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 ※警告※
 この話より【R15】相当……【深夜の映画番組レベル+α】程度の【性的な描写】が含まれますので、ご注意ください。
第二部  二年戦争/プラント独立戦争 (C.E.70年-C.E.72年)
102 変転する関係 【R15】


 ザラ邸を辞した後、これから仕事を再開すると言うユウキと別れ、アプリリウス・ワンからセプテンベル・スリーへと移動して、途中でミーア馴染のマーケットで相変わらず高騰したままの食料品を買い込んでから、我が家へと帰ってきた。

 当然の事ながら、我が家の食い扶持が多いお陰で、財布の中身はごっそりと……、いや、仕方がないとわかっているとはいえ、切ないものは切ないよなぁ、なんて風に順当に去って行った高額紙幣達との別れを名残惜しんでいると、止った車から降りたミーアが話しかけてきた。

「兄さん、おば様、今日の事が切っ掛けになって、少しでも元気なるといいね」
「そうだな。まだ、引っ越しができるようになるまで、それなりに時間が掛かるだろうから、ちょくちょくと顔を出して、気を紛らわせてあげてくれ」
「うん、わかった」

 我が妹分は本当にいい子に育ったと、内心で嬉しく思いながら、アルスターを含めた三人で荷物を降ろしていると、家の玄関から、留守番をしてくれていたレナが顔を覗かせた。

「あ、先輩、帰ってきたんですね。荷物、運ぶの手伝います」
「ああ、ただいま、レナ、助かるよ。それで、ラバッ……マユラの様子はどうだ?」
「少しは持ち直したみたいですけど、やっぱり、先輩がいないと、不安が大きいみたいですね」
「……そうか」

 実は、先の戦闘で俺が保護したマユラ・ラバッツをオーブに送り届けるべく、軍事衛星港に帰港した直後に、外交部へと人物照会と帰国の調整を依頼していたのだが、一昨日になって、オーブ本国から、マユラ・ラバッツなる人物はオーブ国民にも国防軍にも存在していない、変な言い掛かりはやめて欲しい、との回答があったのだ。

 外交部でオーブからの正式な回答書を受け取ってきたレナから、その非情な内容を簡潔に伝えられたマユラは、え……、うそ、でしょ、と小さく呟いていたが、手渡された公文書を読み終えた瞬間に、そのまま泣き崩れたのは言うまでもない。

 そりゃ、信じていたモノというか、その国の為に命を懸けて戦っていたのに、その国から、自身の存在を全否定されるだなんて経験、誰もしたくないよ。

 なので、マユラが受けた精神的な衝撃を少しでも和らげる為、また、錯乱してしまわないように気をしっかりともたせる為にも、いつか、ミーアにしたように、泣き崩れているマユラを強く抱き締めてやったのだが……、どうも、それで件の鬼畜な刷り込みが強化されてしまったらしく、涙ながらに、自身をマユラと呼んで、一人の人間としてここで生きている事を、存在している事を認めて欲しいと哀願されたのだ。


 ……どうしてこうなった?


 と、思わなくはないが、一種、アイデンティティの崩壊と言えるようなことだけに、縋りつく対象が欲しかったんだろう。

 というか、そもそも、停戦直後にオーブ本国へ正式な外交ルートを通じて問い合わせしまったのが失敗だったと、今ならわかる。

 恐らくオーブ側は、地球連合に降伏した後になって、オーブの指導層に連なる人物達が〝お姫様〟の勢力に加担して、プラントと連合、双方に喧嘩を売った事実を隠したいのだろう。
 なにしろ、オーブは本国が戦禍を被った事で荒廃している上、マスドライバーや一大企業であるモルゲンレーテを失った事もあって、経済もガタガタだから、復興させる為にも、どこからか、何がしかの支援が必要だろうしな。

 そんな具合で、スキャンダラスな事実をひた隠す為に神経過敏になっている状況下に、俺が、そんなことにも思い至らず、のこのこと正式ルートで連絡を入れた事で過剰反応されてしまった、という感じだろう。

 いや、その時は俺も、ラウを失った上にザラ議長が死んだって聞かされていたから、頭が回っていなかったんだ、と言い訳しても、最早取り返しがつかないことだよなぁ。
 それでも一応は、身元確認の不手際について、俺の思慮が足りなかったという謝罪と共に、今度は俺の伝手……ラインブルグ・グループを通じて、アメノミハシラに問い合わせる事をマユラに説明したのだが、信頼が深かった反動なのか、もうあんな国、信じられないと言って、聞き分けのない状態に陥っている。

