5 変身、笑顔の戦士キュアハッピー
アホみたいに、テンションの高い女子中学生。
派手な色をした非実在動物。
あざとい。
どこか緊張感に欠ける敵。
変身。
どうやら老害の作った自問自答システムが黙秘を貫いているようなので、ここは俺が答えを出すとする。自問自答システムは後で、圧迫尋問を惜しみなく使用して心を八つ裂きする。
アホみたいに、テンションの高い女子中学生。
→もしかして、女児向けのアニメ?
派手な色をした非実在動物。
→もしかして、マスコットキャラ?
あざとい。
→もしかして、黄色?
どこか緊張感に欠ける敵。
→もしかして、馬鹿?
変身。
→もしかして、仮面ライダー?
と、言った感じだろうか。
いや、ていうか、俺、プリキュア見た事ねーよ。
だいたいプリキュアとはなんなのだ。何の略だ。俺から見れば、ニチアサキッズを前座にしやがった東映アニメーション内で敵対する派閥の刺客である。ここ最近、スーパー戦隊や仮面ライダーを話せる友人が増えてきたと歓喜に震えていたら、「そういや今度始まったプリキュアおもしろいでごるぅwwwww」と話を切り出し、それまで得たニチアサ同士達は反旗を翻してプリキュア談義の俺の前で始めた。俺は怒りの余り、ち裂いては投げ、ち裂いてては投げ。友人達に取り押さえられるまで見境なく暴れ続けた。POWER TO TEARERを魅せ付けた。その力で敵を手懐けたりはしない、殺す気だった。おかげで俺は一週間の停学を喰らい、カウンセラーが3日毎に通えと命じられた、ばっくれたけど。友人曰く、「降魔の儀」が執り行われるんじゃないかってくらいに、俺は血の涙を流していたとか。当然だ。涙は仮面ライダーの証だ、ヒーローの証だ。仮面ライダーの目の下の線は涙を表しているのだ。フォーゼはどう見てもないが、きっと心の目で見るものなのだろう。俺は見えてる。というか涙を流して当然じゃないか。同じニチアサキッズと想って心を開いていたにも関わらず、奴らはスーパー戦隊・仮面ライダーを前菜扱いしていたのだ。ふざけるな、スーパー戦隊と仮面ライダーはご飯とステーキだ。ご飯だけではもの足りなく、ステーキだけでは脂っこい。切っては離せぬスーパーヒーロタイムなのだ。ヒロインは下がれ。プリキュアなんてデザートのようなものだ。デザートのためにご飯とステーキを喰ったのか、お前らはどこのスイーツだ。スイートなプリキュアって奴なのか。ちなみにバトスピはサラダとする。バトルスピリッツ・ブレイヴはサラダと言うには重い内容だったが、その分、子供達に世界に重要なテーマを伝えた事だろう。
で、だ。
マジか、マジでか。この世界はプリキュアの世界なのか。次にディケイドの映画をやるなら、ここしか残ってないとか言ってたが、来なくていい。来る必要ない。ヒーロー達が踏み込むような所ではございません。お引取りを願います。許してください。代わりに俺の命を差し上げます。あ、もう一度死んだ身だった、死ぬのは…、久しぶりだ。いやまだ一日も経ってねぇよ。無理に仮面ライダーエターナルのネタ入れるんじゃなかった。いやしかし、Vシネマ「仮面ライダーエターナル」はおもしろかったな。三条陸さんとの相性がバッチリだ坂本浩一監督。彼は日本のアクション映画の背中を押した男の一人として数えるべきだと俺は思う。が、その前に石田秀範監督こと「巨匠」を筆頭に立たせてあげたい。あの方の恐れない演出力は、どんな平坦なストーリーであろうと瞬きできなくなってしまうのだから。仮面ライダークウガ第二話での教会が燃えるシーンは今でもハッキリと思い出せるし、響鬼第一話のいきなりミュージカルは驚いた。そして、記念すべき仮面ライダー1000回記念の回は、米村正二が脚本にも関わらず見事にやってくれた。石田監督を世界に羽ばたかせてください。翼をください。俺としては特撮をずっと撮っていて欲しい。否、石田監督は今や、日本のスーパーヒーロー達を支える大黒柱なのだ。石田監督、翼返してください。あ、ちなみに米村正二の脚本は未だ抵抗感があるが、逆にあそこまでぶっちぎってると逆に清々しくなってきたので別に構わない。嫌いじゃないわ。何故、転生する直前はdisってたのに心変わりしたかと言うと、今現在、この世界に俺の知るスーパーヒーローはないからだ。もうメインが米村正二でいい。仮面ライダーカブトでいい。誰か俺に仮面ライダーを見せてくれ。新しく始まる特命戦隊ゴーバスターズでも可。むしろ希望する。既にAmazonで玩具を予約済みだったのだから。
……ん?米村正二?
