4.理解した、この世界がなんなのか
気を取り直す、取り戻せ。
新たな名前を冠する俺、えーとなんだっけ?まあいいや。
とりあえず、商店街にやってきた。
新たな新天地なのでスーパー、病院、銀行、100円ショップ、ファーストフード店等々。
マンションで生活するために必要なお店をチェックしていく。
“家”とは表現しない。俺の家は、両親と俺と妹が生活していたあの家だけなのだから。
■
一通りチェックが終わり、本題に入る。
目の前には小さな本屋。
俺はここで、妹の行く末が描かれた漫画を探す。
妹の行く末が記された漫画のタイトルは自問自答を使っても、題名、作者名、出版社が出てこない。「自分の手で探すがよい」という老害の気遣いだろうか。余計な下世話だ。死ね。俺に八つ裂きにされろ。関西弁を八つ裂きにする前に、中学生の身体での実力を測りたい。
ちなみに、我が相棒にして身体の一部である“八輪鉤爪”は既に取り戻しており、今は俺の両腕の中でスヤスヤと寝ている。馴れ親しんだ重さで落ち着く。取り上げてられてから、腕がふわふわしていて落ち着かなかった。
等価交換もなしに俺の身体の一部を持っていった女教師に詰め寄ると、「絶対に!! 持ってきてはいけませんよ!!?」と念を押された上で返却された。この世に絶対なんて、絶対にありえない。コーラを飲めばゲップが出るくらい確実にな。ここ来週のテストに出ます。赤点は八つ裂き。
とりあえず、まずは路地に出ている本棚を当たるとしよう。
妹の行く末が記された本はもしかしたら、もうすでに完結された漫画で、こういう風に太陽を浴びて焼けても構わないような本となっているかも知れない。そうであったら本屋の店主の命運もここまでだろう。俺の妹の行く末が記された漫画をぞんざいに扱う等、聖書を踏みつけるに等しい。キリシタンもモルモンも、助走を付けて殴りに掛かる程に愚かな事だ。
本の背表紙を眺め、気になる題名があれば手に取り内容を確認する。
…「仮面ライダー・仮面ライダーV3カード完全図鑑」。
よろしい、店主。貴様の宣戦布告は確かに受け取った。
特撮に関連する本は例外なく聖書だろう、ニチアサキッズの常識として。
………おいおい、ウルトラマンUSAや激走戦隊カーレンジャーの本まであるじゃないか、これは余りに酷い。盾に猫を縛り付ける兵法を食らったような感覚だ。これは保護せねばならない。ニチアサキッズを愛する者として優しく介抱せねば。もう大丈夫だ先輩諸君。戦いは俺が引き継ぐ。今は、俺の腕の中でゆっくり休んでいてくれ…。しかし、まず最初に精神からジリジリと削るとは、この店主、世界のために生かしてはおけない。人を殺すのは、振り返ってみれば意外にも初めてだが案外容易いものなのかも知れないな…。そうか、ヒーローたちはこの怒りを原動力として戦っていたのか。一年中これをキープするなぞ正気の沙汰ではない。ヒーローという偉大さを改めて噛み締めた。ありがとう店主。お前を殺す事で、俺はヒーローたちの心を知る。感謝する。好敵手である事を俺は心から認めよう。じゃあ死ね。レッツパーリィー。
「くるぅー!くるぅー!」
相棒である“八輪鉤爪”を目覚めさせ、いざ決戦の時という所で。
今朝、どこかで聞いたような、合成着色料をふんだんに使用した突然変異型の非実在動物の甲高い声が聞こえてきた。
声の発信源を探ると、俺の右側に非実在動物はいた。ていうか、跳ねてた。
「その非実在動物、止まれ。お前の実在は都条例で許されていない」
起こしたばかりで悪いと思いつつ、俺は“八輪鉤爪”を袖の中のベッドに放り込む。ごめんよ、後で血を吸わせてやるからな。今日は二人分ご馳走してやる。関西弁と本屋の店主。
俺はバッタのように、ダニのようにピョンピョン跳ねる非実在動物を手でキャッチした。
「くるぅっ!?」
おお、本当に柔らかい。特にこの耳らしき部分は極上ではないだろうか。
否、ほっぺも捨てがたいな。いやむしろ全身? これは加工が難しそうだ。これで何か作ってプレゼントすれば星空は俺を許してくれるだろうか。
…あ、星空の事考えたら鬱になってきた。死にたい。
