文章も投稿も初めての処女作です。
その上、現在放送中の作品を勢いで書いてるため、後々矛盾が発生する可能性があります。
そして、後々プリキュアから離れる展開が来るかも知れません。
あと、主人公の性格上、文が読みにくい部分があると思います。
ご了承ください。そして、よろしくお願いします。
1.転生、神を八つ裂きにしたい男
気が付けば、白い空間の中にいた。
ここがあの世、という奴なのだろうか。
もしくは天国?または地獄?
どちらにしろ、どれにしろ。
俺が死んだ、という事は間違いないだろう。
先程、俺は血溜まりの中で息を引き取ったのだから。
■
家族との外食、夜の帰り道。
運転席に座る父は「いやー、うまかったな」と笑い。
助手席に座る母は「また行きましょうね」と応え。
後部座席に座る俺は「ネギ塩タンはまた食いたいな」と呟き。
隣に座る妹は「さっき食べたばっかじゃん」と呆れた。
T字路の信号が青になり、父さんはアクセルを踏む。
車が交差点の中央を通り過ぎるという所で、右側から眩しい光が飛び込んできたと思ったら、強い衝撃と激しい音が、俺達家族を襲った。
猛スピードのトラックが横から突っ込んできたのだ。
俺達家族は何の抵抗できず、慣性の法則にしたがって左の方へと、車ごと吹き飛ばされた。
最悪な事に、左は分厚い壁だったようで、父が気に入っていた赤い車は壁とトラックに挟まれペシャンコになった。
無論、肉の塊である俺達も例外なく。
三半規管と聴覚と視覚と思考が正常に戻るにつれ、今度は痛覚が騒ぎ出した。
胸から下が潰れた車体に挟まれている。
動けない。
周りは異様な程に静かだ。
俺は、まだ動くことを許された頭を上げる。
眼の前には頭から血を流し、ぐったりしている妹がそこにいた。
「………うぅっ」
よかった。生きてる。
暗くて表情はよく見えないが生きてる。
俺は妹に声を掛けようと声帯を絞る。
が、思うように声が出ず「う…あ…」としか発音できない。
そもそも、声を出そうにも息を吸えないし、吐けない。
口の中は鉄の味がする液体が止め処なく流れ出している。
どうやら、生きていく上で必要な器官が潰れてしまっているようだ。
嘘だろ?
俺はまだ、人として十分な人生を歩んでいない。
やり残した事が沢山ある。
ここで死ねば友人に何と言えばいい?
CDも借りっぱなしだし、ゲームも貸しっぱなし。
明日はバイトのシフトが入っているし、大学受験も待っている。
大好きな漫画や小説やアニメやらは、まだ完結していない。読んでない。
来週から始まる特命戦隊ゴーバスターズが楽しみでしょうがないし、仮面ライダーフォーゼだって新幹部が登場してこれからだ。あの蟹は出来る蟹だよ。
まだ俺には、やる事がある。
そんな思いに反するように。
だんだんと痛みは静まっていき、妹の顔がぼやけ、色を失っていく。
身体の温かさもいつの間にかなくなり寒くなってきた。
「おに…いちゃん…」
もう見えてるのか、見えてないのかよく分からない。
けれど、妹の声が俺を呼ぶ。
「おに…いちゃん」
いよいよ、頭がふわふわする感覚しか分からなくなってきた。
もう駄目だ。俺はここまでだ。
ここで俺の人生は終わるんだ。
でも、せめて。
でも、せめて。
でも、せめて。
「生…きろ… み…か…」
その言葉が合図だったかのようにスッ、と身体が軽くなる。
まるで浮き上がり、空高く飛んでいくような感覚。
これが死か。
どこかで人間は死ぬと、身体が21g軽くなると聞いた事がある。
これが21gの感覚なのだろうか。
まあ…、もうそんな事はどうでもいい。
俺は死んだ。
■
一時間は経っただろうか。
一向に白い空間に変化はない。
もしかして新手の地獄、という奴だろうか。
いや、地獄に新手も古手もないと思うけども…。
『永遠に白い空間にいる地獄』というのも確かに地獄っぽいような…。
永遠に生き別れた家族や友人を想いつつ過ごす、という感じだろうか?
