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第三部  導なき世界の中で…… (C.E.72年-C.E.75年)
36  変化する日常 -予備役召集 4


 MSパイロットへ訓練を実施する日々を続ける内に、五月になった。
 世界は戦後一年以上を経過して、インフラの復旧も進んでいるようで、地球上にある各国メディアも集光型太陽熱発電所といったエネルギープラントの新規建設や衛生環境、食料生産の改善といった明るいニュースを提供してくれている。
 また、アフリカで起きていた南アフリカ統一機構と地中海同盟の衝突が、地中海同盟軍の反攻、特にハイペリオンで構成されたマッドドック隊なるMS隊が縦横に活躍した影響で、南アフリカが撤退する形……実質的な敗北で収束して、緊張状態にはあるものの、一応の落ち着きを見せ始めている。

 この話の中で興味を引かれたのは、地中海同盟に採用されて大活躍をしているアクタイオン・インダストリ社製のハイペリオンが少数配備で止まっている所だろう。
 これはパーシィ独自の伝手からの又聞きなのだが、どうやらハイペリオンの調達価格が非常に高いらしく、少数配備で止まっているようなのだ。なんでも、使われているバッテリーや機体制御関連に、ユーラシア連邦系企業の技術が使われているらしく、独立後にパテント料を大幅に引き上げられたからだとか……。

 要するに、戦火を交えた仮想敵国家同士だし、ユーラシア連邦政府から地中海同盟へ嫌がらせをする為、それらの企業群へ圧力を掛けたって所だろう。

 まぁ、それはそれとして、そんな風に表面的に落ち着き始めた世界とは対照的に、アメノミハシラにおいて、急ピッチで推し進められていた宇宙軍の戦力増強も、第一宇宙艦隊に既定数のトツカ級及びハガネ級が配備されたり、M1アストレイからマリーネ及びオオツキガタへの更新が進められており、組織拡張は順調にいっているようだ。
 今日も、第一宇宙艦隊が慣熟航海として、アルテミス要塞を仮想敵拠点に据える事で、ユーラシア連邦から先の侵攻を受けたことへの仕返し、もとい、牽制を兼ねた演習で艦隊の練度を上げているらしい。

 こうやって訓練段階が一段上がったお陰で、俺、レナ、マユラの三人が担当していた機種転換指導や新人講習も大幅に減る一方で、サハク准将の計らいもあり、重力区画の〝回し車〟やトレーニングルームで戦闘に耐えられるだけの身体作りに励んだり、自分達の勘を取り戻すべくシミュレーターで操縦訓練をしたり、連携の確認等をする余裕ができたのには助かった。

 この訓練のお陰で、レナの射撃はますます冴えてきているみたいだし、マユラも中距離から近接戦での反応の良さは目を見張るものがある。ついさっきも、マユラ相手にシミュレーターでの模擬戦闘を繰り返していたんだが……、もう、俺とほぼ互角と言っても良い腕になってる位だからな。

「よし、マユラの咄嗟判断や機動も最初見た時とは比べ物にならないし、実戦に出ても敵のエースに出くわすか、アンラッキーショットでも喰らわない限り、落とされる確立は低いだろう」
「ほんとっ!」
「ああ、間違いなく、ザフト時代に率いていた連中並の腕になってるよ」
「あは、昔は下手で酷い操縦だなんて言われてたのに、今じゃ、疾走する狼(ランニング・ウルブス)と同じ位なんて、なんか嬉しいな」
「でも、慢心はするなよ? 増長は容易に身を滅ぼすから、臆病ぐらいが丁度良いって、常に意識して、気を引き締めろ」
「あ……、うん、わかったわ」