 うぅ、まさか、こんなことになるとは……。

 取り敢えずは落ち着くまで様子を見るしかないと考えているのだが、やはり、マユラに関わる一連の失敗があまりにも無様過ぎて、再度、内心で落ち込んでいると、三日前というか、帰還した翌日からマユラを心配して、我が家に泊まってくれているレナが俺を元気付けるように声を掛けてきた。

「先輩、マユラが今の状況に陥ったのも、ある意味、仕方がないことですよ」
「それは、まぁ、そうなんだがな……、なんというか、俺、冗談抜きに、人の弱みに付け込む鬼畜じゃないだろうか?」
「そんなのは、今更! ……なんですから、ちゃんと責任を持ってくださいね?」
「……はい」

 笑顔であるはずのレナに、背筋が凍るような恐怖を感じるのは何故でしょう?


 ◇ ◇ ◇


 今日もレナが泊まっていくことになり、食卓に見た目麗しい女の子が四人も集うだなんて華やかな夕食も終わった後、俺は我が家の自慢といえる代物であり、人が四人位は余裕で入れる日本式の風呂に入っている。これも生前の我が母が拘った逸品であり、仕事に勤め出してからは、心底から疲れを癒してくれる有難い物だ。

 もっとも、今は、お年頃の娘さん達に優先権があり、今も四人が入り終わった後、わざわざ、お湯を換えて入っている状況である。このお湯の張替えに関しては、経済的にも、資源的にも勿体無い為、別に同じお湯でもいいじゃんか、と俺は思うのだが、そこはそれ、女の子、特にアルスターとしては譲れない線なんだそうだ。

 ちなみに娘さん方、特に、ミーア、レナ、マユラの三人は、三日前から昨日一昨日と、ミーアの部屋に集って、深夜遅くまで何やら色々とやっていたようで、こちらが驚くほどに急激に仲が良くなっている。
 まぁ、同年代同士の仲が良いことはいいことだし、心弱って傷ついているマユラにも笑顔が見られるようになってきているのだから、大いに結構なことだろう。このままの調子でいけば、マユラも俺に依存しなくても大丈夫になるのも、そう遠くはないはずだ。

 いや、正直に言えば、マユラも何気に女として魅力的なだけに、男としては、ちょっとだけ……、否、かなり惜しい気がしないでもないがな。
 何しろ、救助後、エルステッドで初めてマユラと顔をあわせた際には、瞬間、見惚れてしまい、レナに背中を抓られたのは記憶に新しいからなぁって、……んんっ、とりあえず、マユラの事に関しては、ラインブルグ・グループからの連絡を待ってから、考えた方がいいだろう。

 さて、頭を悩ますのはここまでにして、ゆったりと精神をリラックスできる貴重な場なんだから、刹那の一時を楽しもう。

 そんな訳で、俺は今、洗い場でのんびりと、〝きゃシャーが来る〟なんて懐かしい歌を歌いながら身体を洗っている。

「ゆうひぃかがぁやくぅ、でんしんばしらにぃ、きゃぁつのかげぇ~、きゃシャー、きゃシャー、きゃシャー、ちゃちゃっちゃちゃ、きゃシャー、きゃシャー、きゃシャー、ちゃちゃっちゃちゃぁ~」






「あ、先輩、背中を流しますね」




「うん、頼むよ、レナ。……って、なんでここにっ!」






 聞こえるはずのない声に驚嘆し、その驚きの余りに背後を振り返ると、脱衣所に繋がる扉を後手に閉めたレナが、生まれたままの姿で白磁の如き肌を余す所なく曝け出し、浴室の暖気或いは自身の緊張、それも多分の羞恥によってか、総身をほのかな桃色に染めていた。

 普段は、制服やパイロットスーツで隠されていて、まずもって、直接、御目にかかる事ができない部分だけに、俺の視線がその全てを確認するように、舐め回すように動き回るのは仕方がないというか、男としての本能だろう。