俺は何も悪い事をしていないのだが、星空が俺を避けるという事は知らぬ内に悪い事をしてしまったと言う事なのだろう。他人の振り見て、我が振り直せだ。しかし、くそっ。俺が所持するデリカシーは飾りだったというのか。デリカシーを換金できたら今頃日本市場は一時期パニックは起きるだろうが、その後は永遠に崩壊しないバブルが続き地球最大の経済国家と化し、アメリカ合衆国が媚を売り足を舐める程に持っているというのに…。俺のバカ、もう知らない。
それは俺の胸にそっと置いといて、今は目の前の非実在動物だ。
「くるぅぅぅーーーー!!」
「また会ったな非実在動物、暴れるな。お前には黙秘権がある。弁護士も呼んでやる。家族や友人との面会も許可しよう。だがここで逃げれば罪は重くなるだけ。お母さんが泣いているぞ?」
………うっかり家族に関連するキーワードを使って更に鬱になってきた。
だから、俺はどこの八兵衛なんだ。俺は八兵衛ではない。俺の名前はなんだっけ?確か、仮面ライダーフォーゼの主人公と同姓同名だったような気がする。
「キャンディはむずかしいことばはわからないくる!そらからおおかみがきたくる!」
「俺もお前の言ってる事が分からないくる。意味不明くる。さっぱり分からん。「来た」のか?「来る」のか?過去か?未来か?時の列車デンライナーか?ああ、もしかして「あっ!UFOだ!」メソットなのか?馬鹿め、俺をそこいらの中学生と同じにしてもらっては困る。そんな手は通用しない、その手を通そうったってそうはいかない。八つ裂きにされるのがオチだ。あ、一句できた。『愚策なら、八つ裂きにしよう、ホトトギス』。季語は「愚鈍」。俺に歯向かう事がどんなに愚かな事か、とても良く表現された句です。俺が戦国大名なら天下を総取りだったな。今度、投稿でもしてみるとしよう。さて、早速だが簡易裁判を執り行う。判決、八つ裂き。異議を唱える者はいないか?いないな。いたら八つ裂きだ。それでは刑を執行する。老害に「八つ裂き」と伝えておいてくれ。涙が出るまで連呼する事が、お前に与えられた最っとも光栄な任務だ。帰還報告はしないで構わん。俺はお前を信じる。お前を信じる俺を信じろ。では、さらばだ非実在動物。六紋銭は持ったな?良い旅路になる事を心から願ってる。死ね」
「くぅるぅーーーーーー!?」と非実在動物は叫び暴れる。
動くんじゃない、皮を脱がせにくいじゃないか。
「だめええぇぇぇぇぇ!!!」
はて?今、星空の声が聞こえぎゃばん。
本棚の方角から、何か柔らかいような、ちょっと足りないような。
そんな物体が俺に向かって突進してきた。
本屋の店主め、こんな罠も仕掛けているとは侮れん。体制を立て直して、八つ裂きにせねば。
でも、なんだかちょっぴり嬉しい気分なのは何故だろう。
その謎の物体の突進により、俺はコンクリートに叩きつけられた。
でも、なんだかちょっぴり嬉しい気分なのは何故だろう。
その物体が俺に圧し掛かる。息が出来ない。
でも、なんだかちょっぴり嬉しい気分なのは何故だろう。
「…ここって…、商店街の本屋さん…?ど、どうなってるのぉ!?はっ!キャンディ!?キャンディ!!」
そばかすなんて気にしない、いたずらかけっこ大好きな少女がどうかしたのだろうか?そいつにはこう言っとけ。「笑えよ、ベジータ」。いや、なんか違うなこれ。何もかもが違う。ママさぁ~ん!ママさぁ~ん!Cooking stop!
いや、これも違う。俺が止まれ。星空。そう、星空の声がした。店主許すまじ、星空を盾に縛りつける戦法を使っただと?この声は偽者ではない。俺が星空の声を聞き間違えるわけがない。それにこの匂いは星空そのものだ。くんかくんか。どうやら俺は機関に狙われていたようだな。まさか星空を巻き込む事になったとは。卑劣極まりない。どうやら越えないでいた一線を、俺は越えなければならないようだ。本屋の店主。てめぇは背中から斬る。もとい背中からKILL。
「くぅるぅーーー!!」
「ちょっと待ってよぉ!」
「待たない。店主、お前の命はここまでだ。」
「きゃっ!」という声と共に、俺に掛かっていた重みが消えた。すぅー、はぁー。ひぃー、はぁー。息ができる。空気って素晴らしい。地球が生んだ相棒だ。…いやいや待ってくれ“八輪鉤爪”。浮気じゃない、浮気じゃないんだ。これは俺という人間が生きるのに必要な糧さ。そう、利用してやってるのさ。空気の奴ってば見境なく、誰にでも腰を振る糞ビッチだ。そんな糞ビッチは炭素を付属して捨ててやる。唾棄してやる。当然の報いさ、俺はお前一筋だよ。愛してる。家族の次に。…いや、もう家族だな。俺の一部になっているんだ。お前もそうだろう?結婚しよう。披露宴は派手に行う。科学の限界を超えて次元の向こうから妹も祝福してくれるさ。新婚旅行はコロンビア。今は無法地帯だから、多少八つ裂きにしても構わないだろうから。で、子供は何人欲しい?いっやーん。“八輪鉤爪”ったらエッチ。チュっ。