 ま、ちょっとした釘を刺しておいたら、被撃墜経験を持っているマユラなら大丈夫だろう。

「でも、マユラ、本当に頑張ったわね」
「そりゃそうよ、アインさんから、一定の技量レベルに達したと俺が納得しない限り、絶対に戦場には連れていかない、って、真面目な顔で断言されたんだからね」
「……俺としては、二人とも戦場に出したくないんだがなぁ」
「そんな事を言ったら、私達だって、先輩を戦場なんかに立たせたくないですよ?」
「そうよ。でも、そんな事を言っても、現実じゃ通らないから、どこまでも付いて行く事にしたの」
「……ありがとう、二人とも」

 俺、マジで、果報者だわ。

 本当に、今、物凄く二人を抱き締めて無茶苦茶に愛したく、って、いかんいかん、キス程度ならともかく、それ以上となると、流石にこの場所じゃできん。
 いきなり暴走しかねない感情の手綱を引き締める為にも、ここは表情を意識して真面目なものに作っておこう。

「ねぇ、レナ。今、アインさんが厳しい顔してるのってさ」
「ええ、かなり色々と我慢してるみたい」
「……なら、今夜が楽しみかも」
「先輩の事だから、朝方まで寝かせてくれないかもしれないわね」

 第三者がいないからいいものの、もしも、男連中がいたら闇討ちされかねない発言だよなぁ。

「あ、聞こえない振りしてる」
「マユラ、先輩はちゃんと意を汲んでくれるから、大丈夫よ」
「そうね、アインさんなら私達の想いを汲み取ってくれるはずよねぇ」

 ……ザラ議長、毎日毎晩のオツトメを欠かす事無く為されていた、あなたの偉大さ、今ならわかります。何度もからかって、すいませんでした。

「んんっ、話を元に戻してだな、今回の制圧作戦で俺達が動員される可能性はあると思うか?」
「うーん、私達は予備役動員ですし、通常は現役を優先すると思いますから、可能性は低いと思います」
「でも、レナ、私達って、総司令部付になってるし、コーネリアス級を拠点制圧部隊用以外にも準備してるって、アサギが言ってたじゃない。その事を考えると、可能性はそれなりなんじゃない?」

 第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦で大活躍したコーネリアス級双胴型輸送艦を旧連合構成国から買い取っているとしたら……、動員される可能性も高くなってくるか。

「となると、出撃する可能性は高いと考えていた方がいいか?」
「ですね、そう考えて訓練しておいた方が、参加することが決まった後、慌てずにすみます」
「うん、私も今のうちに徹底して、落ちない戦い方を覚えたいわ」
「なら、マユラ、もう一戦するかって、コードウェル一尉?」

 シミュレータールームの出入り口でアサギ・コードウェル一尉が所在無げにこちらを伺っていた。

「あ、ほんと、アサギさんだ」
「アサギ、どうしたの? 遠慮なんかしなくていいのに」
「あ、いや、その……、話に入り辛かったから、終わるまで待とうかなって」
「マユラの言う通り、別に遠慮なんてしなくていいぞ」
「ええ、アサギさんには、軍に関する事で色々とお世話になってますしね」
「そういうことだ」
「えー、何で、そこになんで私の名前がでないのかなぁ?」
「マユラは私達と一緒で馴染めてなかったからよ」

 はて、コードウェル一尉はさっきから、じっと、俺とマユラやレナとのやり取りを見ているが、この表情は……、うーん、何か、思いつめてるのかな?

「コードウェル一尉、もしかして、具合でも悪いのか?」
「あっ、いえ、その、大丈夫です」
「本当に?」
「はい」
「なら、いいんだけど……、それで、今日は?」
「はい、サハク准将から言付を預かってきました。それと、これもお渡しするようにと」

 コードウェル一尉が差し出したメモ用紙と変わらない紙を受け取り、目を通す。


『キラ・ヒビキが職場を通じて予備役に志願した。説得、ご苦労だった』


 そうか、ヒビキは決断したのか。

 しかし……。

「前から言ってる気がするけど、これ位は別に通信でいいと思うんだけどなぁ」
「その、ミナ様は常々、軍内の雰囲気や些細な噂話を把握してこいと仰りますので」
「まぁ、それも道理と言えば道理か……、それで、言付の方は?」
「はい、お伝えします。L3掃討制圧作戦は今月末より開始する、この際、ラインブルグ三佐及びラヴィネン二尉、ラバッツ二尉は総司令部直轄の予備MS隊に所属してもらう、詳しい内容は正式辞令で知らせる、との事です」
「了解、L3掃討制圧作戦において、ラインブルグ及びラヴィネン、ラバッツは総司令部直轄の予備MS隊に所属するが、正式辞令に関しては追って通達する、だな」
「はい」