そうだ。米村正二。確か何週間か前に始まった「プリキュア」のシリーズ構成やってたぞ米村正二。タイトルは確か…。えーと、なんだっけ…。あ、思い出した。スーパーヒーロータイムを愛するニチアサキッズとして恥べき事かも知れないが思い出した。「スマイルプリキュア」だ。黄色の子が放送前からかわいいと騒がれていた奴だ。放送を開始してからアヘ顔ダブルピースのコラ画像が多発した可愛そうなあの子。ま、スーパーヒーロータイムを愛する俺には関係のない事だがな。いやいやいやいや、関係ある。今や関係ある身となってしまったのだ。あのアヘ顔ダブルピースにされる子がこの世界にいるのだ。しかもプリキュアだ。一体どこにいるのか検討も付かない。探さねば、妹の次に。アヘ子を異次元から伸びる魔の手から救わねば。俺はこの世界にいるのだから、創作上のキャラクターと捉えず実在する物と認識する。アヘ子、お前は俺が守る。まずは星空を優先するがな。
あ、もしかして星空ってプリキュア?
いいね、プリキュアって。
いい番組だ、感動的だな、だが観てない。
ニチアサキッズとして恥ずかしい限りです。
さすが東映さん、いい仕事してる。
ヒューヒュー。
■
「プリキュア!!スマイルチャージ!!」
『GO!!』
光の向こうで、軽快な音が鳴り響いている。
『GO!GO! LET’S GO HAPPY!!』
「なんだ…、何が起こっていやがるんだ!?」
狼男も左腕の怪我を忘れ、輝く光に魅入っていた。
それは俺も同じ事で、地面に突き刺さった“八輪鉤爪”の存在を忘れて、立ち尽くしていた。
…というか、■から上の事を考えていた。
いや、マジでプリキュアってパないっすね。マジリスペクトっす。
そして光の中から、彼女は現れた。
「…キラキラ輝く未来の光! キュアハッピー!!」
左手を上に、右手を下に。
マゼンタとピンクの色が特徴的な、そしてプリキュアな星空がポーズを決める。
「プリキュアみつけたくるぅー!」
非実在動物、もといキャンディもどうやら大喜びしている。
なんだ、キャンディはプリキュアを探していたのか。それならそうと、何故俺に相談してくれなかったのか。俺ならば例えどんな相談事もたちまちズバっと解決するのに。主に八つ裂きを用いて。俺と“八輪鉤爪”が手を組めば出来ない事はない。
おっと、“八輪鉤爪”を回収回収っと。
俺はまだ呆けている狼男の隣を通り過ぎ、キュアハッピーへと変身した星空の隣へと移動する。
「星空、その姿…」
これは天使が光臨したのではないか。マゼンタ色の髪が特徴的なツインテールが短めの三つ編みを交えて描き、ピンク色のフリフリ衣装が男心をくすぐる。今なら、プリキュアをニチアサ教の傘下に入れても構わないと思える程にかわいい。いや、むしろ肩を並べ、共に悪を倒す同士となろう。マゼンタの仮面ライダーディケイドとマゼンタのキュアハッピーが肩を並べればさぞ絵になる事、間違いなし。監督は日本で一番のアクション監督にすべき坂本浩一、脚本は群集劇がお得意で強気なヒロインを描かせれば天下一の千葉靖子、 音楽はいつも作品に合ったBGMを提供してくれる鳴瀬シュウヘイとする。ゲストはおじゃ魔女ドレミ。東映さん、出番です。
「え?…え!?え!?え!?えぇ!?なんなのこれぇ…? かっ…かっ…かわいいいいい!!!これって超かわいい!!」
キュアハッピー、もとい星空はプリキュアの衣装をえらく気に入ったようで、身体をくるくる回してはしゃぎ始めた。
「おちつくくる! いまちみは、でんせつのせんしプリキュアになったくる!」
キャンディは目をキラキラとさせ星空に胸に飛びついた。
…おい、どこに触ってやがる非実在動物。そこは星空のお胸様だろうが下種が。貴様がいていい場所ではない。貴様がいるべき場所は地獄だ。いる所を間違えてしまったようだな、俺が改めて引導を渡してくれようか。お前のせいで星空が胸を見る度に笑顔を崩したら、どう落とし前をつけるのだ。だがしかし、俺はデリカシーを貯金しすぎて、金利が男性百人分に匹敵する程の数を常に生み出している男だ。ダイアゴン横丁のグリンゴッツ銀行でも俺のデリカシーは貯蓄できまい。俺は星空が気にしないよう、非実在動物をそっと掴んで離した。