悪趣味なものを作ったものだ。神様とやらは。
「それは勘違いじゃよ」
唐突に掛けられた声に振り返ると、頭が肥大化した白髭のハゲ老人が後ろに手を組み立っていた。どことなく光を帯びており、俗に言う神々しい、後光が射している、という感じだ。
「神様が直々にお出迎えか?贅沢な出迎えだな」
「残念ながら迎えではない。むしろ送り出す方じゃよ」
老人は神様だという事を否定せず、淡々と返す。
「送り出す?まさかファンフィクション小説にありがちな、『ミスったのでチート能力付けて転生させてやる。それで許してちょんまげ』みたいな事を言うんじゃないだろうな?」
気まずそうに顔を顰めた老人はため息をつく。
え、おい、いや、まさか。
「全く…最近の下界の人間という奴は小賢しいのぉ…。そうじゃ、その通りじゃ。」
面倒臭そうに頷き、老人は俺に返答した。
生憎相棒は不在なので、俺は拳を握り老人に向かって駆け出しパンチを放つ。
…が、顔に届こうという所で見えない力に抑え込まれ、あとちょっとで届くという所で身体が動かなくなった。
「悪かったと思おておる。じゃが悪い話ではないじゃろう? 休日は“にじファン”といか言うさいとでおもしろい小説を探しておるお前さんにとっては…」
と、動かない拳越しに、俺を見つめながら老人はそう言った。
確かに俺はそうだ。
ゼロの使い魔やインフィニット・ストラトス、仮面ライダーからスーパー戦隊シリーズ等の二次創作小説を漁っては読んでいた。おもしろい小説があれば友人に紹介だってする。「アンダーグラウンドすぎるだろ…」と引かれたが構わん、おもしろいものはおもしろいのだ。
「が、それとこれとは話が別だ。あんたのミスで死んだこっちは非常にイラついているんだよ」
老人はまるで奇妙な物を見るかのように「ほぅ…」と呟き、俺の身体を再び動けるようにした。今までにない感覚を振り払うために、俺は首をコキコキと鳴らす。
「珍しいのぅ。だいたいの人間はトントン拍子で、文字通り話が進むのじゃが」
「…ああ、転生モノってだいたい小説で文字だらけだから文字通り話が進むね。分かったよ。チート能力として“直死の魔眼”をくれ。あんたを八つ裂きにしてやる」
「ちょちょちょっ!待て待て待っとくれ!あれは勘弁しとくれ!」
創作の設定とは言え、「生きてるなら神様だって殺してみせる」が殺し文句の“直死の魔眼”は老人にとってやばいらしい。よし、絶対に貰おう。八つ裂きにしてやろう。
「はぁ…。まったく人間の想像という奴は実に厄介じゃの…。想像が創造した者を越えるなんぞ」
ダジャレの向こうに見えた老人のドヤ顔に苛立ち、俺は再び拳を繰り出す。
再び身体を止められた。くそが。
「ダジャレちゃうわ!言葉遊びっちゅーもんじゃ!お前さんみたいな奴は初めてじゃよ全く!」
子供のようにばたばたと暴れて文句を垂れ流す老人。
へぇ…、前にも経験あるんだ…。
どんな奴がどういう能力を持ってどの世界に行ったのか気になるが…。
こんな奴が神様かと思うと腹が立つ。
「おいじじい。俺の両親と妹はどうなった」
先程から、もとい当初から気になっていた事を俺は切り出した。
どう振り返っても酷い事故だ。妹が生きているのは確認したが、両親は確認できていない。
正直、両親と妹が生きていればこのまま輪廻転生の輪に加わるのもやぶかさではない。
目の前の老人を八つ裂きにした後に、だが。
「わし神様じゃよな…?」とブツブツ呟きつつ、額の汗を拭って老人は話し始める。