「ごっごめん銀次くん!!」
「銀次?…ああ、そんな奴いたな。確か修学旅行でゲロ吐いた奴。…いや、俺か。俺じゃないか。いや、違う。待て星空。俺はゲロなんて吐いてないぞ。むしろ介抱してやった紳士だ。イギリスに行っても俺は粗相しない。むしろ、俺の立ち振る舞いで新たな流派が生まれるほどだ。門下生にはデリカシーを配布する。今なら無料体験実施中。今朝の朝刊を要チェックや」
上体を起こすと、両手に非実在動物を持った星空がいた。
あれ?縛られてない?臆したか、本屋の店主め。最善の策だが、寿命がほんの少し延びただけだぞ?むしろ、俺を手間取らせただけ後が酷いと思うが。どうあがいても、八つ裂き。
「くるぅーーーー!!そらからおおかみがきたくるぅーーー!!」
「へ?そんなの来るわけな…っ!?」
「どうした、デンライナーでも見たのか?良太郎が佐藤健なのか確に…ん?」
星空の目線の先を見ると、空に人の形をした何かが浮いていた。
よくよく目を凝らすと、長い白髪をなびかせた、ややパンクな格好をした狼男。
「ってぇ!!「ほんとになんかいるし」っ!?」
星空、何気に俺と息ぴったりだな。光栄だよ。
狼男は懐から本を取り出し叫ぶ。
どこかで見たような本で同じくハードカバー。
ただし、その本は紫を主体に濁りきっている。
「世界よ!!最悪の結末…、バッドエンドに染まれェ!!」
狼男は右手に絵の具のチューブを持ったかと思うと、それを握り潰し、手から黒いインクが溢れ出した。
「白紙の未来を黒く塗り潰すのだァ!!!」
狼男インクで汚れた手に構わず、ハードカバーの本にべったりと塗りつけた。
何?狼男は芸術家なの?
ロールシャッハテストでも作ってるの?
ちなみに転生前の学園で行われたロールシャッハテストで、「頭のかち割れた犬」って言ったら週に一度、カウンセラーに通うことを義務付けられた。なんで。
すると突然に、唐突に。
まだ日が高く上っていたはずの空が夜に変わり。
満月が我が物顔で居座っていた。
仮面ライダーキバが近くにいるのか。ぜひ、ご挨拶したいな。
いやいや、夜空に変わるという事は必殺技を繰り出している頃合か。紅渡はお疲れの身だ。それならば一人のニチアサキッズの一人として身を引こう。俺はお疲れの身に、黄色い歓声を浴びせるような無粋な奴ではないのだ。遠くから見守る。これがニチアサキッズの嗜み。頑張れ、仮面ライダーキバ。いずれ東京ドームCITYに握手しに行く。あ、これはスーパー戦隊だった。ゴーカイレッドの「僕と握手!」って台詞は違和感MAXだったな。今度、熊本県にある三井グリーンランドに行こう。そこで握手しよう。
じゃなくて。
未来を?バッドエンド?
待て待て、そんな神様みたいな事があのパンクな格好した奴にできるか。
せめて音楽界に革命を起こすか、“狼男は実在した!?”という見出しで一時期世間を騒がせるのがオチだろう。あんな奴にできるとは思えん。何をしている老害。また、どっかで死んだ奴を転生させているのか。いいかげんにクレームの電話を掛けるぞ。
…待てよ。
「なに…なんなのこれ?」
「ウルフルンがせかいをバッドエンドにしようとしてるくる…」
途惑う星空と、何か知っている非実在動物を他所に、俺は思い出していた。
老害との会話を。
『許してちょんまげ!!』
あの老害、最後に吐き捨てやがったよな、史上最大の暴言。
いや、それは俺の怒りの炎の糧にするとして。置いといて。
『まあ、神の管理からはずれた世界じゃからねじ込んで終わりじゃが…』
あの老害は、因果律がどうのこうの言っていた。
が、しかし。あの狼男は「未来を変える」と言っていた。
どうやら、この世界は神が管理しないが故に、因果律とやらは不安定らしい。
…いや、さげんな老害。
ちゃんと管理しておけよ、思いっきり乗っ取られてるじゃねぇか。
しかも、バッドエンドだぞ?世界滅んじゃうぞ?ピースが全部零れて落ちちゃうぞ?