「伝説の戦士…、プリキュア?」
俺の手にぶら下げられている事も気にせず、ばたばたと手足を動かしながら答えた。
「そうくる!!」
「戦士って事はまさか、あの狼さんと…」
「戦うって事だな」
俺は輪になった“八輪鉤爪”の接続部を一つ外して、八つ繋がった“八輪鉤爪”を真っ直ぐに整えた。
“八輪鉤爪・兜鋸”
五つの両刃のハサミがついた、八つの“八輪鉤爪”が一直線に並び、四十のサハミがまるでノコギリのような形となる。例え兜を着ていても、縦に裂ける事は間違いない。故に、“八輪鉤爪・兜鋸”。
近接戦闘では多大な力を発揮する形態である。
これを使えば、最初からクライマックスだぜ。
「行くぞ狼男、貴様を身柄を環境省に保護される前に、絶滅させてやる」
「えぇーーーっ!? 無理無理無だって怖いもん!!」
「「えええええええええええ」!?」
非実在動物と声をシンクロさせてしまった、不覚だ。
いや、でも。
「でんせつのせんしプリキュアなのにくる!?」
「そうだぞ星空、ここで戦わずして、ニチアサキッズのガールズサイドとビックフレンズ達を守らずしてどうするというのだ?」
「プリキュアってなんなのぉ…?」
星空は涙目で訴えかけてきた、かわいい。
いや、そうじゃなくて。え?なに?プリキュアって変身したら戦い方が自然に流れ込んできて、仮面ライダー達と似たような感じに、分けもわからないまま武器を正しく使って戦うもんじゃないのか。誰だ、プリキュアのシステム作った奴は。どうにかするんだ、東堂いづみ。東映アニメーションのペンネームって事はスタッフが沢山いるんだろうが。
一方、非実在動物は「でんせつのせんしプリキュアくる」としか答えない。お前の元にもうすぐ死神が来るくる。覚悟しておけ。
「ちっ、なんだか知らねぇが。俺様を傷つけた落とし前は高くつくぜ…。返り討ちにしてやるッ!!」
狼男が俺達の混乱に構わず向かってきた。
「「いやああああああああああっ!!」 あ、そうだ!!狼と言えば!!」
「えぇ!? どこいくくるぅ!?」
「! 何か策があるのか」
「いいからいいからぁ!!」
プリキュアとなった星空に妙案が思いついたのだろうか。
俺は左手に“八輪鉤爪・兜鋸”を、右手に非実在動物を。星空は俺の右の手首を掴み、一軒家に向かって走り出す。星空の手やんわらかい。
狼と言えば…、それは乾巧って奴だよ星空。そういえば平成仮面ライダーシリーズが消えたこの世界で、Mr.仮面ライダーこと高岩成二さんは元気にやっているだろうか…。
俺達は一軒家の狭いベランダに駆け込み、レンガの塀を盾にするような配置となる。
「なんだぁ?」
素晴らしくも大胆、かつ必勝へと導く策を考案した星空と、全ての邪魔者を八つ裂きにして勝利へと導く俺。二人の最強コンビを恐れ、狼男はレンガの塀がある一軒家の前で立ち止まった。
恐怖しろ、戦慄しろ、そして平伏せ。
これが笑顔の戦士、キュアハッピーこと星空みゆきの策だ。
勝ち鬨を上げる準備は出来ているぞ。
「三匹の子豚じゃ、狼さんはレンガのお家を吹き飛ばせなくって…ハッピーエンドよ!!」
「なるほどくるー!!」
「星空って頭いいな。まさか絵本を元に作戦を立てるなんて」
「でしょでしょ!!」
ふぅー、危なかったぜ。一瞬、相手が星空にも関わらず「お前はアホか、女子中学生とは言え八つ裂きにするぞ」と罵倒しそうになった。COOLになれ、俺よ。…名前なんだったっけ?仮面ライダーフォーゼのパイロットを作り、日曜の朝に劇場版並のアクションを披露する監督と同姓同名だった気がする。さすがCOOLな俺だ。SUPER COOLにPERFECTだ。そう、ここはプリキュアの世界。スーパー戦隊や仮面ライダーの世界ではないのだ、残念な事に。プリキュアの世界はこういう事もまかり通る事がある、ファンタジーな世界なんだ。危うく異世界人認定されて、次元の向こうからSOS団に誘拐される所だった。危ない、危ない。
