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2/11(土)
改行の整理をしました。
表現の修正をしました。
第1章 修行とお仕事はじめました
第10話 証明は難しい


 頬に当たる風が心地良い。今私達は、イングランドを目指して空を飛んでいます。
 隊長さんたちは町の宿に預けていた荷物を背負って箒に乗っています!

 私はホワイト系のフード付き外套を買ってもらいました!
 飛ぶ時は翼に当たるからしまってもらったけれどね!

 しかし、森を抜けて10kmくらい進んだら町があったなんて……。
 森を出たら出たでやっぱり目立つ事になっていたのかな。
 町に行ってもこの時代のお金は無いんだよね!

「ふむ、認識阻害の魔法は問題ないようだな」
「あ、はい。大丈夫だと思います」

 そう、飛ぶとき明らかに目立つ私に、認識阻害は覚えたほうが良いって教えてもらいました。
 基礎だけど、魔力が大きいからひとまず問題は無いそうです。
 隊長さん達も認識阻害を使っているから、一緒にいれば相乗効果でまずバレないみたい。

「そろそろイングランド上空だ。他の組織や貴族領の問題もある。集中してメルディアナを目指す!」
「「了解!」」
「はい!」

 貴族かぁ~。普通に転生していたら憧れたのかもしれないけれど、今の身体だったらむしろ絶好のターゲットだよね?
 天使的な意味も見た目的な意味も。フード生活は必須になりそうだなぁ~。






 とりあえず問題が起きる事も無く、無事にメルディアナって所に着きました。
 翼を出したままだと目立つという事で、近くの森に下りてフードと外套を装着。
 報告の時に天使の姿になってほしいと言われました。

「調査隊帰還しました!」
「コードデルタ!任務ご苦労。してそちらの者は?」
「こちらは謎の魔力を発していた本人です。観測データと本人の確認も取れています。これから内容は詰めますが協力体制をとる約束は取り付けました」
「了解した。会議室を使ってくれ。他には何かあるか?」
「事はメルディアナだけで済みません。現在の最高責任者を会議に呼んでください。後々はメガロメセンブリアとの協議になるでしょう」
「なんと!……責任者には貴官ら以外の護衛も付ける事になるが?」
「問題ありません。むしろ上の立場の目撃者は多いに越したことは無いでしょう」

 何だか随分と話が大事になってる気がするんですけれど~?
 それにしても偉い人のやり取りって肩が凝りそうな話し方だよね。
 なんだか別の世界の会話に聞こえるよ。

「それでは会議室までご足労願いたい」
「はい」

 とりあえず無難に返事をして隊長さんの後を付いていく。






「わしがメルディアナの支部長になる。わざわざヨーロッパの内陸からようこそ」

 出た!いかにも魔法使い!って感じのお爺さんが目の前に居ます。

「調査隊も任務ご苦労。して、報告を聞きたい」
「了解しました。まず我々は黒の森と呼ばれる場所にて探索を行い。原因不明の魔力と同じパターンを発する女性との接触に成功しました」
「女性?小柄だとは思っておったが女性だったか。それから?」

 やっぱり話し方は仰々しいね~。
 もうちょっと軽く話せないのかな?
 こんな話し方って、天使様を演じる時は覚えないといけないのかな~?

「はい。他組織と言いますか、冒険者による魔女狩りや名上げ行為を行う集団が、上級殲滅魔法と封印術を行おうとする現場に立ち合わせました。しかし彼女の魔法障壁はその一撃を防ぎきり、即座の反撃による勝利でした」
「ふむ、魔法使いとして十分な実力があるということか」
「本質的な彼女の評価はそこではありません。むしろそこからが本番です」
「む?何があった?」
「シルヴィアさん、準備をたのむ」
「はい」

 呼ばれたので外套を脱ぎ、横にくっつく様に立っていたエイトさんに預ける。
 なんだか見た目だけで随分注目されてしまってるけれど、正直そこに感心してほしく無いな~。
 自分でこの容姿になったんじゃないからね~。

 とりあえず集中。翼を出すイメージをとる。天使の姿に――!

「これは!」
「なんと!」

 魔法使いのお爺さんも、一緒に居る偉い人も驚いている。
 一度私の姿を見たことがある隊長さん達はあまり気にして無いようだ。
 訂正。エイトさんだけは視線がおかしい。
 むしろじっくり見られてる。今触るのは止めてくださいね?

「……天使。だそうです」
「天使!?」
「馬鹿な!」

 やっぱり簡単には認められないよね~。
 証明って言っても何か方法は無いかなぁ~?

「彼女の魔力パターンは観測されたものと完全に一致。また魔法世界≪ムンドゥス・マギクス≫の精霊系亜人にも似た魔力ですが明らかに別物。そもそも彼らは魔法世界から出たがりません。また、半透明の銀の翼など聞いたことがありません」
「なるほど、のう……」
「しかし、証拠も無いのに天使とは言えないのではないか?」

 偉そうな人が反論してるけれど、その気持ちはわかるよ。
 私だって自分がこうなってなければ『天使です』なんて言われても、頭大丈夫ですか?って聞きたくなるものね。

「ふむ、ならば天使らしい力は持っておるか?」
「力?ですか?」
「うむ、我々人間や魔法使い、魔法世界の亜人では出来ない事は無いかの?」

 うーん。光の精霊と闇の精霊を集められるとか?
 あとは私の本とか。服が汚れないのは魔法で出来たりするのかな?

「彼女には使命があるそうですが……。その関係で何らかの力は無いだろうか?」

 やっぱり光の精霊をたくさん集められるってのが良いところかな?
 思いつく事を言うだけ言ってみようかな。

「えぇと、光の精霊をとてもたくさん集める事ができます。あとは着ている服が神力でまったく汚れません。あとはちょっと変わった本が取り出せます」
「服の事はここに来る間にまったく汚れず破れない事は確認したが、光の精霊と本というのは初耳だ」
「あ、はい。私は光の精霊をたくさん集められるので魔法も簡単に使えます。本というのは私の使命に関係するものです」

 やっぱり無理がある気がするなぁ。

「なるほどの。とりあえず光の精霊を集めてみてくれんか?」
「はい」

 それじゃ防御魔法のイメージで。
 ただ集まるだけで良いから力を貸してほしい!

「こ、これは!」
「なんと!?」

 その瞬間、初めてこの世界に来たときの様に、白い尾を引いた光の玉が視界一面どころか世界を塗り潰すくらい集まっていた。


10話目終了です。


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