やっぱり、職務怠慢としか言いようがないじゃないか。老害め。
「バッドエンド…?」
「わるいみらいのことくる!」
「星空。どうやら、あの狼男には未来をよくない方向に変える力があるらしいぞ。」
「!! そうくる!そのとおりくるぅ!」
考察はここまで。今は目の前に起きた事に集中しよう。
だいたい、バッドエンドに変えるって事は。
星空が危ない。
周りを見ると、商店街にいる人々は膝をつき、うなだれ、頭を抱え、足を抱え、気味の悪い色の光を垂れ流している。いや、それだけではない。星空のような子には一文字も聞かせたくないような、後ろ向きな言葉も垂れ流している。
「もう…、おしまいだ」
「頑張っても無駄…」
「どうせ…、ダメなんだ…」
「なんなの…これ…」
おい、お前ら。黙れ。星空が不安がっているだろうが。そういうネガティブなものは垂れ流すもんじゃない。ぶっ飛ばすものだ。八つ裂きにするものだ。知らない奴とはいえ、星空を不安にしようものなら俺が許さんぞ。
「たいへんくるっ!みんなからバッドエナジーがでてるくる!」
「おい、非実在動物。エナジーって事は何かのエネルギーなのか?」
「やめるくるぅーーー!!」
……どうやら、本気で相当にやばいものらしい。俺の言葉も聴かず、非実在動物は小さな身体をじたばたさせて狼男を止めようとしている。非実在動物のくせに生意気だ。
……ん?非実在動物はともかくとして。
俺と星空はなんで平気なんだ?
ズシィン と、狼男は地面へと降りてきた。星空はその音に驚き尻餅をつく。
華奢な身体に似合わず、重いらしい。あんな細身であの重さ。内側に相当な筋肉を溜め込んでいるのだろうか。鋼の錬金術師のエンヴィーかお前は。
俺は両方の袖口から“八輪鉤爪”を出し、戦闘態勢に移る。
俺の身体能力チートがこの狼男に追いついていればいいが…。
「お前もこの世界に来ていたのか」
「せかいをバッドエンドにしちゃダァメェくるぅ!!」
非実在動物は小さな声帯を絞って必死に叫ぶ。
「なにそれ…?どういう事?」
「ウルッフッフッフ…」
………ちょっと待て。なんだその笑い方は?
俺の中のシリアスが解けちゃったじゃないか。シリアスよ我に帰れ。いや、帰るな。まだ上がっていい時間じゃない。来月から契約を切ってやろうか。八輪鉤爪”もびっくりの余り鋼鉄の刃をしょんぼりさせちゃってるよ。しょんぼり。ほら、しょんぼりしてるじゃないか。ていうか本当に世界をバッドエンドにする気あるの?アルバイトなの?何、その余裕の構え。どっかで見た事あるような、ないような気がするんだけど。
「未来は全てバッドエンドになる、頑張っても無駄なだけだ」
いや、もう遅い。迫力が足りない。そんな悪役みたいに両手を広げてもダメ。ダメなもんはダメ。スーパー戦隊の怪人の方がもっと凄みがあるわ、ゴレンジャーの仮面怪人の方がましだわ。チートが覚醒したらゴレンジャーハリケーンをしても許される気がする。何にしようか、できれば狼男に関連するものがいい。よし、決めた。モモ、ゴレンジャーハリケーンだ。ゴレンジャーハリケーン、「玉ねぎ」。むしゃむしゃ食べて爆発しろ。死ね。
「ちがうくる!!無駄なんて絶対にないくる!!頑張ったら、きっとハッピーになれるくる!!」
…ほう。
…この非実在動物、いや、これからはキャンディと呼んでやろう。そんな小さな身体に合成着色料を含ませ、縁日に売り出されるようなそんな身体で。なかなか良い事を言うじゃないか。
そう、頑張ったらきっとハッピーになれる。「頑張ってるけどハッピーになれなーい」なんて、馬鹿にする奴はここにはいない。まあ、環境によってはそういう奴もいるのかも知れない。けれど、俺はキャンディの事を言った事は否定しない。頑張ったらハッピーになれる。俺はお前の味方だ。
隣に、星空がいるしな。下心なんてない。むしろ、友情がある。
「ふっ!ほざいてろ…。ん?」
狼男は何かに気づいたようで、俺の方を見た。
なんだ、今頃になって俺と自分の実力差でも察したか。時既に遅しだ。
「フッ!ウルッフッフッフ! お前、なかなか、おもしろい奴を連れてるじゃねぇか!」
…はて?この場に狼男よりもおもしろい奴はいただろうか。いや、確かに星空はおもしろい、というか楽しい女子中学生にして、俺のオアシスだが。なんかニュアンスが違うな…。ん?どうした?星空もキャンディも俺を見て。…俺か?俺がおもしろいのか?もしかして、八輪鉤爪”がおもしろいのか?…へぇ。狼男にはこれが愉快な切り絵遊びをする玩具に見えるのか。ふーん、へー、ほーう、よしわかった。俺は猫派だが一緒に遊ぼう。「俺がいかに均等に八つ裂きにできるかなゲーム」を。闇のゲームだ。審査員は星空とキャンディに一任するとする。瞬きは厳禁だ。デッKILLカナ。デッKILLカナ。ウフフフフッフー。
「そこにいる人間、既にバッドエンドを迎えてるじゃねぇか!」
「えっ!?」
「くるぅ!?」
おいおい、もうバッドエナジー吸い尽くされちゃったのか。難儀な奴だな、狼男が指差す方向にうなだれているらしいが、どうやら俺の後ろにいるらしい。どれ、かわいそうだとは思うがその顔を拝見してみよう。…あれ?後ろに誰もいないんだけど?もしかして狼男ってば幽霊が見えるタイプ?転生前の学園にいたなー、そういう奴。すっごい苦戦した。幽霊を操るとかどこの次元の奴だよ。ていうか、本当に誰指してるの?どこの次元の人?