「……ウルッフッフッフ。馬鹿め!!俺様はこんな事も出来るんだよ!!」
「「「ええっ」」?」
狼男はどこからか、赤というには少し濁り、どちらかと言えば血のような色に染められた玉を取り出し、空に掲げて叫ぶ。
「いでよ!!アカンベェ!!」
…もはや、ネーミングセンスにツッコミは入れまい…。
赤い玉から、赤と黒の禍々しいオーラが飛び出したかと思うと、俺と星空と非実在動物が盾にしていたレンガの塀が、赤い玉から発せられた物と同じと思われる禍々しいオーラを帯び始めた。
「きゃあ!?何、何!?」
「逃げるぞ星空!!」
今度は非実在動物を離した右手で、星空の手を掴み、一目散に一軒家から飛び出し退避する。星空の手やんわらけえ。
禍々しいオーラを纏ったレンガ塀のが、ドクンッと鼓動したかと思うと、あっという間に巨大な怪物へと変貌した。まるで、レンガの家に下を出したピエロの顔と、ピエロの手足が付いたような、そんな悪趣味な身体を引っさげた、周りの家と同じくらいに巨大な怪物。
「アカンベェエーーーーッ!!!」
もうツッコミません、八つ裂きにして勝つまでは。それにしても、星空の手やんわらけえ。
「コイツの名は“アカンベェ”。ピエーロ様の力でキュアデコルのパワーを、バッドエンドに変えて生み出した怪物だぁ」
どうせ説明するなら、能力の詳細と弱点も話してくれないだろうか。この狼男め。星空の手やんわらけえ。
「キュアデコル…」
「何、言ってるの…?」
「説明を求む。3行で答えろ。ピエーロとか、バッドエンドとか、キュアデコルとか、プリキュアとか。知らない用語ばかりでは視聴者様が付いて来れないだろうが。ニチアサキッズ達はまだ幼い子供達なのだ。いきなりそんな片仮名を並べられても理解に苦しむだけだぞ。視聴率落ちるぞ、打ち切りになっておじゃ魔女ドレミの新シリーズが始まっちゃうぞ。ところで星空、お前の手ってあったかいのな」
「へ?」
「じゃかじゃかうるせぇ!!お前こそ訳の分からん事を並べるな!!行けぇ!!アカンベェーーーッ!!」
「アッ!!カンッ!!ベエエエェェェーーーーッ!!」
怪物は巨大な身体に似合わぬスピードで、足を踏み出しこちらに突撃してきた。星空の手やんわらけえとか思いにふけってる場合ではない。
しかし、あの巨大な身体では俺の“八輪鉤爪”を用いて八つ裂きにするには骨が折れそうだ。むしろこっちが折る、もとい裂くのだが。
「いやああああああ!!こわいいいいい!!」
フッ、と。
コンクリートが破裂した地面が見えた。見下ろしていた。
あれ? また死んだ? 嘘だろ? 星空も一緒に死んでしまったのか?
「うわああああああああっはあああああああ!!」
が、星空と俺はまだ手を繋いでいる。しかも暖かい。
一度死んだ経験がある俺は、まだ死んでないと悟った。
…死んでないのにこの高さ? 何が起こった?
悲鳴が聞こえる星空の方を見ると、上下が逆さまになった星空こと、キャアハッピーの顔がそこにある。いや、逆さまになっているのは俺か。空に街が見える。
「っえ? ぶわああああぁぁぁぁぁっ!?!? なんじゃこりゃあああああ!!」
上の台詞は俺ではなく、自分のいる高さに気づいた星空の声である。
「ハッピーすごいくるぅ!」
暢気にも非実在動物は、星空が靡かせるツインテールの先っちょに掴まり感想を述べた。
それなら俺も、と感想を述べる。
「…確かに凄いが、これはやばくないか?」
地面に赤いお花が咲いてもおかしくない高度だぞこれは。
「いやあああああ銀次くん、ちょっとこれどうやって降りるのぉぉぉ!!」
パニックを起こした星空は俺の身体に必死に抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、抱きつき、はっ、今、まるで古いファミコンに衝撃を与えたせてせいでバグッたかの如く、思考が飛んでた。ていうか今も飛んでた、物理的に。ニュートンが見たら羨ましが…じゃなくて、びっくりするだろう。
「アカンベェくるくる!!」
今のはさすがに分かった。「来る」に「くる」。
え?来るの?
