて羨ま……、喋ってないで、早くしろ。……む、それとも、私がこの手で優しく運んだ方が早いかな?」
……あー、いや、ごめん、フラガ。
そんな縋るような目で見られても、俺に人員を交代させる権限はないんだわ。
悲しげな表情で首を横に振って見せていると、エヴァ先生が代表者に言い募る言葉が聞こえた。
「む、いつまでもその格好というのも目立つな。ついでに、患者服に着替えさせてくれ」
「わ、わかりました」
俄かに鼻息が荒くなった代表者の姿に、フラガはこの世の理不尽さに絶望するような表情を見せた。
◇ ◇ ◇
悲壮な表情を浮かべたフラガが検査室に送られた後だが、イシカワ少佐がフラガの診断結果を今回の作戦〝チェンジリング〟を指揮している宙兵隊特殊作戦司令部に持ち帰る必要がある為、エヴァ先生にイシカワ少佐、俺の三人はコーヒーを飲みながら、しばし閑談することになった。
「ふん、救急車両の中で件の暗殺者の死体と取り替えたと言うわけか」
「ええ、暗殺者の中でも似た体格をした奴の髪を金髪に染めた上で、ロアノークのトレードマークである仮面を被せれば、外からではわかりませんしね」
「そんなに簡単に上手くいくものなのか? 例えば、死後硬直の問題は?」
このエヴァ先生の質問に答えたのは、イシカワ少佐だった。
「あまり詳しく言う事は出来ないんですが、裏では〝鮮度を保ち、調整できる〟いい薬品があるんですよ。まぁ、これだけでは勘の良い医療スタッフに見破られる可能性もあるんで、予め〝身代わり〟から回収しておいた血液を血糊に使ったり、作戦要員である宙兵隊の軍医を今日の救命医にしています」
「……手回しの良いことだ」
露骨に呆れた表情を見せるエヴァ先生だが、次の瞬間、真面目な表情を見せる。
「それで、あの男にそこまでする価値が、保安隊の面子を潰してまで助ける価値はあるのか?」
「あー、これまでの行動……ファントムペイン上層部からの命令を無視してユニウス・セブン落下阻止を実行した事や臥薪嘗胆でもってエクステンデッド達を救おうとした義侠心への評価、ファントムペイン撲滅への協力やファントムペインから持ち出した様々な資料への対価、負傷からの回復後、戦力として国防軍に加わるという事への代価、って感じで、それらを全て合わせての判断です」
「ラインブルグ君が言った三点の内、一つでも欠けていたら、政府や国防軍上層部は〝チェンジリング〟作戦を許可しなかったでしょう」
簡単な話、この〝チェンジリング〟作戦はムウ・ラ・フラガをネオ・ロアノークとして〝実際に〟殺す事なく、国防軍に引き込んで戦力にする為の仕掛けである。そう、ムゥ・ラ・フラガはファントムペイン時代に自らの意思と決断で為してきた事が、自らの命を救い上げることになったのだ。
「そうか……、では、ステラ・ルーシェへの対応は?」
「その為のミネルバ来訪ですよ」
「ステラ・ルーシェをシン・アスカに引き合わせたと同時に、ロアノーク死亡を伝える手はず……、おや? 二人の間にイレギュラーの同僚が一人割って入って修羅場になっているようですが……、どうやら想定の範囲内で事が進んでいるようです。……うん、シン・アスカの顔がイレギュラーの手でエライ事になった位で済んでいるみたいですから、上手くいったと言えるでしょう」
「本当に悪辣だな、貴様らは……」
その言葉に俺とイシカワ少佐は肩を竦める事で応える。
「既に背負ってる業が少し増えただけです」
「そそ、私のような輩にとっても、今更という奴ですな」
「後、あわよくば、ステラ・ルーシェを餌に、L1でも有数のエースパイロットであるシン・アスカの引き抜きも考えていたりしますが、まぁ、これはオマケ程度ですし、出来なくても構わない事ですね」
「……はぁ、まったく、この悪党共め」
悪党上等、って奴だ。
そんな感じに内心で嘯きながら、表面は済ました顔で取り繕って、コーヒーを啜る。
ああ、この苦味と酸味……、更には芳ばしい香り、本当に、天然物は美味しいわぁ。
コーヒーの味に、一人悦に浸っていると、エヴァ先生のボヤキ声が耳に入ってきた。
「やれやれ、こんな悪辣な悪党ですらSEEDを持つ者であると考えると、この先、人類の進化はどうなるものか……、いや、これも今更なことか」
「……エヴァ先生、まだ、SEED云々の事、考えているんですか?」
「む? ……ああ、考えているぞ」
「真面目に研究している人に言う言葉じゃないかもしれませんが、SEED云々って、胡散臭くないですか?」
「確かに、この所、SEEDを持つ者が救世主云々というような眉唾な話が広がっているが、概念自体はそう馬鹿にしたものではないのだぞ?」
と、少し機嫌を損ねたようなエヴァ先生が言った所で、何故か、イシカワ少佐が反応した。
「……ドクター、SEEDについて、詳しくお聞きしても?」
「何だ、知らんのか?」
「職業柄、言葉自体は何度も耳にした事はありますが、あやふやな像しか見えず、具体的な話を聞いた事がないんですよ」
