経済

文字サイズ変更

休眠口座:政府活用検討、アテ外れ? 問い合わせ・解約相次ぐ

 政府が「休眠口座」にある預金を政策に活用する検討を始めたことを受け、銀行などでは預金者からの問い合わせや口座解約が相次いでいる。解約が広がれば、休眠口座全体の預金規模が縮小し、活用の効果が薄れる可能性もある。政府の「成長ファイナンス推進会議」は、4月中旬までに口座活用について中間報告をまとめる予定だが、銀行側は慎重姿勢を示し、実現へのハードルは高い。【窪田淳】

 休眠口座は最後のお金の出し入れから取引がないまま10年以上がたち、預金者と連絡が取れない銀行などの口座。国内では毎年850億円分の休眠口座が発生する一方で、払い戻しは年350億円程度にとどまり、残高は増え続けている。政府はこのお金を経済成長や雇用対策に活用することを検討している。

 休眠口座の活用検討が表面化した2月中旬以降、金融機関への問い合わせが増えている。ある大手銀のコールセンターには最も多い時で1日約500件、現在でも1日約200件の問い合わせがある。「自分の口座は休眠口座か」「通帳記帳だけの場合、休眠扱いになるのか」といった内容が多い。通帳記帳は取引ではないので、休眠扱いになる。

 別の大手銀の支店には20年以上前に作った通帳を持って来て解約の手続きをする人が相次いだ。銀行業界は90年代後半から再編が加速。銀行名が変わったり、支店が統廃合されたため、そのまま放置する預金者も多い。

 政府が検討を始めたのは海外での先行事例があるため。英国や韓国では休眠口座の預金を社会福祉などに使っている。衆院予算委員会で古川元久国家戦略・経済財政担当相は「休眠預金などの遊休資産を活用すれば、企業や経済活動が活力を取り戻し、成長につながる」と説明した。

 一方、銀行側は「(政府の)検討の過程で協力していく」(永易克典全国銀行協会会長=三菱東京UFJ銀行頭取)ものの「休眠口座でも預金者のもので財産権の問題もある」「活用するには全国12億口座を一元管理する組織が新たに必要でコストは膨らむ」などと実現には慎重だ。

毎日新聞 2012年3月2日 東京朝刊

 

おすすめ情報

注目ブランド

特集企画

中小企業の皆さま必見! KDDIスマートバリューfor Business

4月1日サービス開始 最大2年間月額1480円割引!

コスト削減でビジネス拡大を支援

東海大学:東日本大震災から1年。地震はいつ来るのか。

難しいといわれる地震予知に挑む、

地震予知研究センター長、長尾教授に聞く。

知ってほしい 岩手・宮城のガレキのいま ~1日も早い復興を目指して~ 写真展

岩手県・宮城県に残る災害廃棄物の現状とそこで暮らす人々のいまを伝える写真展を開催中。

毎日jp共同企画