「アッカンベェェーーーッ!!」
まるで大砲で打ち上げられたかの如く、怪物は巨大な身体を俺達に向かって飛ばして来た。邪魔するな怪物よ、今俺は星空の柔らかくも拙く、それでいていい匂いがする………。デリカシーを惜しみなく使用する。俺よ戻って来い。怪物は帰れ。
「きゃああああああ!!来ない、でッ!!」
俺に抱きついたまま、ばたばた暴れる星空は一か八かと、怪物に鋭い蹴りを入れた。
また命の危険に晒された時に起こるスローモーションか、転生前の学園戦争以来だな。怪物のピエロのような顔面が止まって見える。クロックアップもこんな感じだろうか。…あれ?怪物が時間を巻き戻したように地面へと戻っていく。ハイパークロックアップでもしたのか。あ、チート能力あるの忘れてた。
が、そうではなく。キュアハッピーと化した星空が蹴り飛ばしたようだ。
「うわああぁぁぁあああぁぁぁああああ!?」
「くるうぅぅぅーーーー!!」
「ほげーーーーーーっ」
ニュートンは自分の安息のために、俺と星空とキャンディを重力を用いて地面へと落下させる。てめぇ、後で八つ裂きにしてやる。お前のモフモフした髪型ごと。くそ不味い林檎でもかじって待ってろよ。
「むぎゅっ」
「ぐるっ」
「ほげっ」
何か柔らかくも暖かい、真っ赤な地面に俺達は落ちた。
どこかでヒーローショーのイベントに伴い、子供達の遊び場としてトランポリンでも用意してあったのだろうか。八つ裂きにした後にでも行こう。星空と。
「ぶはっ、おおう生きてる生きてる」
「いててて…、って、何!?今のスーパーパワー!」
「プリキュアは、せかいをまもるせんしくるぅー!!」
非実在動物は手足をバタバタとさせて、改めて説明した。
「おおぉー!」と星空は目を煌かせ、非実在動物を両手で掴んだ。
「わかったぁ!!これってテレビのスーパーヒーローね!!」
「え゛え゛ぇぇぇーーーー!?そんなんじゃないくるぅ!!」
「おい、非実在動物。まさにその通りだろうが。スーパーヒーロータイムだろうが。仮面ライダーとスーパー戦隊と肩を並べられるだろうが。余り舐めた口を叩くと八つ裂きにして、手袋にしちまうぞ。そして、星空にプレゼントする。星空って誕生日いつ?」
「えっ? えーっと…って、キャンディを手袋にしちゃダメぇ!!」
「そんなばあいでもないぐるぅーーー!!」
悲鳴を上げる非実在動物を両手から降ろし、星空は立ち上がって手をグッと握り、勇ましく胸を張る。
「まっかせてぇ!!私、やってみる!! …んで、次は?」
「………とりあえず、ダッシュだな」
冷静になって周りを見れば、ヒーローショーの舞台なんてなく、あるのはレンガの家を象ったピエロの怪物だった。星空、俺達鼻の上にいるぞ。
「ひゃあああああああっ!?」
俺と星空は飛び上がって、怪物の鼻の上から離脱した。
「こわあぁぁぁいよぉぉぉ!!」
「にげちゃダメくるぅ、たたかうくる!!」
「逃げるも戦法だ、戦いだ。距離を取らねば話にならん。殿という軍事用語もあるんだぞ非実在動物」
俺と星空は肩を並べて、住宅街を走る。
が、たしかに逃げてばかりでは話が進まない。
後ろからドスドスドスドスと、ピエロの怪物は俺達を追いかけてくる。
「……わかった、星空は距離を取れ。俺がなんとかする」
「銀次くん!?」
「くるぅ!?」
俺はブレーキを掛けて、怪物の前に立ちはだかる。
「アカンベェ?」
「出番だ“八輪鉤爪”。俺達が只者ではない事を、この愉快な顔をした怪物の脳髄に深く刻み込ませて………」
あれ?“八輪鉤爪”?どこ行ったの?
確かにさっきまで身体の一部となってきた“八輪鉤爪”がいない。
え? もしかして家出? 実家に帰らせていただきます? そんなまさか、え。ちょっと。マジでか。待ってくれ、“八輪鉤爪”。俺は浮気なんかしていない、俺は恋をしたら、愛へと一直線になる男だぞ。「だからモテないんだよ…」と転生前の女子は言ってたような気がするが、モテなくていいの。、ただ一人の女に捧げるものなのだから、複数の女に狙われるような要因はいらない。あ、まさか、さっき星空が抱きついたのが原因なのか? 待ってくれ、“八輪鉤爪”。あれは違う。違うんだ。ただちょっとデリカシーの使用が遅れただけなんだ。いつもは垂れ流して回りに配布しているデリカシーで済んでいたから油断していただけなんだよ。戻ってきて、“八輪鉤爪”。俺はお前を愛しているんだ。
