アメリカと韓国のFTA=自由貿易協定は、15日発効し、韓国は、アメリカの自動車や電化製品などの市場において日本メーカーとの競争で有利になることを期待しています。
アメリカと韓国のFTAは、15日発効し、韓国メーカーがアメリカ市場でシェアを拡大している自動車や電化製品など、合わせて94%の品目で5年以内に関税が撤廃されることになります。
韓国政府は、関税の撤廃によってライバルの日本メーカーとの競争で有利になることを期待しており、国内経済への波及効果に関しては、GDP=国内総生産を5.7%引き上げるとともに、35万人の新規雇用が生まれると見込んでいます。
FTAの発効を受けて韓国のイ・ミョンバク大統領は、15日午前、アメリカのオバマ大統領と電話で会談し、「FTAによって、お互いの経済発展と関係強化につながる」などと述べました。
ソウルにあるスーパーでは、早速、FTA発効を記念するセールを始め、ワイン売り場ではアメリカ産のワインが30%も値引きされ、訪れた買い物客の目を引いていました。
一方で、韓国の農産物が打撃を受けることへの不安からFTAへの反対意見も根強く、ソウルでは、14日夜、農業団体の人たちなどおよそ1000人が発効の中止を求めて集会を開いており、来月行われる総選挙では米韓FTAの是非が争点の1つになりそうです。
韓国との間で15日、FTAが発効したことを受けてアメリカのカーク通商代表は、声明を発表し、「重要な同盟国との記念すべき合意だ。本日をもって韓国市場はアメリカの生産者にとってますます開かれたものとなり、米韓両国に大きな恩恵をもたらすことになる」と歓迎しました。
アメリカ通商代表部によりますと、FTAの発効によって、小麦やとうもろこしなど農産品の3分の2近くや、自動車部品をはじめ工業製品の80パーセント近くがいずれも関税なしで韓国に輸出できるようになり、アメリカ国内では7万人の雇用が新たに創出されるということです。
FTAの発効で、韓国では、安い農産物が大量に入り、国内の農業や畜産業は厳しい状況に立たされることが予想されています。
このため、韓国政府は、農家を支援する取り組みを拡充させることにしており、2017年までに24兆ウォン(日本円にして1兆8000億円)を投入する予定です。
この予算は、FTAの発効によって損失を受けた農家への補てんや、農家が大型化や効率化を進めるために施設を拡充したり、新たに機械を購入する際の補助金などに充てられます。
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