米銀、外国政府巻き込む2段階戦略-ボルカールール対策で
2月23日(ブルームバーグ):米銀は監督当局に対しトレーディングとヘッジファンド所有をめぐり提案されている規制を外国企業にも拡大するよう促し、その後に各国政府に規定の適用範囲についての異議を申し立てるよう呼び掛ける-。
こうした2段階戦略で外国の当局者も米金融機関と共にいわゆる「ボルカールール」の反対勢力となっている。ボルカールールは2010年に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)に基づくもので、ボルカー元連邦準備制度理事会(FRB)議長にちなんでこう呼ばれている。ボルカー氏はオバマ政権で経済再生諮問会議議長を務めた。
スタンフォード大学のアナト・アドマティ教授(金融学)は、「外国政府が自国の銀行を代弁する形で批判することはボルカールールと闘う米銀の手助けになる」と指摘した上で、こうした戦略は「銀行が経済にもたらすリスクを軽減するという本来の問題から議論がずれ、状況を複雑にもする」と付け加えた。
ボルカールールは預金受け入れ金融機関の自己勘定取引やヘッジファンド所有などを規制するもの。JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーなど米銀は、FRBなど監督機関に対し同ルールを米国以外を本拠とする企業にもより幅広く適用とするよう求めた。こうした要請は非公開だとして事情に詳しい4人の関係者が匿名を条件に明らかにした。
「競争上の不利」FRBのウェブサイトに掲載された文書によれば、JPモルガンのために働くロビイストが10年12月に電話を通じFRB当局者にボルカールールは米銀にとっての「競争上の不利」につながると説明。別の文書では、モルガン・スタンレーの幹部7人が昨年4月にFRBの当局者6人と会い、同じような懸念を表明したとしている。
JPモルガンとモルガン・スタンレーの広報担当者、FRB報道担当者はコメントを控えている。
原題:Bank Lobby Widened Volcker Rule, Inciting Foreign Outrage(2)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Yalman Onaran yonaran@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:David Scheer dscheer@bloomberg.net
更新日時: 2012/02/24 11:30 JST