「銀次くん、危ない!!」
「アッカンベェーーーーっ!!」
星空の声で我に返り、怪物が巨大な平手を連続のバク転で避ける。
先程、俺がいた場所はコンクリートが弾け飛び、砂煙を乱暴に上げていた。
危ない…、あとちょっとで日曜の朝が血に染まる所だった…。
「た、助かった星空」
「でも、一体どうすれば…」
怪物はコンクリートを潰した手を見て、頭に「?」を浮かばせている。
「ハッピーシャワーでアカンベェをじょうかするくるぅ!!」
「なにそれ…?」
「おい、日曜の朝にそれは早いぞ非実在動物。浄化どころか邪念が増えるだけだ」
シャワーシーンのサービスで怪物が浄化されるって、どこの深夜アニメだ。またBPOがうるさく騒ぐだろうが。それにシャワーシーンと言ったらもう、星空がやるしかないじゃないか。ごめん、ぶっ殺してくれ。今、Pixivにありそうな絵を星空で想像してしまった。しかも、その後に、後ろから《ノクターンノベルズがこちらを見て手招きしてるので、自粛しました》してしまう想像をしてしまった。もう星空に顔向けできない。Pixivで「ネッ広」と検索して自分を戒めるから、その後に殺してくれ。とにかく悲惨に。八つ裂きに。
「そんなことないくる!!プリキュアのいやしのちからくるぅ!!」
「! 必殺技か」
「カッコイイぃー! わかった!やってみる! 覚悟しなさい!」
ようやく、俺を潰し損ねた事に気が付いた怪物はこちらを向いた。
星空はそのマスケ顔に一指し指をビシッと刺し、挑発する。
「今度はなんだぁ?」
狼男も怪物に追いついてきたようだ。これで一網打尽。
…じゃない、待て、星空。
なんだかこのタイミングは危ない気がする。
俺の静止もままならず、星空は即興で作り出したてあろう呪文を唱え始める。
「ハッピーハッピー…、ハッピーシャワー!」
星空は前に両手を突き出した。
「って…、ちょっとどうなってんのよ!?」
結果は不発だった。タトバキックかよ。
顔を紅潮させて、星空はヒソヒソ声で非実在動物に問いかけた。
ちなみに俺も余りの恥ずかしさに顔を赤面させ、両手で覆っている。
男子たるもの、乙女の恥じらいは鑑賞するものではなく、分け合うもの。
止められなかったのが心残りだ。
「はっぴーはっぴー、はっぴーしゃわー。か…」
「言わないでぇ!! ハッピーシャワー!!ハッピーシャワア!!ハッピーシャわー!!ハッピーシャワぁー!!」
星空は顔を赤くしたまま、様々なポーズでハッピーシャワーを出そうと四苦八苦している。
「…なんだこれ?」
と、狼男。ホントにね。なんだろうね。
「アカンベェーーーー!!」
怪物の唸り声を合図に、追いかけっこが再開された。再び住宅街を走る俺達。
マジでどこ行ったんだ“八輪鉤爪”。ブランド物のバッグを買ってあげるから出てきてほしい。再会のキスだって濃厚な奴を贈ろう。
「いやああああああ!!何にも出ないじゃない!!」
「きあいがたりないくるぅ!!」
「絶対ウソ!! 私、超やる気だったもん!! てか、今超恥ずかしいぃぃぃーーーー!!」
「大丈夫、俺は星空の頑張る所、ちゃんと見てたから」
「いぃーーーーやぁーーーー!!聞きたくない聞きたくない聞きたくなぁぁーーーい!!」
「アッカンベェッ!!」
怪物は先程からダランと下げたままの舌を使って、俺達を攻撃し始める。
そんな使い方をするのか、顔に似合わず凶悪な使い方をするな。コンクリート砕けてるじゃないか。
「ベェッ!!ベェッ!!ベェッ!!」
激しい攻撃の余波に足を取られて、星空はコンクリートの地面に転んでしまった。
「星空!」
俺もすかさず靴を削って止まり、星空の傍に駆け寄る。
「………ダメダメハッピー…、逃げてばっかりじゃハッピーも逃げちゃう…」
地面に膝をつき、俯いたまま星空は首を振って、自分に言い聞かせる。
「そんな悪い狼さんなんかに、絶対負けたくなぁい!!!」
涙目ながらも勇敢に、星空は怪物と狼男に向かって自分の怒りを言葉でぶつけた。
すると、先程からずっと、キュアハッピーに星空が変身してから腰に下げていた、変身アイテムらしきモノが輝き始める。
「スマイルパクトくる…!! スマイルパクトにきあいをこめるくるぅ!!」
