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「紙の発明」に匹敵するインパクト――新型iPadは、これから奇跡を起こす

+D Mobile 3月15日(木)11時24分配信

「紙の発明」に匹敵するインパクト――新型iPadは、これから奇跡を起こす
第3世代のiPad
 初代iPadの登場は、PCとインターネットの世界にとって革命だった。Appleが“ポストPC”と定めたそれは、人々をPCの前から引き離し、デジタルコンテンツやインターネットを"いつでもどこでも・誰もが使えるもの"に変えた。iPadの登場とその後の浸透は、人々のライフスタイルを一新し、教育の在り方から企業のワークスタイルまで変貌させていったのだ。

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 そして2012年。既報のとおり、iPadの新モデルが発表された。その名は「新しいiPad」。3世代目を示すナンバリングは廃止され、すっぴんの“iPad”という名前に戻った。

 筆者は今回、この新型iPadを発売前に、いち早くじっくりと試す機会を得た。そこで今回はその日常利用のリポートも交えながら、新しいiPadがもたらす価値と、そこにある可能性について考えてみたいと思う。

●「目が疲れない」というすごさ

 まずは駆け足で、新型iPadの要点をおさらいしておこう。

 新しいiPadは、デザインは先代の「iPad 2」を踏襲しつつ、「ディスプレイの高解像度化」「A5Xの採用」「フルHDで動画が撮れる500万画素iSightカメラ」「音声入力」「LTE対応 (※ただし現時点では米国・カナダのみ)」の5つのポイントが進化した。

新型iPadの詳細を写真で見る:(http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/1203/15/news027.html)

 製品発表時からとりわけ注目されているのが、Appleが「Retinaディスプレイ」と呼ぶ高解像度ディスプレイだ。iPad 2の1024×768ドット表示(132ppi)から、新型iPadでは2048×1536ドット表示(264ppi)になっており、iPad利用時の目からの焦点距離を勘案すると、肉眼では表示画面を構成するピクセルが判別できない。これがAppleが「Retina=網膜」と呼ぶゆえんだ。

 小難しいスペック話はこれくらいにしておいて、実際の新型iPadを触るとどうか。

 これはもう、ため息まじりで「美しい」の一言につきる。スクリーンに写るものすべてがくっきりと鮮やかであり、緻密だ。一見すると、そこにあるものがデジタル表示されたものとは思えない。いわば、「触れる印刷物」だ。今までのスマートフォンやタブレット端末はもちろん、PC、フルHDのデジタルテレビなどすべてのデジタル機器で経験したことのない高精細な美しさなのだ。新型iPadを見た後には、あらゆるデジタル機器の画面が少しくすんで古くさく感じてしまう。そのくらいiPadのRetinaディスプレイのインパクトは大きい。

 このRetinaディスプレイのiPadを使い始めると、これまでiPadが積みあげてきたユーザー体験の1つ1つが新鮮な感動に変わる。写真や映像コンテンツ、新聞や電子書籍といった表示クオリティの差が顕著に現れるものはもちろんのこと、ブラウザでWebサイトを見る、Twitterやメールを使う、スケジュールや地図を確認するといった日常利用でもRetinaディスプレイによる感動がはっきりとある。

 そして、このRetinaディスプレイが何よりもすばらしいのは、使っていて「目が疲れない」ことだ。新型iPadのスクリーンを見ることは紙の印刷物を読むかのような感覚であり、これまでスクリーン越しにデジタル情報を見ていた時に感じたあの疲れをまったくといっていいほど感じない。職業柄、自宅には目が疲れにくいEIZO製の24インチWUXGA(1920×1200ピクセル)表示のディスプレイを導入しているが、それと比べても新型iPadの方が目が疲れないのだ。今後、新型iPadのRetinaディスプレイ対応アプリやコンテンツがそろっていけば、この「美しくて、目が疲れない」というメリットはさらに拡大していくだろう。