 いつも見ているレナの顔も湯気で霞んでいる所為か、香立つ女の色気が感じられるというか、こう、花の蜜に吸い寄せられる蜂のように引き寄せられるし、それより下の、本来ならまずは誰もお目にかかれない部分も、男を狂わせるような女の香気が漂ってきそうな鎖骨から顎に至る曲線やレナの身体に見合った滑らかな張りのある胸の膨らみ、胸と臀部を一層引き立たせる腰の括れ、引き締まっているものの筋肉が割れていることもない腹部、しっかりと上半身を支えている無駄のない腰から尻までのライン、女豹を連想してしまいそうな付け根から伸びる、しなやかでそれでいて肉感も有する脚線と、どれもこれも、俺の目を楽しませてくれる為か、吸い付いてしまって、離そうにも離れない。

 付け加えれば、他よりも桜色に目立つ胸の頂点や、秘所を守る為のほのかな青い彩りも、ばっちりと見ています。



 とりあえず、俺がまず言えることは……、我が息子が嬌声を上げながら、元気に跳び起きてきました。



「……………………」
「せ、先輩、そ、そんなにじろじろ見ないで下さいよ」
「い、いや、すまん。でも、ちょ、えっ?」

 俺が混乱している間にも、レナの顔と全身が桃色から更に濃い朱色に染まって行くのがわかる。

「うぅ、タオルで隠せばよかった」
「いや、そんな、もったいない」

 あぁ、自重していた本音が……。

「……本当、ですか?」
「ああ、本当……、じゃなくて! レナ! 取り合えず、隠して!」
「え、えと、それなら、先輩が目を瞑るか、後ろを向いた方が早いような……」
「いやごめん! それは男として無理っ!」

 そんな俺の、男としての魂の叫びに、何か女として嬉しいものがあったのか、恥ずかしそうにしながらも、ニコリと人を魅惑する笑顔を見せた。

「よかった。……私、女として、見られていないのかと、ずっと、心配してましたから」
「い、いや、そんな心配は無用と言いますか、レナのことは、戦友でかつ相棒としての立場を優先して見ていただけであって、これまでも、十二分に女として意識して見ているからっ!」
「ふふ、そうだったんだ。……嬉しいな」

 ……あふぅ、だ、だから、そんな、男を蕩かす様な笑顔は駄目です!

 思わず、手が出てしまいますっ!

 ふらふらと、本当に何かの力で吸い寄せられるように、レナの身体に手が伸びて行こうとする。


 ……がっ!


 今度は明らかに大きな音を立てて、浴室の扉が開いて……。





「はい、レナさん、そこまでっ!」


「お、お邪魔します」





 そこから更なる衝撃がががががががががっ!


「な、なななななななななっ!」
「ふふん、兄さん、どう? 私も、ちゃんと兄さんが手が出したくなる位に、成長しているでしょ?」
「あ、アインさん。……えと、そ、そんなに見ないで下さい」

 ミーアと、何故か、マユラまでもが、何も隠さず、裸で入ってきたっ!

「……うぅ、ミーアちゃん、予定よりも、かなりタイミングが早い」
「女の直感は信じなさいという、おば様の至言に従っただけよ」


 レナ、ごめん。

 お前の身体は本当に綺麗で、女としても十分過ぎるほどに魅力的だけど、男として、ミーアとマユラの身体にも引き寄せられるものがあるんだ。


 ……。


 しかし、ミーアの裸を拝見するのは保安局に入る前あたりに、最後に一緒に風呂に入った時だったはずだから……、かれこれ、七年くらい前になるのか。


 …………。


 な、七年の歳月って、大きいんだなぁ。

 ザラ夫人の指導を受けてから、これまでも欠かしていなかった肌の手入れを更に入念にするようになった為か、そばかすもない顔に自信満々な笑みを浮かべ、両手を腰に当てて、えっへんとばかりに堂々と、身体を隠すことなく反り返っているミーアを見て、まず目が行ってしまうのは、十代という年齢を嘲笑うかのように、大いに存在を主張する双子山もとい二つの大きな隆起帯だ。
 その大きいのに崩れることもなく、しっかりと屹立している姿は、男として、最早、拝むことしかできない、なんてことはまずもって絶対にないが、とにかく、触れて、舐めて、捏ねて、吸って、揉んで、噛んで、摘んで、持ち上げてみたいです、エロい人っ! ……って、いかん、落ち着け、俺、興奮が過ぎているぞ。