「えっ? そっか!!」
星空は何かを理解したのか、ギューっと身体に力を入れ始めた。
「気合だ気合だ気合だ気合だ気合だーーーーッ!!!」
気合を入れ終わったらオィッ!! オィッ!! オィッ!!と締めを括りそうな程に、星空はスマイルパクトに気合を込め続ける。それに呼応して、スマイルパクトの輝きが増していく。
「力が吸い込まれていく…、何これ力が抜ける!?」
「やすまずにちからをこめるくるっ!!」
非実在動物の言葉に背中を押されて、星空は更に「気合だ気合だ気合だ!!」とスマイルパクトに力を込めていく。
「茶番は終わりだ!! アカンベェ!!」
「アカンベェーーー!!」
怪物は両腕を上げて、星空に襲いかかろうとする。
が、俺の存在を忘れるとは何事だ、何奴だ、何様だ。
俺は地面を蹴り、右足に力を込めて鋭いキックを怪物の赤い鼻に向かって放った。
「アカンベェ!?」
突然、鼻先に走った衝撃で怪物は怯む。
“八輪鉤爪”、俺はもう一人で大丈夫だ。
絶対に、俺よりいい相手を見つけるんだぞ。
そして、俺より先に死なないでおくれ。
「銀次くんっ!?」
「構うな星空。ハッピーを守りたいなら、自分のやるべき事をしろ」
「っうん!! 気合だ気合だ気合だ気合だ気合だーーーーッ!!!」
星空の口から放たれる「気合」という言葉が、そのままスマイルパクトに行っているかのように、光は更に激しくなっていく。
そして、星空の周辺はピンク色の光で満たされた。
「いまくるぅ!!」
来る、と察した俺は怪物の鼻を虐めるのをやめ、最後の一撃にと、鼻を強く蹴り星空の放つ必殺技の射線から離れる。
「プリキュア!!ハッピィーー……、シャワーーーーー!!!」
スマイルパクトから得た光が、星空の両手を包む。
星空はその光でハートを描き、同じくハートの形を作った手でキャッチして必殺技を放った。
星空の放った光は怪物を飲み込んでいく。
「アカァーーーンベェーーーー……」
消え行く光と共に、レンガの家を象ったピエロの怪物も消えていった。
グッジョブ星空。あの顔は八つ裂きにされた事に歪んでた。
「ハァ…、ハァ…、なにこれ…、すっごい疲れた…」
女子としてその顔はいかがな物か、と少々問いたくなる程に星空の顔は疲れを表し、そのまま脱力して膝を崩した。もちろん、デリカシーで世界を動かし、いずれ月へと進出する俺は、両手で星空の二の腕を掴んで支える。
「格好良かったぞ、星空。お前がいなかったら俺はどうなっていた事か」
「えへへ…、銀次くんもありがとう。私達を守ってくれて…」
………うーむ、こんな間近で女子にお礼を言われるのは恥ずかしい、赤面してしまう。
「ハッピーシャワーは、とてもパワーをつかうくるぅ」
「今、俺と星空が話しているだろうが非実在動物」
「くるぅ!?」
俺は余計な茶々を入れてきた非実在動物を足で踏んで黙らせた。
さあ、星空。話の続きをしよう。これまでの三つのあらすじを交えてから再開した方が良いだろうか。ひとーつ。俺と星空が出会った。ふたーつ。星空がプリキュアに変身した。みっつ。星空は怪物を倒した。現在、俺の使えるメダルはない。必死に集めたのにな、老害め。
「ハァ…ハァ…、さっきに言ってよぉ~…。 ふぐっ…、こわかったあ~~~っ」
「おーよしよし、星空は頑張ったぞー。偉いぞー。スーパーヒーローだぞ。いや、スーパーヒロインと呼ぶべきか? 痛っ」
星空をあやしていると、頭のてっぺんを何かに小突かれた。誰だ、今星空を褒めている最中なのだ。邪魔する奴は八つ裂き…、あ。もしかして…、“八輪鉤爪”…? ま、待ってくれ。待ってください。マジで誤解なんです。ギャラクシー?NO、デリカシー!な俺として、星空の心のケアをしていただけなんだ。下心なんて欠片もない。浜の真砂程もない。何度だって言ってやる、俺はお前一筋だよ“八輪鉤爪”。
「キュアデコルくる!!」
俺に踏まれたままの非実在動物は、目をキラキラとさせて落ちてきた何かを見つめていた。
キュアデコル? ああ、さっき狼男がなんか言ってたな、そんなの。ピエーロがどうとか、バッドエンドがどうとか。
俺は星空が一人で立てる事を確認して、空から落ちてきたキュアデコルと非実在動物が呼ぶものを拾い上げた。
一見すると、苺の形をしたボタンのようなものだ。なにこれ?
