topi001 最近の離婚事情

家事 - 離婚

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001 最近の離婚事情

慰謝料

2- 慰謝料について

わかりやすいのは、不貞があった場合です。私が弁護士になったころは、夫から支払われる慰謝料は200万円くらいが相場でしたが、最近は300万円くらいが相場になってきたように思います。判決でも「300万円」というのをもらったことがあります。
不貞の場合、「夫婦関係が破綻していたこと」がよく抗弁(言い訳)として出されますが、殆どこの主張は通らないものと思ってください。本当に破綻していたとしても(笑)。ですので、決して順番を間違えないでください。
暴行、傷害などのDVもよく慰謝料の問題になります。これは程度の問題がありますので、相場的なものはなく、一般的な傷害の時の損害賠償額に+アルファをする感覚です。弁護士の先生とよく相談してみてください。

難しいのは、精神的DVです。私は、法テラスで、DVの専門相談員を長年務めていますが、圧倒的に精神的DVを主張される方が多いのが現状です。モラルハラスメント、経済的ハラスメントなど主張は様々です。ただ、法律的には、慰謝料を請求できるためには、不法行為が成立することが前提となりますが、この手のDVは、証拠が残らず、言った言わないの問題になりやすく、非常に立証が困難です。また、仮に数々の言動が証明できたとしても、配偶者の精神的疾患という結果との因果関係を証明することは、はたまた困難です。
こういう、困難な立証が求められる案件について、裁判所は仮にその成立を認めたとしても、慰謝料金額は限りなく低い額を認定するのが常で、徒労に終わることが少なくありません。
実際に裁判所で争うときには、この点に固執するよりも、もっと根本的なところで頑張った方が得策のように思います。弁護士さんとよく相談してみてください。

財産分与、慰謝料についてのまとめ

調停や、裁判上の和解で離婚が成立する場合、最終的にはざっくりと総額いくら、ということで100%決まります。細かい内訳はありません。名目は、「解決金」とされることが殆どでしょう。内訳を細かくすればするほど、反対意見というのは出てきますし、それでは全く話がまとまらなくなるからで、このような解決方法は、現場における一つの知恵なのだと思います。
解決をするときの心得として、まずは何を優先的に考えたいのか、離婚をすることなのか、親権を取ることなのか、財産分与として1/2は絶対に欲しいということなのか、という目標を決めて、その達成を目指すということを考えるのが、早く紛争を収める秘訣だと思います。この辺は、弁護士の戦略をよくお聞きになって、しっかりと事前に議論された方がよろしかろうと思います。

親権

親権は、お母さんの元に子供がいる限り、お母さんで決まりです。どんなに男グセが悪かろうと、どんなに給料が安かろうと、或いは定職がなかろうと、お母さんの側で子供が育っている限り、お父さんが親権を争っても勝ち目はありません。

私がかなり前に実際に扱った事件では、依頼者はお父さんで、お母さんがアルコール依存症でした。医者に通ったり、断酒会に通ったりして、それなりに治療に励んではいました。そんな中、子供を連れて家を出て実家に戻りました。依頼者が子供を連れ戻しにいくと、部屋にはビールの空き缶が転がっていたとのこと。こんなお母さんに子供を託せないと、それはそれは真っ向から親権を争いました。家庭裁判所には、精神科医も詰めていますので、その医師の診断なども仰ぎましたが、結局現在のところはそこまで危ない状態ではないということで、親権を取ることができませんでした。

お父さん側の苦肉の策として、子供の監護権はお母さんに渡すが、親権はお父さんが保持する、なんていう方がいます。理屈の上では、両者は別物ですので考えられなくもありませんが、裁判所の運用は、分けない扱いになっていますので、これはいくら主張しても無理です。

だからと言って、子供の親権を全く主張しない方が良いという訳でもなく、それなりに危うい状況がお母さん側にあるのなら、ちゃんと主張して、子供のことが心底心配だというアピールをすることも大事だと思います。離婚後の子供との面接交渉の回数を一般よりも増やしたいと思っている場合などには、有効かと思います。

なお、状況によっては、お父さんの側で親権を取れないこともない場合があります。この場合には、離婚宣言をする前に、ご一報いただければ有効なアドバイスができるかと思います。

 
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