「それじゃ、わしもさっきからそれを話そうとしていたのじゃ。結論から述べると、お前さんの両親は死んだ。既に輪廻転生の輪に加わったよ。これは世界創造の頃より決まっていた事じゃ。妹の方は生きておる、安心せい。後遺症は残っておらん」
「両親と兄が死んだというのに、妹に後遺症はないと抜かすか糞じじい」
イライラする。
他人事のように俺の家族の転末を語りやがって。
相変わらず身体は動かない。
「…あー、言葉が悪かったの。すまん。因果律抜きで人間と話すのは慣れておらんのじゃ。本来ならばお前さんとお前さんの妹とで、一緒に困難を乗り越えつつ生きていくはずだったのじゃが…。少々、采配を違えたようなのじゃ…。はあ…、また因果を書き換えねばならん…」
やはり、この老人は『ミスったのでチート転生でめんご』の常習犯のようだ。
誰だこのじじいを神様にした奴は。
責任者に問う、責任者はどこか。
「おい糞じじい、元の世界に転生させろ。似たような並行世界ではなく元に世界に、だ。人間のスペックを限界まで上げた状態で、ついでに両親が死ぬ定めも変えろ。そんで俺の手で家族を幸せにして、ついでに世界も平和にしてやる。」
「それは…無理じゃ。世界は常に完成した状態を維持したパズルのような状態でな。ピースが零れる度に勝手に埋まる…。もうお前さんのいた隙間は消え去った。無理に入れようとすれば世界が崩れ去る、お前さんの妹も一緒にな」
ますます俺は腹が立つ。俺の腹が塔になる勢いだ。
俺はそれを「バベル」と名付け、神の世界に攻め込み八つ裂きにしてやりたい。
因果がなんだ。世界がなんだ。
結局、神様という割には何も出来ない、傍観を決め込んだ糞じじいじゃないか。
「…なあ、そろそろわしも怒るよ?転生ってかなり苦労するんじゃよ?隙を見てピースをねじ込むんじゃからの。まあ、神の管理からはずれた世界じゃからねじ込んで終わりじゃが…」
なんだ、人の心を盗聴していたのか。
そんな小悪党は八つ裂きにするべきだな、“直死の魔眼”寄越せ。
あと、それが出来るなら元の世界に戻せ。八つ裂きにした後に。
「それだと因果率どころの騒ぎではないわ…。俗にいう「うちゅうのほうそくがみだれる」じゃよ…。死人は蘇らん。これはどの世界でも共通の絶対の法則じゃ。ドラゴンボールは管轄外じゃ。」
設定の穴に対する言い訳と化してきてるぞ糞じじい。
てめぇは米村正二か。仮面ライダーの劇場版まかされるくせに矛盾を気にせずばんばん書きやがって糞が。仮面ライダーディケイドの最終回はなんなんだよ。
「…はあー、しょうがないの。貴様の妹が今後どう歩むか記された漫画がある世界に転生させてやろう。それがわしに出来る精一杯じゃ。本当に勘弁してくれ。」
「! そんな世界があるのか。」
「そうじゃよ、アイディアというのは並行世界から流れてきたもの。両親と兄を失った妹がこれからどうなるか、漫画越しに知るが良い。何、悪いようにはせん。それなりに障害は用意せるばならんが…。」
…糞じじいが垂れ流す世界やら因果やらの設定は気に喰わない。
が、こんな八つ裂きに値しないような老害でも一応、それなりに、間違いだろうが、神様だ。
俺は絶対に認めないが、致し方なく神様と仮定しよう。仮定してあげよう。仮定してやる。
「怒りを通り越して泣きたくなってきたの…」
涙でも尿でも勝手に垂れ流せ老害。
両親は死んだ。
とにかく、妹が生きていて、状態が知られるならそれで良い。
「チート能力を寄越せ老害、とにかく万能な奴を。転生してやる感謝しろ」
