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【大相撲】

踏ん張れ達

2012年3月14日 紙面から

山口に押し出しで敗れた達(右)=大阪府立体育会館で

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◇春場所<3日目>

(13日・大阪府立体育会館)

 横綱昇進を目指す大関把瑠都は平幕妙義龍を一方的に押し出し、栃乃若を左上手投げで仕留めた横綱白鵬とともに初日から3連勝。他の大関陣は稀勢の里が嘉風を突き出して初白星。日馬富士は勝って3連勝としたが、琴奨菊は関脇安美錦の肩透かしに屈し、琴欧洲は小結栃煌山に突き落とされて、ともに初黒星を喫した。全勝は白鵬、把瑠都、日馬富士、安美錦と鶴竜の両関脇、平幕の高安、富士東、北太樹の計8人になった。

 注目の取組は、中学チャンピオンで17歳の達=高田川=と、昨年の国体で優勝し幕下15枚目格付け出しで白鵬の内弟子として宮城野部屋に入門した山口(22)。押し出しで山口が圧勝したが、将来の角界を背負う対戦に場内が沸いた。また、アフリカ大陸初の新弟子、大砂嵐も前相撲でデビュー。角界に新しい風が吹き込んでいる。

      ◆ 

 完敗だった。「全体的に力不足。突き起こしてガンガン前に出ようと思ったけど、高かった。負けたくなかったです」と悔しさに視線を落とした達。だが、うつむくことはない。まだ17歳だ。

 対戦相手の山口は日大相撲部出身で昨年の山口国体に優勝し、幕下15枚目格付け出しで今場所デビュー。達も中3で全国都道府県中学生相撲選手権に優勝した逸材。入門から12場所目で自己最高位の幕下東16枚目と十両目前に迫っている。将来の角界を背負う日本人対決に、幕下の取組にもかかわらず場内は熱い声援が飛び交った。

 敗れはしたが、高田川部屋の関取誕生を待ち望んでいた「スーちゃん」の思いに応えるため、顔を上げなくてはいけない。

 昨年4月21日に亡くなった元キャンディーズの田中好子さんと高田川親方(元関脇安芸乃島)は古くからの友人。親方の引退後には「私をもう一度夢中にさせ、テレビの前で正座して見させてくれるような、安芸乃島のように若くて強い力士を今度は親方としてたくさん育ててください。一日も早く幕内に多くの力士を送り込んでくれる日を楽しみにしています」とブログでメッセージを送っていた。

 田中さんの事務所関係者は「関取が出るまで見届けられなくて残念だったと思います。(田中の)本名は小達で、達という字が入っていたので、達さんには近い気持ちを持っていたと思います。親方がなれなかった大関になってほしいと思っているはずです」という。

 キャンディーズ世代ではないが、「部屋のちゃんこで給仕したことがある。頑張ってと声をかけられた」という達。入門時の「3年で関取」という目標まで1年。ここで踏ん張れば、早ければ名古屋場所で十両昇進もあり得る。もうすぐ春はくる。   

   (岸本隆)

 

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