 だ、だが、視覚からの悦楽もとい情報を遮断する事など、できるはずもなく、瞬き一つすら惜しむ気持ちで、目が皿になったような感覚を覚えながら、更に視か……観察を行う。

 日常では流しているパールグレイの髪をアップにまとめ、思わず吸い付き、痕を残すことで、これは自分のモノだと主張したくなる細い首筋や肉付きよく非常に柔らかそうな印象を受ける二の腕、そこから胸に至るまでなだらかに続くラインに鎖骨が窪みを作る事で、一層、大きな胸を引き立たせる凹凸を生み出し、更なる色気を感じさせてくる。
 これもまた、ザラ夫人の細やかな指導により毎日の運動を行うようになった成果である、腰から尻に至る曲線は延々と撫で回したくなるというか、指先で弄びたくなるというか、舌を這わせたくなるというか、頬擦りしたくなるというか、とにかく、触りたいと思わせる肉感があり、さり気に手入れされていると思しき秘所帯は淡さが残っているが、それがまた、アンバランスな魅力が、男の欲望を刺激する威力がある。
 そして、これまた素晴らしく、昔、肩車をしていた時からは想像できない、思わず自ら望んで挟まれたくなるような質感を持った脚線は、上半身との調和を見事に成り立たせている。

「……兄さん、私はまだ、妹、かな?」
「う、うぐ。……み、みーあは、り、立派な、女です、はい」
「むむむ、機会を逃さず、しっかりと先輩の認識を上書きするとは、流石はミーアちゃん、やりますね」

 レナが何かを言っている気がしたが、正直、頭の中に入ってこない。



 とりあえず言えることは……、我が息子が雄々しく立ち上がって、無言のまま、勢い良くピッチングして汗を流しながら、ファイティングポーズを決めております。



「うぅ、私が一番年上なのに……」

 そんな嘆き声に導かれ、残った最後の一人、マユラに視線を移す。

「あっ、そ……、そんなに、じっとは……、見ないで、下さい」

 ぐふっ、そ、その恥じらいが、また、ぐっと来るっ!

 羞恥に悶える姿が、男心を擽ると言うか、初球で剛球な直球での熱球染みた死球を眼球に喰らったと言うか、とにかく、イイですっ!

 そんな具合に内心で親指を天へと力一杯に突き上げて歓喜している俺の前で、全身を自身の髪の色に勝るとも劣らない紅色に染めて、諸手で身体を隠そうか隠すまいか迷っているマユラだが、身体全体がレナ以上のスレンダーさを誇っており、さり気にモデル体型といってもいいのではないだろうか?
 そんな体型とショートの髪、どことなく勝気さを感じさせる顔立ちが相まって、マユラだけが持つ一種の魔性、レナやミーアにはない妖しい魅力を生み出している。

 また、服を着ている状態では華奢に見えていたが、その実はMSパイロットらしく、しっかりと鍛えているようで、余計な贅肉は欠片も見当たらない。
 そんな着痩せする身体つきや短い髪の所為で、他の同年代の女の子よりも〝らしさ〟と言うものが薄いかもしれないが、実はかなり我が侭な膨らみを持っている胸はこれでもかと言わんばかりに自己主張しているし、女としての肉付きだって十分に見て取れる。いや、むしろ、線の細さから、ミーアよりも大きく感じてしまいそうになる程だ。
 更に加えて、きめ細やかな肌も、湯気や発汗の所為もあるだろうが、非常に健康的な色艶をしているし、全身の体毛が薄いというか、下の毛が存在していないのも、その、ちょっとだけ、俺的には、評価に値したりする。

 むむぅ、本当に、こういうボーイッシュというか、マニッシュというか、とにかく、一種、中性的な魅力がある女の子も、しかも、恥じらいを見せる姿って、いいよねぇ。

「ほら、マユラさん、堂々とすれば、恥ずかしくないって」
「で、でも……」
「……なにも、そこまで無理しなくてもいいのに」



 とりあえず言えることは、我が息子が、親父、もう、もう我慢の限界だっ! 頼む! 俺をっ! 俺をあの桃源へと征かせてくれっ! って懇願している状態だ、って……、これは本当に、冗談ではなく、拙い状態だぞ。



 下半身に存在する我が息子が熱く滾っている影響で大量に血流が回されている所為か、ちょっと、頭が冷えてきたような、スーとする状態なのだが、それでも、興奮は止まる事を知らないように、天井知らずで高まっていくようだ。

「ねぇ、マユラ。そんな身体を張らなくても、先輩は、ちゃんと今後の事を考えてくれるわよ?」
「でも、わ、私。……こんな短い間で、変かもしれないけど、今、感じている想いは、アインさんが好きってい気持ちと、好かれたいっていう気持ちは、本当だから」