 ふむ、予備MS隊ってことは、予期せぬ非常の際の備え、所謂、戦術予備って役所かな。

 この際、折角だから、ちょっと色々と聞いてみるか。

「コードウェル一尉、この後の予定は?」
「ッ! と、特に急ぎの用事はありません」
「そうか、ならコードウェル一尉が知っている範囲でいいから、俺達が乗る船や部隊に関することを教えてくれないか?」
「……わかりました。今回の作戦でラインブルグ三佐達が乗艦するのは、【SCM-11】ワダツミ級MS母艦の一番艦ワダツミになります。三佐とレナさん、マユラはM2マリーネで小隊を構成し、このワダツミの艦載MS隊に配属される予定です」
「わかった。それで、そのワダツミ……、いや、ワダツミ級ってのは?」
「はい、このワダツミ級はコーネリアス級をMSを運用できるようにMS母艦として改装したものです。先の大戦後、旧地球連合軍が解体される際に余剰として放出されたコーネリアス級を八隻、ジャンク屋組合を通して買い取り、その内の四隻を宇宙軍技術部が改装していたのですが、先月、全艦の改装が終了しました」
「じゃあ、今回の作戦で初投入することになると?」
「そうなります。ですが、商船よりも頑強な輸送艦とはいえ、戦闘艦と比べれば防護性が脆弱ですし、積載スペースの関係でカタパルトを取りつけることも難しい為、実質的には戦域にMSを運ぶプラットフォーム程度の能力しか有していません」
「だろうなぁ。それで一隻当たり、MSを何機艦載できるんだ?」
「簡易な補給設備のみでしたら、両舷に六機ずつで十二機、本格的な整備設備を有している場合は、半数の三機ずつになって六機です」
「……となると、改装された四隻は、本格的な整備設備を付けたタイプが一隻で、他の三隻は簡易タイプになるって所かな?」
「はい、一番艦ワダツミ以外の三隻、ウワツ、ナカツ、ソコツは簡易タイプです」
「それだと六機と三十六機の計算になるから、おおよそ三個中隊で一個大隊規模になるのか……、この部隊の指揮系統は?」
「ミナ様のお話では、ウワツ、ナカツ、ソコツの艦載MSで一個大隊を形成し、総合的な指揮は総司令部で、戦術的な指揮はそれぞれの中隊長に任せると言っておられました」
「なるほど、そこから外れた、員数外の俺達はどういう扱いに?」
「三佐達の小隊は、ソキウス小隊と同じく、総司令部直轄の独立小隊となります」
「……ソキウスか」

 ソキウス……、ラテン語で戦友という名を持つ彼らは、地球連合……、いや、大西洋連邦の手によって生み出された、戦闘用コーディネイターらしい。
 俺も初めて彼らに会った時、自発的な精神が死んでいるとしか言えない、生体機械のような在り方には大いに衝撃を受けて、サハク准将に詳しい話を聞きだしたが、本当に哀しい存在だとしかいいようがない。

 彼らは元々、戦闘に適したコーディネイターを作る計画で生み出された存在なのだが、戦場で使えるようになるまでに掛かる時間やコストの問題で、計画は途中で打ち切られ、薬物による強化に切り替わった結果、他国から違法性を突かれないように隠す為、廃棄処分……、簡単な話、存在を抹消される(殺される)運命にあったそうだ。