「検査が終わるまで、まだ時間もあるようだな。……ふむ、たまに話すのも悪くないか。どこから話せばいい?」
「申し訳ありませんが、基礎からお願いします」
「わかった」
エヴァ先生は立ち上がると、部屋の片隅に置かれていたホワイトボードを持ってきて、マーカーでさらさらと文字を書きながら、話し始めた。その手際の良いこと良いこと……、っていうか、なんだかんだって言っても、エヴァ先生も説明好きだよね。
エヴァ先生に知られたら、照れ隠しに解体されそうな事を考えていると、早くもエヴァ先生がホワイトボードにSEEDと書き、説明を始めた。
「まず、このSEEDという言葉だが……、Superior Evolutionary Element Destined-factor(種の進化的要素を決定付ける因子)の頭文字を並べたものであり、過去に一度だけ発表された、人類がこれからの進化の過程や道筋で必要となるモノを表した概念だ」
「ドクター、決定付ける因子と書かれている事を考えると、遺伝子が関係しているということですか?」
「遺伝子か……。おそらく、SEED(※注)に遺伝子は関係ないだろうな」
「ということは……、SEEDを発現するのは、コーディネイターもナチュラルも関係ないという事ですか? なら、窮地に追い詰められて発現するとか?」
「窮地に追い詰められて発現するのは、火事場の馬鹿力……、心理的、生理的なリミッターの解除だ」
イシカワ少佐は首を捻るが、エヴァ先生は構うことなく、言葉を続ける。
「先に発現対象について答えるが、SEEDはコーディネイターもナチュラルも関係なく発現するはずだ。……とはいえ、SEEDは発表された学説自体にも具体的に描き出されていない。よって、今も模索されている最中のモノであり、はっきりとした形で表現することはできない。今、私が言った内容も私が考えた末の仮説だ」
「なるほど。……では、何故、SEEDが一部で熱く語られているんです?」
「ああ、それはな、遺伝子コーディネイトという人の設計図を好きに弄れる技術が生み出され、コーディネイターという存在が一般的になって以来、人類が進化のあり方に迷ってしまったからだ」
「進化のあり方?」
「そうだ。一昔前までの人類は自然の中で揉まれる事で数々の多様性を生み出し、その多様な在り方の中から何世代もの時を経て、自然や環境に適不適を選別されたり、意識無意識に関わらず、自らが取捨選択したりして、それぞれに進化してきた。そして、進化の中で生み出されてきた多様性が数多くの可能性を生み出して、その可能性が様々な困難を乗り越える原動力を生み出し、人類をここまで存えさせてきた。それに対して、今の人類は自然の洗礼というこれまでの進化の過程を経ずに、たった一世代で全てに適応できるようになった所か、自らが望むままに次代を作り変える事も可能になっている」
……むぅ。
「エヴァ先生、つまり、遺伝子コーディネイト技術が実用化されたことで、これまでの人類進化……生物的な進化の過程が使えなくなってしまって、この先の進化の在り方に戸惑ってしまっているということですか?」
「そういうことだ、ラインブルグ。だからこそ、新しい進化の道筋を暗示するようなSEEDなる概念が一定の支持を受けているのだ」
なるほど、と頷いていると、イシカワ少佐が話の根幹に切り込むように問いかけた。
「では、ドクター、SEEDとは?」
「私の推測だと……、SEEDは人間ならば誰しもが持つモノから生み出される」
「誰もが持つモノから生み出される?」
「そうだ。そして、生み出されたSEEDは次代に引き継がれていく営みの礎となる」
……営みの礎か。
「なら、そのSEEDの大元は、その誰しもが持つモノとは何なんです?」
「……私は意志だと考えている」
「意志、ですか……」
「そう、何事かを為す為に生み出される、どこまでも強固な意志だ」
「では、強固な意志がSEEDを生み出すと?」
「無論、これもまた、一つの仮説に過ぎんが……、私はそう考えている」
「……では、SEEDを持つ者とは?」
「私が考えるに、SEEDを持つ者とは、自らの意志を他者に対してより強烈に示す者……、その意志でもって、人類を拒絶するような新たな環境に立ち向かう者であったり、様々な環境に適応するべく自らを高めていく者であったり、自らの存在で人類の可能性を他者に示す者であったり、或いは、鮮烈な意志により社会や世界に大きな影響を及ぼして、社会に一定の方向性を与えたり、世界に新たな可能性を焼き付けたりする者の事だ」
ここで一度、語を切ったエヴァ先生は顰め面をすると、アイスブルーの瞳で中空を睨む。
「そして、昨今、世間で流行っている救世主云々の話は後者の要素をより重視し、他力本願……人任せを望む群集心理を利用して、生み出されたのだろう」
……イシカワ少佐の目も鋭くなっている。
「……つまり、救世主云々を利用して、誰かが自らが望む方向に人類を誘導しようとしていると?」
