2/11(土)
改行の整理をしました。
表現の修正をしました。
第1章 修行とお仕事はじめました
第9話 森からの旅立ち
何この状況……。
「へぇ~。天使の翼ってこんな風になってるのね。一般人に紛れ込んでいても分からないんじゃないかしら?」
わさわさ。
「く、くすぐったいから止めてもらえませんかーー!?」
この人本気触りだよ!
今まで誰も居なかったから触られたこと無かったけれど変な感じ!
「イヤよ。こんなにサラサラした翼なんて、高級な羽ペンでもなかなかお目にかかれないわ」
わさわさわさわ。
くっ!このままじゃ遊ばれて終わってしまう!
絡み付いてるこの人を何とかしないと!って、翼をしまえば良いじゃない!
忘れてたよ私!くすぐったいのを我慢して集中。人の姿に!
「あぁ!」
何ですかその凄く残念そうな顔は。
可愛く膨れても出さないものは出しませんよ!
「と、とりあえず、話を続けてもいいだろうか?」
「ハイ。すみません」
「エイト、離れろ」
「イヤよ」
この人変り身が早過ぎるんじゃないかな?
隊長さんもっと怒ってやってください!
「エイトが先に言ってしまったが、我々としては大きな魔力の原因を味方に引き入れたかった。結果的に1人の女性、いや天使であったというべきか。解ってもらえるだろうが、宗教的・世界的な影響力は計り知れない」
うん、そうだよね。
教会の人とかから見たら、天使様がやってきました!我らに導きを!奇跡の御業を!
とか言われそう。
「我々魔法世界の影響力は、イングランド王国内のメルディアナ学校にある。十字教の影響力もあり、天使としての影響はそれこそ王を抜くものにもなりかねない」
ですよね~。嫌な予感がしたんだ。
ぜったい利用されるよね?
というか、宗教ってこの時代は、かなりの影響力があった様な?
「出来れば我々とメルディアナまで来てほしいのだが、問題は無いだろうか?無ければ向かい正式に協力内容を詰めたい」
無い、よね?信仰集めは必須らしいし、魔法世界の組織とも仲良くなれそう。
次の転生者が生まれてくる1300年頃に魔法世界に行ける様にしてもらえれば良いし、この隊長さんと仲良くなれば利用されないように上手く考えを助けてくれそう。
あとは~?あっ!女神様に作ってもらった家!
「はい、メルディアナってところに行くのは大丈夫です。ただ、私の家が置き去りになってしまうのでそちらをどうにかしたいって思うんですけれど」
「ならば結界魔法で封印を行うと良いだろう」
結界?そんな魔法は私の本に書いてなかったよ?
封印とかもあるんだ。危険なものもありそうだし、色々教えてもらおうかな~?
「えっと、結界とか封印とかの魔法は知らないのですが、どうすればいいのでしょうか?」
そういうと何だか変な顔をされてしまった。
あれ?そんな変なこと言ったかな?
「我々が最初に接触したときに『こおるせかい』の上級殲滅魔法からの封印術を、君が吹き飛ばした連中が唱えていた。結果的に魔法障壁だけで相殺されていたが、君ほどの魔力でなければ今頃まとめて氷の中だ」
ええぇぇ!?あのとき結構ヤバかったんだ。防御魔法の練習をしておいて本当に良かったよ。
氷付けにされたままどうなっていたか分からないものね!
「ともかく家を結界で覆って、認識阻害と影の魔法で隠せば問題ないだろう。君の魔力を楔として打てば封印完了だ」
認識阻害?影で隠すって言うのはなんとなく分かるけれど。
また知らない魔法が出てきたよ。
「すみません、認識阻害って何ですか?」
「認識阻害の魔法は、例えばそこに有る物を無いと思わせたり、違う場所にあると思わせる魔法だ。隠したい物や人、暗示にも使われる」
なるほど~。って暗示とか言われるとマッチョ神を思い出すな~。
でも必要そうだし習っておくだけなら損はなさそうかな。
「分かりました。家まで案内しますから、その魔法を教えてもらえますか?」
「了解した。しかし初めて使う魔法を、一朝一夕で組み合わせる事は普通は無理だ、なので我々が魔法の陣を作る。最終的な魔法の発動と楔打ちの魔力供給だけは君に任せる」
「はい、お願いします」
うん、色々魔法が混ざってるみたいだし。
イメージも出来ないからそこはまかせっきりかな。
魔力を出して楔を打つ?ってだけならちゃんとイメージ出来そうかな。
とりあえず、そろそろ腕を放してもらえませんか?」
「イヤ☆」
星を飛ばされました……。
「えぇと、ここが私の家になります」
私達は場所を移動して、女神様に作ってもらった家の前に居る。
なんか変な目で見られてるんだけれど、どうしたのかな?
「随分と変わった家ね?何と言うか前衛的?」
「見たことが無い壁ですね。何で出来ているのだろう」
散々な言われようだ……。
別に変な家だと思わないんだけれどね~。これくらい普通じゃない?
リビングとベッドルームとバスルームのちょっと良いホテルみたいな感じ。
一軒家なんだけれど、西洋風だし何かおかしいのかな?
「ふむ。きっと天使から見たらこれが普通なのだろう。封印術をかければ楔を抜くまで出入りは出来なくなる。何か必要なものがあれば今のうちに取り出しておくのをお勧めするが?」
やっぱり変らしい。う~ん、取り出しておく物って言っても本は体に入れてあるし、服は天使様やるなら黒いほうは要らないよね?
「特には無いかな~。無くても困るものはありません。家には生ものもありませんから」
なんかまた変な顔をされてしまった。今度は何だろう?
「ねぇ天使ちゃん。結構上等なドレスを着てるけれど、森を抜けるんだし外套とか無いのかしら?メルディアナへ行くまでに汚れるわよ?」
「あ、このドレスって汚れたりしないんです。家にあるのは色違いだけですから、天使として偉そうにするなら真っ白のこれだけで良いかな~、なんて」
「よ、汚れない!?」
「何でも有りなのね~」
「偉そうに、か。まぁそうだな。ククク……」
むぅ。笑われてしまった。
しかも呆れられている様な?
これじゃ、信仰を集めたり威厳とかには無縁になりそうな予感が!
「問題無いなら魔法の準備だ、セブンは影で覆え!エイトは認識阻害の上乗せを!結界は私が担当する!」
「「了解!」」
そう言ってテキパキと作業を始めてしまった。
どんな手順かも分からないほど手早い様子で、もう終わったのかこちらに近づいてきた。
「それでは仕上げに『魔法発動体』になっているダガーを渡す。ダガーを抜けば魔法は解除されるが、君の魔力ならば他の者は抜けないだろう。何も考えずに思いっきり魔力をこめて、玄関前に突き刺してほしい」
「はい!」
受け取ったダガーに魔力を流しながら、無心でダガーを振り下ろした――。
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