 や、やはり、ここ半年の間、戦闘続きだった上、戦隊の仕事が多忙で時間や空間の制約等もあって、また、余裕ができたここ最近も、女性陣を泊めていただけに自重して、ずーーーーーーーーーっと、己の性欲を処理していなかっただけに、真剣に、何か刺激を受けたら、非常に拙い事態に陥りそうだ。

「いいじゃない、レナさん。マユラさんの想いが〝吊り橋〟から……、極限から来た錯覚だとしても、そこから続いていくことだってあるかもしれないでしょ? ……人の想いを簡単に否定したら、駄目だよ」
「うっ、先輩のシェアを提案して、私の事も認めてくれただけに、反論できない」
「うふふ、私は独り占めをしない寛大な女なの、感謝してね。それよりも、レナさん、もっと、兄さんに私達が〝女〟である事をアピールしないと」
「そ、そうね」

 あ、あれ、何だか、意識が……遠く……なってきた?

「って、先輩っ! 鼻血っ!」
「あ?」

 ど、道理で……。

 い、いや、待てよ?

 これこそ……、この鼻血こそが、これを利用して、浴室から脱出し、一度、態勢を立て直せという、我が母のお導きに違いないっ!

「わ、悪いが、ちょ、ちょっと、鼻血の始末を……」

 と言う事で、いきなり刺激が強すぎる素晴らしいものを魅せ付けられた影響で、腰が引けて、萎えている足腰に、何とか力を込めてっ、あ、あれ、倒れる?

「アインさん、危ないっ!」
「ッ! ふぁぐうぼおぅぁぁっ!」
「えっ? あ、つぃ?」

 咄嗟にマユラが支えに入ってくれて、その柔肌というか、我が侭な膨らみというか、その頂にある硬くなった何かというか、とにかく、地肌と地肌が直接触れあった瞬間、常にない興奮から過敏になっていた神経を大いに刺激し、また、直接的にも、我が息子を張りがあり汗等で塗れたマユラの太腿に擦過され、自然、我が息子が強烈な咆哮をあげて、大噴火を起こしてしまった。

「ッぁ!」
「きゃっ!」

 その何かを失う快感の為に、萎えていた足腰が急激に砕け、盛大に尻餅をつくと同時に、その勢いでマユラを巻き込みながら、仰向けに倒れ込む。

 ……俺の半身に圧し掛かるマユラの、自身が流す鼻血の鉄臭い臭いの中に混じる、男の獣欲を大いに刺激する女の汗と当人だけが持つ甘い匂いに翻弄され、汗か何かですべらかでいてしっとりしている肌や密着することで生まれる摩擦と、自身のものではない温もりというか熱さによって、全身の神経がおかしくなったかのように過剰反応させられて、電撃が走るような悦楽が続いているのに、まだ、更なる摩擦を求めるかのように無意識的に腰が反り返って、また刺激がっ!

 あぐっ、打ちつけた、尻、と、背中の痛、み、に加え、だんだんと、の、脳髄が、焼かれて、凄まじい……虚脱感が、襲って来て、意識が……、だん、だん、遠のいて、いく。


「え、と、……いま、私の身……か……た、こ……いのって、もし……て、アインさんの……?」
「う……、は、初……、生で見た……、映像より、……り大き…………う、勢……凄いし。……にまだ、止らな……」
「ねぇ、レ……ん。あ……い塊、……って、な……も、いい……?」


 ……もう、意識、手放して、も、いい、よね?


 瞬間、悪戯、顔、で、微笑み、頷く、我、が母、の姿が、脳、裏を過、ぎったか、と思うと……、意識が…………。






 ◇ 凹 ◇






 そんなこんなで、三人に間に合わせの浴衣を着せられて、運び込まれたらしい居間のソファで仰向けに寝ながら、ずずーーーーーーーーーーーん、と、長い人生で、これまでに経験した事がない程に重いモノに圧し掛かられて黄昏ていると、別のソファに座っていたアルスターが蔑みを込めた半目で……。

「……無様ね」

 アルスターさん、今の言葉、何か、ドぐさぁっ、って、効果音が聞こえるくらいに心にクルよ?

「だいたい、何もしていないのに、手も出せないまま、暴発しただなんて、男として、恥ずかしくない?」

 連続ヒット、アルスターが放った言葉の槍は、アインの急所を抉る。

 おお、効果は抜群だっ!

「しかも、女の前なのに、興奮の余り、気まで失うだなんて、本当に……、醜態よね」

 もう……、もう、やめておくれっ!