「そのように考えている輩がいても、おかしくはないだろうな」
SEEDを利用して、自らが望む方向に人類を誘導してもおかしくはない、か……、なんて事を考えていたら、卓上の通信端末が電子音を響かせ始めた。すぐさまエヴァ先生が動き、応答を始めたので、イシカワ少佐に話しかけることにした。
「で、イシカワさん、何かいい情報は得られました?」
「ああ、いい勉強になったよ」
そう応えるイシカワ少佐に、質問の意図を推測しつつ、エヴァ先生の邪魔にならない程度の小声で問い掛けてみる。
「オーブでアスハ代表はSEED云々って話が持て囃されているのを聞いた覚えがあるんですけど、それ関係ですか?」
「そうなんだけど、どうやら、それって、オーブに限った話じゃないみたいなんだよ」
「まさか、プラントでも?」
「ああ、〝プラントの歌姫〟はSEEDを持つ者であり、人類を導く者であるって話が広がっているそうだ」
また、そんなあやふやでかつ俗物的な事を……。
「形が固まっていない事を良い事に、権力固めに利用しますか」
「そういう、形があやふやなものに頼るほど、切羽詰ってるって考えた方が気が楽になるさ」
「……それもそうですね」
と、ここでイシカワ少佐が表情を真剣な物に切り替えた。
「ねぇ、ラインブルグ君。君はマルキオって知ってるかい?」
「直接的に見知ってはいませんが、名前を聞いた事はありますね。何でも、世界を平和に導く導師だとか?」
「そう、プラントや世界各国と結構な繋がりを持ち、一部で大仰な扱いを受けたりする、オーブに住んでいる世界でも名の知れた宗教家だ」
ふむ……。
「このマルキオって人が何か?」
「ああ、サハク首長からの指示で以前からずっと監視しているんだけどさ、どうも、各国を渡り歩いてはSEED云々を語って、オーブやL5……カガリ・ユラ・アスハやラクス・クラインの正当性を吹聴しているみたいなんだよ」
「……それはまた、面倒な人ですね」
「今の所、国際情勢にまで影響を及ぼしてはいないんだが、マルキオが持つ影響力を考えると、今後の流れ次第で各国の態度が変化しても何らおかしくないと、情報部では分析している」
「ということは、何らかのカウンターを仕掛けると?」
「ああ、相手が非正規の伝手で攻めてきているから、こっちもこっちで足元を騒がせてやろうと考えている。いるんだが、L5に関しては良い伝手がない」
……なるほど、伝手か。
「L1の知り合いを正式に紹介します」
「ああ、そうしてもらえれば助かる。後はこちらでなんとかするよ」
「ええ」
とりあえずはユウキに連絡を入れて、ある程度の話をしてから紹介するか、なんて事を考えていたら、エヴァ先生が戻ってきた。
「どうでしたか、エヴァ先生」
「ああ、ダメージは受けているが、命に別状はないようだな。大凡、全治二週間程度という所だ」
「なら、ドクター、とりあえずは一週間程度入院させて様子を見るということで話を進めたいのですが」
「別に構わんが、手続きはそちらでしておけよ?」
「わかりました」
イシカワ少佐はエヴァ先生の言葉に頷いて立ち上がり、軽く頭を下げた。
「では、ドクター、今日はお世話になりました」
「ああ、貴様への講義料も奴の入院代に含めて、ロンド・ミナに請求しておく」
「……講義料は勘弁できませんかね?」
「ふん、冗談だ」
ニタリと見る者によっては不吉に見える笑みを浮かべたエヴァ先生は更に続ける。
「だが、ロンド・ミナには、余裕が出来てからで構わんから、キツイ酒か美味い菓子を持って顔を出せと伝えておけ」
「そっちの方がハードルが高い気がしますが……、わかりました」
とほほ、という言葉が似合う風情でワザとらしく肩を落し、イシカワ少佐は退室していった。
「さて、ラインブルグ、貴様はどうするんだ?」
「俺はもう少し、フラガのガス抜きをしてから帰ります」
「面倒見の良いことだな」
「まぁ、国防軍で同僚になる予定ですしね」
そう、あくまでも同僚になるフラガの精神衛生を思っての事であり、決して弄り甲斐のありそうだからという理由で相手をするわけではない。
「なら、後ろから撃たれん程度にしておけよ?」
「ええ、程々にしておきますよ」
そんな会話をエヴァ先生と交わした後、検査前よりも更にグッタリとした様子で帰ってきたフラガから、ファントムペイン参加後の精神的に安らぐ事のない日々や散って逝った二人の男の話、惚れた女が関わっていると思しきアークエンジェルの行動に対する困惑、ステラ・ルーシェの今後に対する不安、今日の作戦や初期企画した俺への文句や愚痴、といった事を、適度に茶々を入れながら、聞いてやった。
……人生、儘ならないってよく言うけど、本当だよなぁ、と思った一時だった。
※注:SEED云々に関しては筆者が適当に書いているものであり、あくまでも本作における捏造ですので、ご注意ください。
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