「あいあい…。あ、そうそう。転生者は死んだら即輪廻行きじゃ。死んでニューゲームなぞ考えるな。因果に響いて死期が早まるでな」
老害はようやく俺の拘束を解き、明後日の方角を見始めた。
「…うむ、あった。お前さんの妹の行く末が記された漫画が生まれる世界じゃ。では手続きと行くかの。赤ん坊からはじめる、少年からはじめる、青年からはじめる。どれが良いかの」
どうやら老害は、色々な世界を覗いているようだ。
どうせ女性の下着姿やら人間の交尾を除いて興奮してるに違いない。
そんな神様は八つ裂きにするべきだな。世界のために。
「八つ裂きから離れてくれんかのぅ…。話が進まん」
「どれでも構わねぇよ。…いや、家族・親戚がいない事にしてくれ。俺の家族はあの世界にしかいない…」
「ふむ、暴言に似合わず家族想いのようじゃの…。となると…、中学生から始まるが構わんかいの?そこ辺りでピースが零れる予定がある。そこにお前さんをねじ込むとする。」
「ああ、結構だ。チートを忘れるな。万能な奴」
「万能…のぅ…。これは良く注文されるが塩梅が難しい…。それにお前さんは神殺しを企んでおるからのぅ…。“神殺し”は転生者としてのペナルティとなる可能性がある。とりあえず、その気になれば世界征服できる程度の能力を与えておこうかの」
「ちっ。老害らしくボケてりゃいいものを」
俺がその発言をするや否や、急に身体に重みか掛かる。
…なんだ? 俺の中の何かが制限されたような、そんな感覚
「あっ。ペナルティが降りたの。もったいないのぅ。愚かじゃのうぅ。制限が掛かっちゃったぞい。ショッカー首領にはなれんな」
「てめぇ…、誘導尋問か?八つ裂きにしてから転生してやる」
「…それをすると輪廻に加わらず、転生も出来ず。『永遠に白い空間にいる地獄』コースじゃて…。」
「………ん?もう能力渡ったのか?」
「うむ。もう慣れたもんじゃよ。能力はあえて不安定にしてある。転生した後にじっくりと作るが良い。ペナルティが降りたんでちょい時間は掛かるし、制限もあるじゃろうが。何、貴様の心粋しだいじゃて」
「………………………へぇ」
「!? それでは転生してこい!!これにてさらばじゃ!!ミスって悪かったの!!許してちょんまげ!!」
能力が渡ったのを確認した俺は、ちゃっちゃと老害駆除に動いた。
が、卑劣にして劣悪な老害の手によって、足元に出来た穴に落とされた。
落ちるに連れ、意識が遠のく。
その中で俺は思う。
次に会ったら八つ裂きにしてやる。
…っていうか転生先ってどんな世界なんだ?
“直死の魔眼”
奈須きのこ作品である「空の境界」「月姫」に登場する能力。
万物の死を見る事ができ、死の線を鋭いものでなぞると斬れる。
どんなものもだいたい斬れる。八つ裂きに出来る。そして死ぬ。だいたい死ぬ。
きっと映画に出てくるハーゲッダッツも死んでる。
“神様”
なんていうのは名ばかりで、実際は常に賄賂を懐に用意した職務怠慢な老害である。
次に会った時は状況や心情なんて説明せずに即八つ裂きにする。絶対にだ。
“転生”
老害の職務怠慢をごまかすための賄賂である。
人によっては気にせず受け取るらしい。
だがよく考えてくれ、残された家族の事を。
それでも転生するというのなら、俺が直々に八つ裂きにしてやる。
親不孝ダメ、絶対。
“神殺し”
もののけ姫のエボシのようなヘマはしない。
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