 おいらのライフはもうゼロよっ!

「まぁ、冗談はここまでにして」

 ……じょ、冗談にしては、男の尊厳をガリガリとこそぎ取っていたような?

「三人から同時にアプローチされるなんて、ある意味、災難なのかもしれないけど……、果報者よねぇ」
「うぅ、その慰めも痛いです」

 し、しばらくは放っておいてくれた方が回復できます。

「でも、暴発に関しては、キラも似たようなことになっていた覚えがあるし……、ねぇ、アレの暴発って、男の特徴なの?」
「む、むぅ、男の神経は極度の興奮というか快感に耐え切れないって聞いた事があるような気がするから、なんていうか、安全装置的に起きるんではなかろうか?」

 さっきの俺の場合は、戦闘が続いて生命の危機というか、動物としての本能を刺激する環境が長かったというか、とにかく、性欲が増進するような状況が多かったのに半年も禁欲を続けていたから、ちょっとした刺激に過ぎないはずなのに、一溜まりもなかったよ。

 なるほどなるほど、と頷きつつ、あの時はつい笑っちゃったけど、キラには悪いことしたわねぇ、なんて呟いているアルスターに問い掛ける。

「それより、三人は?」
「浴槽を洗うついでに、折角のお湯だから、もう一度入ってくるって、三人で入ってるわ。……案外、いかに自分をアピールすればいいかって、次に向けて、反省会でもしてるんじゃない?」
「……不安になるようなことを言わないで欲しいなぁ」

 流石に、今度、似たようなことが起きたら、相当に耐えないと、自身の欲望を止める自信はないなぁ。

「ねぇ、それで、誰を選ぶつもりなの?」
「ノーコメントで」

 ふ、ふふふ、俺は本来、意識して節制しなければ、相当に欲張りだからというか、アレだけの器量良しな子達から脳髄と本能を大いに刺激する見事な物を見せられた以上、誰も手放せるわけないだろうっ!



 三人とも俺のもんだっ!



 ……だなんて、一匹の雄として、ほぼ全てが本音と言っても良い事を、カッコつけて主張してみたい気がしないでもないが、普通の反応だと、蔑まれるだけなので言わないでおこう。

「まさか、三人ともだなんて……、気が多い男ねぇ」
「え、何故にばれる?」
「え、嘘でしょ? ……あんた、それって、本気で言ってるの?」

 なんという、見事な誘導尋問っ!

 再び発せられる、さ、蔑みの視線が、俺を新たな世界へと導かんと、未開の地を切り開いて……。

「なんてことは、言わないから安心していいわよ」

 よ、良かった。

「……えらく寛容だな。女性はこういう考えを嫌うと思っていたんだが?」
「そりゃ、何も知らなかったら、軽蔑してるわよ。でも、私も三人それぞれから、それなりに事情を聞いてるからね」
「事情?」
「あ……、んんっ、それは三人から直接聞きなさい」
「あ、ああ、しかし、事情って?」
「と、とにかく! あんたは、三人から事情を聞いて、今後、どうするかを、しっかりと考えればいいのよ」

 ……むむ、なんだか、アルスターが年上の女性に見えてきたようなって、何故か、ギロリと睨まれ、げ、げふんげふん。

 それはともかくとして、確かにアルスターの言う通り、三人が風呂から上がってきたら、先の風呂場の一件を実行した理由……その真意を聞く為にも、真面目に話し合う必要はあるだろうな。

 なんて事を考えながら、ソファに再度身を預け、俺は三人の事を思い返した。

「……あんた、鼻の下、伸びてるわよ」

 おっと、いかんいかん、キリっとな。



 ……しかし、さっき見たモノは、本当にいいものだったなぁ。
11/12/23 誤字修正。

 ※後書きの名を借りた言い訳※
 今回の内容は、今後の話の展開上、一人の男の意識を不自然なく〝盛大に転ばせる〟為の描写が必要だったので、こういう仕様になってしまいました。
 ですので、筆者としましては、表現や内容的に【R15】に相当するだろうと考えているのですが、もしかすると【R18】のガイドラインにある【性的描写】に引っ掛かるかもしれません。
 よって、運営さんから〝こいつは【R18】だ〟との警告が来た場合、にじファンから別の場所に移動する事になると思いますので、予めご了承ください。

 それにしても、【R15】と【R18】の線引きって、具体的な例がないと難しいと思うのは、筆者だけでしょうか?


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