………俺?
「何があったか知らねぇが、生きたままバッドエンドを迎えるたぁな…。悪の皇帝ピエーロ様を蘇らせるために生贄にすれば、相当なバッドエナジーを吸収できたかも知れねぇ……。もったいねぇなぁ…ウルッフッフッフッフーーーッ!!」
「銀次くん!一体どういう事!?」
いや、どういう事も何も…。星空。
「先日、交通事故で両親を失って、妹とも離れ離れになったが…。もしかしてそれの事を言ってるのか?」
というか、これしかない。
あれは、確かにバッドエンドだった。
■
何気ない日で、父さんが「今日は焼肉を食べに行こう」と言い出し、母さんは「あら?それはいいわね」と同意し、俺は「大賛成だ。異議は認めない」と賛同し、妹は「おっにくー♪おっにくー♪」とはしゃいでいた。
俺には、久しぶりの日常のような気がした。
激化する学園戦争。もう一人の生徒会長の出現。
俺は、優しいながらも、とても強い友人を助けるため。
激戦地へと乗り込み、生徒会書記と戦った。
それは、とてもとても激しい戦いで。
辛くも俺は勝利を掴み、倒れた。
そこで俺は戦線を離脱しなければならなかったが、俺は信じていたのだ。
困難な道を俺に代わって八つ裂きにしてくれる、親愛なる友人を。
「…あとはまかせた。逃げ帰ったら八つ裂きだ」
「うん、僕にまかせて。…戦ってくれて、ありがとう」
…そんなやり取りの後、友人はもう一人の生徒会長を打ち倒し、俺達の学園はつかの間の平和に入った。
そんな日の事だった。
両親は死んだ。
俺も死んだ。
妹だけ残った。
でも俺は転生した。
生き残った。
生き残ってしまった。
妹は一人ぼっちになった。
これが、バッドエンドと言わずして、なんと言えるだろうか。
■
星空の見開いた目が俺を貫く。
やめてくれ星空、お前には笑顔が似合うんだ。
そんな、悲しそうな目で俺を見ないでおくれ。
「ハッ!バッドエナジーを効率よく集める手立てがわかるかも知れん。バッドエンド王国に持ち帰るとするか」
狼男が俺ににじり寄る。
星空逃げろ。ここは俺にまかせるんだ。
お前のそんな顔なんて、見たくない。
どうせ俺は一度は死んだ身だ。Necro over.略してNEVERだ。
お前の笑顔を曇らせるくらいなら、俺はもう一回くらい死んだって構わんのさ。
「っダメだよッ!!」
バッと、星空は俺の前に立ち塞がり、狼男をさえぎった。
「…お…お父さんとお母さんが死んだって事って…。私には想像できない、ううん、出来ればしたくない…。きっと、きっととっても辛くて…、ハッピーな気分にはなれないんだと思う…。けど、銀次くんはまだ生きてるっ、生きてるもん!!これからきっと、とってもハッピーな事が待ってる!!キャンディだって、頑張ればハッピーになれるって言ってくれたもん!!キャンディの言った通りだよ…!私だって…、今日自己紹介うまくいかなかったけど…。めげずに頑張ったら、クラスのみんなが助けてくれてなんとか出来た!どんな事も…、最後までめげずに頑張りぬくの…。そしたら、いつか絶対、ハッピーになれるっ!銀次くんだって、きっと頑張れば!ハッピーになれるんだから!!バッドエンドなんて言わせない!!」
「…星空」
「銀次くんは連れて行かせない!!これからとっても…とってもハッピーな事が…!!」
「いや、星空。何か勘違いしてないか。狼男、お前もだ」
「………へっ?」
「あぁん?」
なんでこう、先走るのか。このファンタジーの住人共って奴は。
よろしい、説明しよう。長いから聞き逃さないようにしろ。
「俺は、確かにバッドエンドを迎えた。そのタマネギを食わせたい男No.1に君臨する狼男の言うとおりだな。うん。俺は不幸だ。気分はバッドだ。デッドと言ってもいい。」
だがな。