 だが、その運命も紆余曲折を経て、地球連合軍からサハク准将の双子の弟で、先の戦争中に起きた事故で亡くなったというロンド・ギナ・サハクの元に引き取られ、彼の死後は、准将が彼らの身柄を引き受けたらしい。

 本来、俺に説明する義務もないにも関わらず、ソキウス達の話をしてくれたサハク准将が、ただ静かに、あの者達の存在は禁断の果実(遺伝子操作)に手を出した人類が背負うべき業の一つであり、我もあの者達を利用している以上は彼らを生み出した者達と同じく業を背負わねばならぬだろうと、淡々と話した事は今でも記憶に残っている。

 ……本当に、人の業というものの深さを思い知らされる話だった。

「ラインブルグ三佐、何か、不明な点でもありましたか?」
「あ、いや、それはないよ。それよりも、コードウェル一尉は何でも知ってるみたいに、即座に答えが返って来るから……、凄いと思ってね」
「ふふ、サハク准将付になってから、仕事に付いて行けるよう、寝る間も惜しんで宇宙軍に関する情報を集めて勉強しましたし、今も努力しますからね」

 金髪を揺らして、嬉しげに微笑みを見せるコードウェル一尉だが、マユラから以前の小隊でリーダーを務めていたと聞いていたけど、この真面目さと優秀さを考えたら、納得できるわ。

「後、興味本位なんだけどさ」
「何でしょうか?」
「今回の作戦で動員される戦力については?」
「……ラインブルグ三佐だから言いますけど、絶対に、他では言わないで下さいね?」
「もちろん、コードウェル一尉には迷惑を掛けないよ。レナ、マユラもいいな?」
「……はい」
「……わかった」

 んんっ、何だか、二人の反応が鈍い上に声音から拗ねたような感じがしたが?

 その、ちょっとした違和感の正体を把握する為にも、二人を視野に収めてみるが……、常と変わらないように見えるな。

「二人とも、どうかしたか?」
「いえ、別に何もありませんよ?」
「そうそう、気の所為じゃない?」

 ……うーん、聞き間違えだったのかな。

「まぁ、いいか。それで、教えてもらえるかな」
「はい、今回動員される戦力は、第一、第二の両艦隊と先程言いましたMS母艦で構成される機動部隊、L3での拠点制圧活動に当たる〝陸戦隊〟を運ぶ揚陸部隊、補給物資を搭載した支援部隊で構成されます」
「艦隊は根こそぎ動員になるが、アメノミハシラの防備は大丈夫なのか?」
「防衛隊には、ラインブルグ三佐が開発指揮されたノルズがありますから早期警戒態勢も整っていますし、主力となるMS大隊も一個あります。余程の事が無い限り、大丈夫だと思います」
「予備戦力は?」
「今は編成中ですが、オオツキガタで構成される即応中隊と慣熟訓練中のハガネ級が四隻あります」
「作戦開始時には戦力化が成っているってことか」

 なら、艦隊が引き返してくるまでは、なんとかなるか。

「三佐は、アメノミハシラが攻められる可能性があると?」
「いや、そこまでは考えてはいないけど、ここには一般市民も多数住んでるし、何事も備えは必要さ。前のユーラシア連邦みたいな連中が出てこないとも限らないからな」
「そうですね、確かに考慮するべき事だと思います」
「ああ、だから、ノルズの観測防衛網にだけ頼らないで、より早く侵攻の兆候を見つけることができれば、上等だと思う。そうだな、コードウェル一尉は、何か対策案を考えたりしているか?」
「わ、私ですか?」
「ああ」
「……宇宙航路に出ているSKOから各地の観測情報を送ってもらうのはどうでしょう?」
「うん、それだと得られる情報の信頼性は高いだろうね。他にも信頼性は低くなるけど、アメノミハシラに籍を置く商船組合から情報を集めたり、宇宙での物の流れを良く知っている商船乗りにそれとなく聞くのも手だと思う。まぁ、これくらいなら、既に情報部が収集に動いていそうだけどな」
「……どうでしょうか?」

 あっれぇ~、どうして疑問系?