●新型iPadで、日常は再び変わる

 Retinaディスプレイを搭載したことより、新型iPadは初代iPad登場以上のパワーで、人々の生活を変革する力を得た。

 それがもっとも顕著なのが「読む」という行為だろう。新型iPadでは日本語フォントの表示能力が紙の印刷物と同等になっており、無理をせずに読むことができる。

 これは新聞アプリを使うと一目瞭然だ。今までは拡大・縮小を繰り返さなければ読めなかったものが、記事の見出し一覧画面でも流し読みすることができる。長い記事を読んで目が疲れることもない。紙の新聞の一覧性や文字の読みやすさを捨てきれなかった人も、新型iPadならば積極的にデジタル版を選べるだろう。

 雑誌やガイドブックなどの電子書籍も、新型iPadで読むとユーザー体験ががらりと変わる。画面を横にして見開き画面でも文字を追うことができ、写真はクリアでとても美しい。

 そして、もっとも大きな変化と可能性を感じたのが、電子コミックである。筆者は「eBook Japan」のアプリを使い、新型iPadで複数のコミックを読んでみたが、その快適さは先代iPad 2とは比べものにならなかった。見開き画面でも吹き出しの中の細かな文字まで潰れることがなく、描かれた細部の線やスクリーントーンの陰影まできちんと表示されている。文庫版コミックを読むのと同じか、それ以上のクオリティで電子コミックが読めるのだ。

 映像コンテンツも高解像度化の恩恵が分かりやすいものの1つだろう。新型iPadのRetinaディスプレイは家庭用のフルHDテレビ以上の解像度であり、1080pのフルHD映像を楽々と再生できる。むろん、ハードウェアスペックがいくら高くても対応コンテンツがなければ単なるメーカーの自己満足で終わってしまうが、Appleでは新型iPad発売に合わせてiTunes Movie Storeにおいて、段階的に1080p フルHD対応のものを増やしていく方針だ。実際に筆者も子供たちと一緒にフルHD対応の「カーズ2」などを見たが、なめらかで高い質感の映像は圧巻の一言だった。これが自宅はもちろん、移動中の飛行機や新幹線の中、旅行先のホテルでも楽しめるのだ。フルHDの映像コンテンツが、一気に身近なものになるだろう。

 このように高品質・高精細な表示を実現しながら、実利用でiPad特有の"なめらかさ"がまったく損なわれていなかったことも、特筆すべきところだろう。Appleは今回のiPadに新開発の「A5X」チップを搭載。これはCPU部分はデュアルコアだが、グラフィックコアは4つ(クアッドコア)という、表示能力を重視したものだ。さらにiOS側のグラフィックス周りもさらにチューニングが進んであり、表示のなめらかさ・気持ちよさは先代以上のものがあった。

 唯一、気づいた点があるとしたら、iPad 2に比べると利用時に発熱しやすくなっているということ。しかし、これとて“ほんのり温かい”という程度である。一部の防水スマートフォンやタブレットのように明確な熱さを感じて熱暴走が心配になるといったものではない。

●写真・映像分野ではPCを完全に超えた

 コンテンツ利用だけでなく、何かを創りだす、クリエイティブな分野でも新型iPadは大きな飛躍を遂げている。それを強く感じたのが、新たにリリースされた「iPhoto」である。

 iPhotoはMacではおなじみの画像管理・加工ツールであり、利用そのものは先代iPad 2でもできる。しかし、新型iPadで使うiPhotoは別格だ。デジタル写真の世界に革命を起こすものと言っても大げさではない。

 それは新型iPadのiPhotoで、写真を触ってみれば分かる。

 まず表示される写真が、まるでデジタルプリントされたかのように美しい。Retinaディスプレイの高解像度により、PCで表示するよりも、カメラで撮影されたそのままの写真に近いのだ。これはiPad内蔵カメラはもちろんだが、別売のApple iPad Camera Connection Kitを用いて、デジタル一眼レフカメラの写真を読み込むとさらによく分かるだろう。光のゆらめきや素材の質感までディスプレイ上で確認できる。

 そして、写真の管理や加工もMac版iPhotoより直感的で使いやすい。サムネイル画面で写真をダブルタップすれば似た写真をピックアップし、編集画面では指先1つで簡単に写真を加工できる。これまでだったら自宅に帰り、PCを立ち上げて写真を読み込まなければできなかったようなことが、ちょっとした外出先から旅行先まで、どこででもできてしまうのだ。

