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福島第一「全面撤退検討」は誤解 東電顧問が証言 

2012/03/14

参考人として発言する武藤・東電顧問

国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会は14日に第6回会合を開催し、東京電力の武藤栄顧問 (前副社長・原子力・立地本部長) から聴取を行った。 争点となっている全面撤退について 「そうしたことはまったくない」 と否定。 当時の首相の菅直人氏が全面撤退と誤解して東電本店に乗り込んできたことには 「違和感があった」 と語った。 炉心損傷に関しては 「3月11日の夜には燃料棒が露出する可能性を認識したが、溶けるか溶けないかの判断は難しかった」 と振り返った。

武藤顧問は全面撤退に関して 「3月14日夜から15日未明にかけて2号機の状況は厳しかった。 免震重要棟には700人がいて、2号機を何とか落ち着かせようといろいろな作業を試みていた」 と説明。 その上で 「全員がその場にとどまる必要はなく、福島第二原子力発電所などに移そうと検討していた」 と証言した。

一部を撤退させようと検討した理由については 「2号機の状況が相当切迫しており、危険性があるかもしれなかった」 と語り、撤退させる人数や人選は「本店では判断しかねた。 所長が選んだということだと思う」 と説明した。

全員撤退と誤解した菅氏が15日未明に東電本店に乗り込んできた際の状況に関しては 「大変激しい口調で、全員撤退はあり得ないと叱責 (しっせき) された」 と説明。 その当時の認識については 「我々がまったく考えてもいない全面撤退をあり得ないと言ったので違和感があった」 と述べた。

当時の映像を見た委員からは、菅氏が乗り込んできた後、50分程度にわたって吉田昌郎所長 (当時) や本店の幹部が菅氏の話に聞き入り、発電所の状況をケアできなかったと指摘。 この時間帯には2号機の爆発 (当時の認識、実際は4号機の爆発) が起きているが、これらの一連の経緯を武藤顧問は 「事実だ」 と認めた。

炉心損傷を巡っては、 「事故直後から注水が切れれば後に炉心損傷に至ることは、関係者が常に頭に置きながら対応していた」 と語った。 その上で 「当時は中操 (中央制御室) で取れるデータが限られており、 (炉心損傷を) 瞬時に判断するのは難しかった」 と述べた。

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