「なんだろうこれ…? あ!そういえばあの狼さんは!?」
おぅ、忘れてた。え?狼男?いたっけそんなの?知らないなぁ。
まあそれは小粋な冗談として、狼男も綺麗さっぱり消えていた。星空の放った必殺技で一緒に浄化されてしまったのだろうか? いや、テレビ的な観点から見るにそれはないか。何か色々と知っている幹部っぽい奴だったし。まあいずれ、俺の手で八つ裂きにすればいいか。うん。
急に光が差したかと思うと、夜空と満月は消えて元の空へと戻った。
どうやら、一難去ったらしい。
…また一難来ると思うが。
ぶっちゃけ、ありえる。
■
俺は、変身も解けてしまったにも関わらずかわいさを意地したままの星空と先程の商店街へと戻った。その道中に行方不明になった“八輪鉤爪”と感動の再開をし、熱い接吻を何度も交わした。抱擁した。刺さった。痛かった。それでも愛した。星空と非実在動物が引いていた気がするが勘違いだろう、俺達の再会とタッグの再開に茶々を入れず、そっと見守る事を選択したに違いない。さすが星空、わかってる。
商店街に到着すると、先程までネガと化していた人々は元通りになり、そこに居座っていた事を不思議がっていた。
「よかったぁ…、街の人達にスマイルが戻って」
「ああ、そうだな。これ以上星空にネガティブな言葉を聞かせたら、どう八つ裂きにしてくれようかと…」
“八輪鉤爪”、なでなでちゅっちゅ。うふふふ。
「それは…、やめてね?」
「え?なんで?」
「……えーと。ところで、色々説明して欲しいんだけど…」
俺の指に摘まれて、ぶら下がっている非実在動物に星空は問いかける。
先程、ナチャラルに星空の肩に乗ろうとしたので俺が捕まえた。暴れるので振り回したら大人しくなった。躾のなってない非実在動物はこうしておくのが一番だ。
「……プ、プリキュアになって…、キュアデコルをあつめるくるぅ…」
まるで皮袋のように、非実在動物はぐったりしていた。不届き物め。
「星空が質問してるんだぞ、まだ躾が必要か」
「そして!!キャンディのせかいをすくってほしいくるぅ!!」
気まずそうな顔を何故か俺に向けていた星空は、再び目をキラキラとさせて非実在動物に答えを返す。
「えぇーー!? …全然わかんないけど…、おもしろそう!!」
「ほんとうくるぅ!?」
「うんっ!!」
「……じゃあまずは、キャンディのことをすくってほしいくる……」
振り回す。
横Gは宇宙飛行士の基本だ。悲鳴を上げるんじゃない。
やかましすぎて星空が困ってるだろうが。
…なんだろう、とびきりなハッピーを、俺は再び取り戻せる気がする。
“プリキュア”
ここでコメントさせていただくとする。
スーパーヒーロータイムを愛するニチアサキッズが歩むべき、新たな領域。
彼女もまた、世界を守る日本のヒーローだ。敬意を表して膝を付け。
劇場版を観にいくのが恥ずかしいだろうが、大丈夫。俺達はどんな垣根も越えられる同志だ。
オーケー、手を繋ごう。この星は大きなファミリーなのだから。
“坂本浩一監督”
「ウルトラ超銀河伝説」で名を知らしめたアクション監督。
アメリカ版スーパー戦隊こと、パワーレンジャーシリーズにて監督をこなし、「ウルトラ超銀河伝説」を切欠に日本へと帰国。仮面ライダーWの劇場版では高評価を得て、更にはVシネマの監督もやってくれた。“仕事”だから仕事するのではなく、“楽しい”から仕事をするという、仕事人の鑑である。ちなみに、彼の監督した話はチラッとエロイ。さすが坂本監督。城島ユウキは一目惚れしました。 …待ってくれ、“八輪鉤爪”。出て行かないで。お前がいないと八つ裂きにできない。
“怪物”
狼男が放った刺客。顔面がピエロ。
バッドエンドに染められたキュアデコルを元にして作られている。
これはあくまで俺の予想にすぎないが、きっと色々なものをモチーフにした怪物と戦う事になるのだろう。ゴレンジャーの仮面怪人に慣れている、懐の深い俺は気にしない。平等に八つ裂きにする、死ね。
“八輪鉤爪・兜鋸”
近接戦闘に特化した“八輪鉤爪”の形態の一つ。
ノコギリのように見えるが、“八輪鉤爪”の刃は、両刃の日本刀のように作られているので、切れ味は抜群である。真ん中を折る事だけで、中距離用の投擲武器“八輪鉤爪・鎌鼬”へと変形する。とても使い勝手が良いので、学園戦争以前からこれを主力武器として戦った。
“ネッ広”
検索は自己責任で。
ネットは広大だわ…。
■
と、いう訳でスマイルプリキュアの第一話に当たる話はこれでおしまい。
次はもちろん関西弁こと、日野あかねの話になります。
念のために申しておきますと、作者は日野あかねは嫌いではありません。
ついでに言うとプリキュアも嫌いじゃないわ。
その証拠に今現在、作者のPixivブックマークが三色の色で輝いています。
非常に身体に染みますね。
一部に淡いピンクや白が混じっますがご愛嬌という事で。
…さーて、チート能力どうしよう。何も考えてないぜ…。
ていうか、話をもっと縮めないと身体がもたない!!
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