「俺は、星空と出会えてハッピーだ。ウルトラハッピーだ。ライジングアルティメットハッピーだ。劇場版限定フォーム並みだ。半端じゃないぞこれは。バッドエンドの後に、このハッピーだぞ。これを一体どう説明する。まだ終わってないじゃないか。うん、そうだな。訂正する。狼男、お前の言ってる事は間違ってるし、俺が先程言った事も間違いだ。奇遇にも俺は生きてる。生きてやがる。しかも、転校初日にかわいい女子中学生と友情の握手をかわした。星空と俺は友達だ。星空は俺のダチだ。なんというハッピー。バッドエンドかと思いきや、ハッピースタートだ。ハッピークラウチングスタートだ。早い早い。もの凄い速さでハッピーになっていく。こりゃ参ったな。降参だ。俺が悪かった。白旗を掲げる。この事に何の恥があろうか。星空を見てると、俺の不幸がかき消される。何にも染まらない、真っ黒な不幸が光で見えなくなった。気がつけば忘れていた。まだ喪に服すべきだろうが、不覚にも、だ。だが、これで正しいんだと思う。輪廻の輪で転生を待つ、両親も安心してくれたかも知れない。いや、俺の両親は良い両親だ。お人良しすぎて、俺はグレたからな。まあ、おかげで“八輪鉤爪”とも出会えたし、前の学園で、これまたお人良しな友人と出会えた。しかも戦友だ。まあ、今はもう離れ離れになったが、あいつの事だ。きっと正しく泣いてくれて、正しく覚えていてくれるのだろう。泣くな友よ、俺はハッピーだ。さて、両親の事だが。きっと安堵のため息をついて、円環の理に身を委ねている頃合だ。もうどこかで転生しているのやも知れない、老害が職務怠慢せずに仕事をしていればな。できれば再び夫婦になってくれている事を願う。というかそうなれ。あれほどに憎たらしい程に、ハッピー垂れ流す夫婦はいない。うちが一番の夫婦だ、そして一番の家族だ。そして、俺は妹の行く末が知れる、そこは俺の寛大にして雄大、超時空要塞な俺の心に免じて良しとしよう、一時的に。こんな運命にした老害はいずれ、俺の手で八つ裂きにする。更にだ、「今朝からの付き合い」という言葉には、愚かにも疑問をどこかで抱いていた俺だったが、星空のおかげでそれが晴れた、快晴だ、子供は外で遊べ、そして洗濯物を干せ。ついでに布団も。きっと乾いた頃にはハッピーな匂いに包まれてるに違いない。今朝からの付き合いである星空。…改めて言うがかわいい女子中学生が、果敢にタフに、俺の事を身を挺して庇ってくれた。俺は幸せ者だ。ハッピーマンだ。しかも、ライジングアルティメットフォームだ。幸せがMEGAMAXで、Yahoo!での評価は五つ星だ。まったくもって、どうして俺のような男と、星空は友達になってくれるのか。星空はどうして幸せをくれるのだろうか。これを解明すれば、「全世界が平和で、銃弾が一発も飛ばない日」というのも夢ではないのかも知れない。いや、現実だ。俺にハッピーを分けてくれた星空は現実だ。夢ではない。俺は起きてる。頬を抓れば、痛い痛い。なんと今日は良い日なのだろうか。ノーベル幸せ賞を俺は星空に捧げる。なんなら、毎日お弁当に詰めよう。ありがとう、星空。俺の友達になってくれて、いてくれて」
ありがとう、星空。
笑顔は俺が護る。
覚悟しろ、狼男。
八つ裂きで俺は進む。
「銀次くん…っ」
「ちっ!何をわけのわかんねー事を…、こんなやかましい奴を連れて帰るのは骨が折れそうだ………。面倒だ、ここで喰ってやる!ついでに、妖精もだ!!」
狼男は無粋にも、俺が星空に捧げるスピーチを蹴り飛ばし、爪を煌かせる。馬鹿な狼だ、さっさと絶滅危惧種として環境省に保護されればいいものを。
今や、俺に敵はなし。あるのは、星空。あと、小粋な妖精キャンディ。そして、分けてくれたハッピーだ。俺は護る。全部ひっくるめて。身体の一部である“八輪鉤爪”も今までにないコンディションで高ぶってると言っている。今なら次元の壁を切り裂く事も可能だと。まあ、ひとまず堪えろ“八輪鉤爪”よ。俺の相棒よ。俺が八つ裂きにするべきは、狼男。ただ一人。ハッピースタートを切ったのだ、邪魔する物、邪魔する者、全部まとめて掛かってこい。俺が、八つ裂きにしてくれる。
「…っ私、決めた!」
はて?なにを?結婚?マジで?相手は誰?名前を教えてくれれば、厳しい査定を俺が直々にするけど。星空の笑顔を奪うような輩には指一本触れなせないし、触れそうな指は遠慮なくちょん切る。いや、というか中学生にはまだ早いのではないの? 結婚。精神年齢が高校生の俺でもまだ早い。早漏と言ってもいいくらいで候。「わたしたちぃーけっこんしまぁーす☆」とか、モバゲーのプロフで書く奴程、だいたいすぐに別れて次の相手に移るんだ。まあ、星空はそんな事は絶対に言わないがな。言わせる要因は先回りして削除削除削除削除削除削除削除削除削除。
「あぁん!?お前…、俺が怖くないのかぁ!?」
「怖いに決まってるでしょ!!」
「じゃあ、なんでそいつらを庇うんだ」
…え?怖いの?ナチュラルに「ウルッフッフッフwwwwww」とか言っちゃうあれが?
