家庭向け電気料金の見直し策を議論していた経済産業省の有識者会議は15日、報告書を発表した。電力会社が調達する燃料の価格が上がった場合だけでなく、原子力発電所が長期停止して燃料の調達量が大幅に増えた場合も、電気料金に反映しやすくする制度を導入する。一方で、東京電力などが検討している電気料金の引き上げを抑制する仕組みも取り入れた。ただ上げ幅圧縮の効果は小さいとみられ、このままでは家計の負担が増すことになる。
発表したのは「電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議」。これを受け、経産省は月内に関連省令を改正。東電が検討中の家庭向け料金上げの査定から適用する。
原発停止に対応した新たな料金認可制度は、発電にかかるコストのうち原発停止で大きく増える燃料費部分だけを国が審査し、値上げを認可する。審査の手続きも簡略化し、通常4カ月程度かかる認可までの期間を短くする。原発が長期停止した場合、燃料費負担で電力会社の経営が不安定になるのを防ぐねらいだ。
ただ電力会社が新制度を利用するには、料金の原価について厳しい審査をパスする必要がある。
逆に原発が再稼働した場合、経産省は再び値下げすることを電力会社に求める。東電が月内にまとめる総合特別事業計画でも、柏崎刈羽原発の再稼働後には値下げすることを明記する方向だ。枝野幸男経産相は15日の会合で「行政指導も含めて電力会社には徹底してもらう」と述べた。
燃料費が電力会社の経営を過度に左右するのを防ぐ制度としては、燃料価格の月々の動きを電気料金に自動的に反映させる「燃料費調整制度」がすでにある。ただ、原発の長期停止で火力発電の割合が大幅に増えるなど、電源の構成が大きく変化した場合は事実上対応していなかった。
電気料金の「原価」にどんな費用を算入できるかも焦点となった。原発の地元自治体などへの寄付金、電気事業連合会への拠出金、広告宣伝費などは算入を認めないことを明確にした。
報告書は経産省による値上げ審査の体制に注文をつけた。会議でも「原価計算ができる専門的な人材が不足している」との指摘が出ていたためだ。今後の審査では、会計士など外部の専門家の知見を積極的に活用することも盛り込んだ。
電気料金が上がると増税のように家計にとって負担は増す。SMBC日興証券の宮前耕也エコノミストの試算では、東電が家庭料金を10%上げると、家計の電気代の負担は年3000億円増える。
同会議は昨年11月に議論を開始。今年2月に報告書案をまとめ、最終報告書には一般から寄せられた意見も反映した。料金制度の抜本改革には電気事業法の改正が必要だが、今回は法改正なしに運用面で対応できる見直し策を列挙した。
東京電力、枝野幸男、SMBC、日興証券
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