東大:秋入学に移行へ 「国際化」加速求める中間報告

2012年1月18日 11時20分 更新:1月18日 20時29分

東京大学の安田講堂=東京都文京区で、平野幸治撮影
東京大学の安田講堂=東京都文京区で、平野幸治撮影

 入学時期の見直しを検討してきた東京大の懇談会(座長、清水孝雄理事・副学長)が、学部の春入学を廃止し、秋入学への全面移行を求める中間報告をまとめたことが18日、分かった。入試は現行のまま春に行う。入学時期を国際標準に合わせ、大学のグローバル化を加速させる狙い。中間報告は20日に公表する予定。学内で意見を募り、今年度中に最終報告をまとめる予定だが、慎重論もあり、東大は学内手続きを踏んで秋入学を実現させるとすれば、5年後がめどとしている。

 中間報告は、秋入学を採用する国が世界全体の約7割、欧米では約8割を占めており、4月入学を基本とした現行の教育システムについて「特異な状態。学生と教員の国際交流を制約する要素の一つ」と指摘。秋入学の最大のメリットとして、学生と教員の国際流動性を高め、留学を促進する効果を掲げた。

 秋入学を実施した場合は、(1)9月入学・1学期(9~12月)・2学期(3~6月)(2)9月入学・1学期(9~12月)・2学期(2~5月)(3)10月入学・1学期(10~1月)・2学期(4~7月)(4)10月入学・1学期(10~1月)・2学期(3~6月)--の4パターンを例示。入学前と卒業後に生じるすき間の期間「ギャップターム」では、「受験競争の中で染みついた点数至上の意識・価値観をリセットする」として、ボランティアや海外学習による体験活動を推奨している。これに伴い、合格から卒業までの一般的な期間は4年半~5年になる。

 一方、秋入学のデメリットについても、入試から卒業までの期間延長に伴う家計負担の増大、就職の遅れ、官公庁や企業の人材確保の困難などを挙げた。

 秋入学を導入済みの大学院段階は、春秋入学の複線化が進んでいるため、秋入学の全面移行は「より慎重な検討を要する」との考えを示した。

 東大の浜田純一学長は「タフな東大生の育成」「グローバル・キャンパスの形成」などを重点課題に掲げた将来構想を10年に策定し、昨年4月に入学時期の在り方について懇談会を設置した。【木村健二】

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