 この「新型iPad + iPhoto」は何かと写真を撮ることの多いファミリー層はもとより、カメラ好きの人に広く勧めたい組み合わせだ。最近ではコンパクトなデジタル一眼カメラを持ち歩く女性も増えているが、そういった人たちが気軽に、でもきれいな写真を楽しむのにぴったりなのだ。

 また、新型iPadは内蔵カメラを使っても楽しい。

 背面側のiSightカメラは500万画素に解像度が上がっており、レンズ部分の光学系はF2.4の開口部と5枚のレンズの構成になった。800万画素の「iPhone 4S」と比較するとイメージセンサーの性能はやや劣るが、光学系のスペックは同等である。

 今回、筆者は家族と一緒に小旅行に出かけ、そこで新型iPadをカメラ代わりに使ってみた。実際にiPadで写真を撮ってみると、最初は画面の大きさに苦笑してしまうが、なかなかどうして使い勝手はよい。「撮影される写真」がそのままのクオリティでディスプレイに表示されるのは、使ってみるととても便利だ。むろん、撮影後にすぐに高解像度で確認したり、iPhotoで編集できるのも便利だ。

 さらに動画撮影で使ってみると、新型iPadの「1080p フルHD撮影」の威力を感じる。録画された映像はとても緻密で、何も言われなければ専用のデジタルビデオカメラで撮影したものだと思ってしまうだろう。しかもこれも、撮影したそのままの品質ですぐにiPadの画面上で見られる。ファミリー層の人はぜひ試してもらいたいのだが、これは妻や子供たちにとても喜ばれる機能である。

●新型iPadでは高速通信が欲しくなる

 このように新型iPadの魅力は枚挙にいとまがないが、実際に利用してみて気になった点もある。それは従来以上に高速通信が欲しい、ということだ。

 ここまでで述べたとおり、Retinaディスプレイを搭載した今回のiPadはユーザー体験が劇的に上がり、高品質なコンテンツ/アプリが利用できるようになった。しかしこれは、Retinaディスプレイの高解像度に合わせて、コンテンツ/アプリの容量も増えていくということでもある。そのため通信速度は速ければ速いほどよい。しかし、日本では北米でラインアップされたLTE版が用意されなかった。

 率直に言えば、筆者は今回のiPadを3Gインフラで使うのは少しもの足りないと感じている。日本向けにLTE版がない以上、ドコモの「Xi」やUQコミュニケーションズの「モバイルWiMAX」、ソフトバンクの「SoftBank 4G」、イーモバイルの「emobile LTE」など、ポスト3G時代の次世代通信サービス対応のモバイルルーターと組み合わせて使うことのメリットが大きいと感じるのだ。その上で、GPSなど3G版にしかない機能も欲しいならば「3G + Wi-Fi版」を、少しでも通信コストを抑えたいなら「Wi-Fi版」を買うことを検討するといいだろう。

●新型iPadは「紙の発明」に匹敵する

 AppleはポストPCを打ち出し、実際にコンピューターとインターネットのトレンドを、初代iPadからiPad 2によって変えてきた。ITの世界では大きな革新が起きたといっていい。

 しかし、今回の新型iPadのインパクトは、それとは比較にならないほど大きなものだ。そのユーザー体験がPCを超えただけでなく、有史以来もっとも古くて重要なメディアである紙をも超えたのだ。紙の発明に匹敵するほどの意義を、Retinaディスプレイを搭載したiPadは持っている。デジタルの世界が、アナログの世界についに肩を並べた。新型iPadを使えば使うほど、その直感が実感に変わっていった。

 最後に1つ、お詫びを述べねばならない。

 この記事内では写真や映像を多く使い、新型iPadを紹介してきたが、どれ1つとしてRetinaディスプレイの実力は伝え切れていない。PCのディスプレイやテレビの解像度は新型iPad以下であり、この網膜にぴたりとあう緻密さ・美しさが伝えられないのだ。

 だからぜひ、新型iPadが発売されたらApple Storeをはじめとする販売店に足を運び、実物のRetinaディスプレイを見て触ってもらいたいと思う。それでしか、新型iPadのすごさと可能性は分からない。そして自らの目で実際に見たら、筆者の「紙の発明に匹敵する」という評価が正しいかどうか分かっていただけるはずだ。

[神尾寿,ITmedia]


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最終更新:3月15日(木)11時24分

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