星空は怖がりだなあ、かわいい。狼男は八つ裂きだなぁ、ぶち殺す。
…え?庇ってるの?あ、そういえば立ち位置が星空が庇ったまんまだ。
おおう、これは失態。「お前は、男の風下に置くべき男だな」って言われた事があるけど、今日くらいは風上に出て星空を守ってもいいんでないの? いいだろう? 先っちょだけ、先っちょだけだから。
「…銀次くんは…、ここでの初めての友達…。もちろん、キャンディだって友達だよ!」
「くるぅ?」
「っ………友達がいじめられてたら、…誰だって守ろうと思うよ!」
…これを、女子中学生特有の綺麗事だと笑うものはいるか?
いたら正直に手を挙げろ、その身体をぶった切る。
幻想だと笑う奴らの、その幻想をぶっ殺す。
「震えてんじゃねぇか!!だったらお前から喰ってやるよ!!」
「キャアアアアアアア!!」
「にげてくるぅーーー!!」
狼男の鋭い爪の恐怖。
背中には友人を抱えている。
星空はその場から動けない。
というか、まあ、動く必要はない。
狼男が凶悪な爪、毒牙とも言えるであろう長い爪で星空を引き裂こうとする。
俺は、地面を軽快に蹴り、タッ、タッと二回のリズムを奏で、星空の風上に立ち、先程からエンジン全開の“八輪鉤爪”にアクセルを掛けた。
刹那一閃。
「ぐッ!?何ィッ!?」
“八輪鉤爪”が狼男の爪を弾き、鋭い蹴りを懐に叩き込んだ。
“八輪鉤爪”の手答えあり。蹴りの手答えはなし。
狼男は蹴られる寸前、身体の力を抜き、俺の蹴りの力に身をまかせて後ろに飛んだのだ。
目論み通り、一筋縄ではいかない相手のようだ。
一億千万筋縄だろうと、八つ裂きにするが。
「てめぇ…、何者だ…?」
「ほう?わかってるじゃないか、狼男。なんだと聞かれたら、大見得切るのが俺の筋だ」
ふぅっと息を吐き、“八輪鉤爪”の型を取る。
右腕を顔のななめ右側に置き、右手は後ろに向ける。
そこに十字ができるように右腕の前に、左腕を置く。左手は下に向ける
これが“八輪鉤爪”。
“大見得切り・零の構え”。
「はあぁ?なにする気だ?」
クロスさせた右腕を捻りながら左斜め下の方に倒し、右手を下に向ける。
目の前にバツが出来た所で、バッと素早く両側の方へと腕を開く。
これが“八輪鉤爪”。
“大見得切り・壱の構え”。
「満天の星空、この身に背負って、進み行くは、茨の道。」
両腕を伸ばしたまま右手を上へ、左手を下へ、輪を描くようにゆっくり移動させる。
これが“八輪鉤爪”。
“大見得切り・弐の構え”。
「棘だか敵だか知らねぇが、前に立つなら俺は裂く。前に進むから俺は裂く。」
左足を大きく上げて地面を叩き、同時に左右の腕を使い“S”を体で表し、キッと目で相手を睨む。
これが“八輪鉤爪”。
“大見得切り・参の構え”。
「舞い散る血風が紋所。天下無敵の八つ裂き将軍。岸崎銀次とは、あ。俺のことよぉ!!!」
………あれ?狼男いない。
なんだ、また夢か。夢なら夢でいいや。
今日の見得切りは今までで一番の最高傑作だからな。
今度どっかで使おうっと。
「キャンディを置いて逃げるくるぅ!!」
「そんなの出来ない!!でも怖あああい!!」
「走れ!走れぇ!追いつくぞぉ~!?」
………なんて会話が、俺の決めポーズの後ろからうっすら聞こえてきた。
なんでこう、先走るのか。このファンタジーの住人共って奴は。
俺も先走っちゃいたくなるだろうが、死に向かって。
せっかく転生した先での名前をソラで言えたのに。
俺は心に沸き上がり、ハッピーを押しつぶそうと企む“恥”を押し殺し。
6時の方向に振り返って全力疾走した。
待って。頼むから待って。狼男でも構わんので待って。頼む。
泣いちゃうぞ。泣いたらばあばが来て、お前なんかすぐ殺しちゃうぞ。
…すぐ追いつくと思いきや、出遅れたらしい。
星空はこけたのか、地面に膝をつき、キャンディをぎゅっと抱きしめて。
狼男は、星空の前に立っている。
こんな事があっていいのか、俺が大見得切ったせいで星空が殺されてしまうなんて。
「ウルッフッフ…。さ、諦めてそいつを寄越しな」
「諦めないよっ!!私、頑張るって決めた事は絶対に!!最後までやるんだもん!!」
八つで一つの“八輪鉤爪”を総動員し、輪の形に繋ぐ。
「それが私の…」
出来た輪に腕を入れ、一回転。
「うっぜぇな…」
いや、まだ足りない。もう一回転
