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【サッカー】

清武 トドメ刺した

2012年3月15日 紙面から

◇ロンドン五輪アジア最終予選 日本2−0バーレーン

 清武に不安も迷いもなかった。MF東からの左クロスが逆サイドまでこぼれてきた。豪気、豪胆、剛直。「ブチ込んでやる」。右足に力を込め強振した。後半14分、ロンドン行きをつかむ弾道は、一直線に左サイドネットに突き刺さった。

 両手の人さし指を天に向け、笑みを浮かべる。「(ボールは)来ると思った。このチームでやるのは楽しい」。原口とガッチリ抱き合う。昨年9月21日の五輪最終予選マレーシア戦(ベアスタ)以来、約半年ぶりに仲間と分かち合う歓喜。至福の時をかみ締めた。

 「顔つきが変わった。本当にあのキヨかと思いますよ」。大分時代のチームメートだったDF森重(FC東京)は、この1年での清武の変化をしみじみと言った。「りりしくなった」。08年にJリーグデビューした10代の頃は、試合に出られなかったり、負けると必ず悔し涙を流していたという。「泣き虫だった」。しかし、この日の国立にその姿はもうなかった。

 清武は五輪予選に加え、日本代表としてW杯予選も経験した。「アジアの厳しさを知った」。いくつもの修羅場を超えた。だが、その中で「自分たちの力を出せば負けない」自信を得た。五輪最終予選では、2試合に出場。「けががなければ」と言ったが、1得点1アシストとチームを救った。

 だから、背番号「17」は迷いなく胸を張って言った。「五輪は経験するだけはもったいない。本気でメダルを取りにいく」。その目に一点の曇りもなかった。そして、涙もなかった。エースへと成長した清武は、誇り高き戦士の顔を残して聖地・国立を後にした。 (占部哲也)

 

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