 そんな俺の疑問を表情から見て取ったのか、コードウェル一尉は顎に人差し指を当てつつ、思い出すように話し始めた。

「アメノミハシラが民間にも開放されている関係上、うちの情報部は防諜に力を入れていますから、そこまで情報を集めているのかなと思いまして」
「……いや、それなら大丈夫だと思うよ」
「えっ、どうしてですか?」
「防諜に力を入れるって事は、物理的に外からの様々な人の動きを把握する面もある訳だから、自然と情報も把握しているはずだしな」

 つまり、アメノミハシラという閉鎖環境上、入ってくる際に必ず一度は通る宇宙港に、情報部が常に監視の目と耳を置いていると考えてもおかしくはないってことだ。となると、多くの人が俎上に乗せる、様々な情報を仕入れていると考えるのが普通だろう。
 いや、これも人手があって、かつ、上が細やかな情報も欲していればって前提が付く話だけど……、サハク准将が、コードウェル一尉を軍内のあちこちに動き回らせて、軍内の情報を把握している事を考えると、その辺の心配はいらないだろう。

「まぁ、コードウェル一尉は、これから宇宙軍でキャリアアップして行くかもしれないから、今の立場なら、色んな情報に触れる機会もあるんだし、自分なりに色んな問題の対策を考えたり、今後の世界情況を見通して、予算との兼合いを見ながら、軍備や訓練計画を立ててみるとか、色々と思考を働かせてみたらどうかな?」
「……私にできるでしょうか?」
「自分の中で収めるなら、誰の迷惑になるわけでもないんだし、やってみたらいいさ。その代わり、准将に上げる情報にバイアスを掛ける可能性も出てくるから、その辺りはよく意識して、ありのままを報告できるようにしないといけないけどな」
「……わかりました、やってみます」
「うん、頑張れ」

 サハク准将がコードウェル一尉をあちこちに送り込むのは、そういう期待を持ってのことかもしれない。また、特にそんな考えを持ってなかったとしても、コードウェル一尉の意識次第で、サハク准将を補助できる位に、大きく成長する可能性もあるからな。

「あの、それで……」
「ん?」
「私なりの考えを作った時は、聞いていただけますか?」
「ああ、でも、所詮、専門教育を受けていない、生言ってる素人だから、感想位しか出せないけどね」
「いえ、そんな……。では、その時はお願いします」

 キリっとした顔のコードウェル一尉に頷き返すと、俄かにその顔が柔らかく崩れる。

「では三佐、今日はこのへんで……」
「ああ、サハク准将には連携訓練を主眼に置いて、鍛えておくって言っておいて」
「わかりました。それでは……、レナさん、マユラも頑張ってね」
「ええ、もちろんです」
「うん、わかったわ」

 レナとマユラから返事を聞いた後、もう一度、こっちを振り返って微笑みを見せるとコードウェル一尉はどこか機嫌良く、部屋から出て行った。

「さて、二人と……も?」
「むー」
「ぶー」

 訓練を再開する為に声を掛けようと思ったら、こっちを向いて、口を尖らせる乙女(偽)が二人。

「……何か、お前ら、さっきからおかしいぞ?」
「これは先輩に関わる事でもあるんですが……」
「うん、まずはミーアちゃんを含めて、こっちの意見を統一する事が必要だよね」
「何を訳わからん事を……、ほれ、そんな暇があるなら、訓練するぞ」
「……わかりました」
「……はい」

 二人をシミュレーターに追い立てつつ、戦場に出る可能性が高い以上、三人の誰もが命を落とさない為にも、より一層の厳しい訓練が必要だなと、決意を新たにして、俺もシミュレーターに向かった。

 もっとも、そのシミュレーター訓練で厳しく当たった反動からか、予定になかった〝むふふ〟が行われる事になり、テンションがずっと上がりっぱなしのレナとマユラを相手にした為、次の日、腰がちょっとだけ痛かったのは誰にも内緒だ。


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