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2/10(金)
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プロローグ
第3話 そろそろ説明してください


「じゃぁまずはこれを渡しておくわ。あと貴女の管理者としての使命もあるからきちんとこなしてね」

 ――本?
 丁寧な装丁だけれど、転生の説明は無しなのかな?
 聞きたい事もあるんだけれど……。

「なにかしら?」

 そろそろ心を読むのを止めてください。
 とりあえず順番に……かな?

「えぇと、私のほかにも何人か居たと思うんですけれど、小さい子とかも居たし流石に私みたいな事になっていたらかわいそうだなぁって……」

 成人していた人も居れば同い年くらいの人も居た。
 でも流石に子供はねぇ~。

「それも使命の1つね。あなたの使命は大まかに3つあるわ」

 3つ?管理が1つ目だよね。
 あの子を助けるのも使命みたいだし、あと1つはなんだろう。

「まず1つ目はこの世界を存続させること。天使として信仰を集めておくことをお勧めするわ。信仰がなくても死にはしないけれど今の時代ならヨーロッパに行くのがお勧めね」

 信仰!?生き神様として崇められろと……。
 そんな器じゃないと思うんだけどな~。

「そして2つ目は、『セフィロト・キー』で貴女のほかの転生者の『枷』を外すこと。」

 『枷』?あの子にも何かされているって事かな?

「まず転生者は貴女を含めて5人。まだ他の子は1人も生まれていないわ。最初に生まれるのは200年後に魔法世界≪ムンドゥス・マギクス≫ね」

 魔法世界……?
 なんだかずいぶんファンシーな所だったりするのかな?

「ずいぶんかけ離れたイメージをしているみたいだけれど、わりと現実的で危険な世界よ」

 あぁ、やっぱり。マッチョ神め。

「そこは原作の問題ね。ちなみに貴女が付けられていた『枷』は『不条理』だから」

 ――え!?不条理?

「そもそも彼がどうしてこんな事をしたかというと、暇だったらしいのね」

 暇つぶし~~~!?
 そんな理由で巻き込まれたの!?

「まぁ早くに亡くなってしまった貴女達が運をつかんだとも言えるし、不条理に巻き込まれたとも言えるわね」

 うん、決めた。なるべく人助けをしよう。
 不条理を押し付けるのは良くないよね。
 あ、でもどこかの誰かが善意の押し付けは要らないって言ってたような。だれだっけ?

「それで転生者達を『セフィロト・キー』で大まかな『枷』の取り外しと再構成すること。彼が見て楽しむために行われた転生だから、要望に対して曲解、あるいは歪な形で取り付けられているわ。さしあたって200年後に生まれてくる子もそうなっているはずよ」

 なるほど~。
 まずはその子の『枷』はずしかな。うん、頑張ろう!

「転生の時にかけられた『枷』はさっき渡した本を、本人の前で開けば分かるようになっているわ。近くに行けば本が反応するから、それで探すことね」

 ふむふむ。どんな『枷』をつけられたか想像したくないなぁ~。やっぱり不幸とか?

「それじゃぁ3つ目ね。地球に関しては彼が光と闇を集めてくれたおかげで、幸いにも命の循環に影響は無いわ。『神核』を押し付けて傍観するつもりで居たみたいね。問題は火星にある魔法世界よ」

 火星!?魔法世界って火星だったんだ……。
 それよりも火星に行くなんてロケットとか?
 そんなの作れないし、持ってる国にお世話になるしか無いのかな?

「魔法世界へ行くための転移ゲートが世界のあちこちにあるから問題ないわ。特に熱心な宗教関係者には魔法使いが関わっているから、信仰集めにはもってこいよ」

 ……。天使様を演じろってことかな?騙すようで気が引けるなぁ~。

「だますも何も天使じゃないの」

 そうでした。
 うーんとりあえずはヨーロッパに行って――。

「思考がそれているみたいだけれど、魔法世界での最終的な目的は『造物主』のもっている『グレートグランドマスターキー』を食べること」

 食べる?鍵を?
 光の玉といい精霊といい、何だか変なものばっかり食べてるよね……。
 いい加減普通のご飯がたべたくなってきたな~。

「とは言っても、物語の大きな出来事は必ず起こるわ。そのため2003年の夏に魔法世界で大きな戦争があるのだけれど、その戦争で『造物主』を必ず倒すこと。これは貴女が倒しても主人公が倒しても問題ないわ。その後は『造物主』の所有物という設定が無効化されて、管理者である貴女の所有物になる。」

 ――2003年?
 200年後にあの子が生まれるとして、今何年なのかな?
 何だか嫌な予感がするんだけれど……。

「食べるというのは物理的なものではないわ。比喩。私たち神族にとって人間的な食事のイメージは持たないほうが賢明ね。食事は出来るけれど食べたそばからマナに還元されるから、消化とかは無縁ね。そもそも貴女にも物理法則は当てはまらないから慣れる事からはじめなさい」

 とりあえず200年の間は、身体を慣らして、教会に接触、あの子を助ける。になるのかな。

「最後になるけれど本の説明ね。まず表紙を開いてみて」

 えぇと、…………『シルヴィアちゃんの取扱説明書♪』

「なにこれぇぇぇぇ!」

 私の取扱説明書って何!?転生者を探す本じゃないの!?

「貴女、自分の体の事や魔法の扱いとか解る?その辺りどうなっているのか初級から中級魔法の教本をかねた説明書よ。もちろん『セフィロト・キー』もその本の中に入っているわ」

 そうですね……。
 そもそも自分の体って今どうなってるのかな?
 天使って事は翼が生えてたり?

「はい、鏡」

 そういうと姿見がどこからともなくいきなり出てきた。
 普通にチートだなぁ。いや、魔法なのかな?

「…………え!?」
「そんなに喜ばなくていいわよ♪」

 だれこれぇぇ!?
 顔は面影があるような気がするけれど、明らかに私じゃない!
 すっごく可愛くなってる!それに確かに銀色だらけだね。

 髪は銀色のロングだし、紫の瞳も光の加減で銀っぽく見える。
 今まで気にならなかったけれど銀色の翼がちゃんとある!
 って、意識したら何だかむず痒くなってきた!?

「むぁわわわわ!」

 混乱気味にがむしゃらに翼を動かしはじめてしまった。
 何だか余計に変な感じが――!

「おちつきなさい」

ごす!

「痛った!」
「おちついたかしら?とにかくヨーロッパに移動するから手を出しなさい、引っ張るから飛びながら慣れること。いいわね」

 そ、そんな無茶な~!

 考える間も無く手を引かれ、その場から飛び立った。


3話目終了です。


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