「それが私の!!」
狼男が右腕を挙げる。“八輪鉤爪”は更にもう一回転。
「だったら二人仲良く、お寝んねしな!!」
狼男が鋭い爪を星空に向かって振りかぶる。
“八輪鉤爪”を狼男に向かって放つ。
行け。間に合え。間に合ってください。間に合わなければいけない。
俺はまた星空と一緒に登校したい、授業を受けたい。
ついでにお昼のご飯も共に食べたい。
どんな些細な事でもいい。
友達が隣にいてくれないと、俺はどう生きていけばいい。
星空を傷つかせる事だけはいけない。
何故なら星空は、俺がこの世界で最初に見つけた………。
「ハッピーなんだからあああああああああ!!!!」
星空の叫びと共に、星空は光に包まれた。
「ぐっ!?なんだぁ…? ぐあっ!!!」
それが何なのか、俺も色々と問いただしたくはあるのだが。
この世界で、最初の八つ裂きへの記念すべき、第一歩を踏み出した。
“八輪鉤爪・獄楽車輪”は狼男の左腕を掠ったのだ。
まだ未完成の技で扱いは難しい事この上ないが、構わん。
狼男の腕を裂き、俺の近くに落ちてきたので成功と言えるだろう。
「星空ァー!!!」
俺は彼女の名前を叫ぶ。
彼女の身に一体何が起こったというのだろうか。
その時、不思議な事が起こった。というか、もうすでに起こってるわ。置いてった事にも怒ってるわ。星空は別に構わない。か弱き花の中学生なのだ。だがキャンディ、てめーはダメだ。当事者のくせに何逃げてやがる。さっきのは虚勢なのか、それは評価は下がるが、まだポイントが余ってるのでそこそこな評価しておこう。いや、でも相手があの狼男では評価もないか。キャンディ、赤点。
…ていうかキャンディ、あいつもどこに行ったんだ?まさか光の中で星空と一緒にいるのか?
何やらうっすら会話が聞こえるが、良く聞こえない。
“READY?”
え?仮面ライダーメテオが近くにいるの?なーんてな、俺の耳は誤っちゃいないよ。どう聞いても女の声だ。しかも光の中。ん?というか、光の中に星空とキャンディ以外に誰かいるのだと言うのか?誰?なんで“READY?”なの?何かする?変身とか?
…変身?
なんだろう、今まで手に入れた、記憶の片隅に転がしておいたバラバラの欠片が。
次の一言で全て繋がる予感。
「プリキュア!!スマイルチャージ!!」
その一言で、俺の中の何もかもが繋がった。
そういう事か、と納得せざるおえなかった。
だがしかし、受け入れられない現実に少しくらい反抗しても構わないだろう。
俺は転生したこの世界に異議を、高らか唱える。
耳をかっぽじって、よーく聞きやがれ。
………ぶっちゃけ、ありえない。
“デリカシー”
男子に生まれたる者が、そこそこ良い歳になった時に携帯すべきもの。
これがなければ、女性の前ではただの豚。飛べない豚。飛ばない豚ではない。飛べない、豚。
常に携帯を怠らず、むしろうっかり忘れた八兵衛に分け与える余裕を持つべき。
これはHPにしてMP。ビギナーには回復薬の所持を許そう。
“本屋の店主”
世界を探してもこれほどの罪人はいないだろう。
それ以上の罪人がいるなら、俺の前に連れて来い。八つ裂きにする。
愚かにも、本屋の看板を掲げておきながら、本を太陽の当たる路地に配置するという愚考を実行し、特撮に関わる事の記された聖書を蔑ろにした大罪人である。極刑に値する。ガンジーが助走を付けて殴り倒し、そのまま馬乗りになってボッコボコにした後、最後に唾をペッと吐き捨てるレベル。ねぇ?なんで生まれてきたの?
“狼男”
俺と星空の目の前に現れた絶滅危惧種。奇妙な笑い声が特徴にして唯一の個性。
何をアピールしたいのか、パンクに格好をしている。
彼は何を伝えたいのだろうか。自分の存在がなんなのかさえ分からず、震えてる15歳の夜? 支配からの卒業? シェリーに「俺は歌う」って事? 悲しい歌で愛が白けてしまわないように?
“八輪鉤爪・獄楽車輪”
八つを一つに組み合わせた“八輪鉤爪”の必殺技。未完成。
現在はただ、勢い良く投げつけるだけの拙い物だが、いずれは超必殺技、ゲキレツアタックになると信じて日々研究している。頑張れ、俺。“八輪鉤爪”のために。
“プリキュア”
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