例えば1989年の天安門事件は、国家の復興を求める学生の反乱という、この国では称賛されている伝統を受け継いだ出来事だった。同様な事件は1919年や1935年にもあり、どちらも外国人に辱められたという認識が引き起こしたものだった。
そうした歴史上の事件を知っていれば、なぜ中国当局が、自分たちは外国との対応で弱みを見せたという批判に弱いと思っているのか、理解しやすくなるだろう。
もっとも、中国国家博物館の展示を見れば、中国政府がその政治的正統性の源と位置づけている国家主義をいかに煽っているかもはっきりする。
世界の将来に備えるために歴史と向き合え
もし外国の首脳たちが中国の過去についてもっと知識を持っていれば、中国に対応する時に間違いなく役立つだろう。しかし、教養のある欧米人たちは、お互いの歴史についてはかなりよく知っているのが普通だが、中国史についてはほとんど知らない。
英国の平均的な政治家は、米国のニューディールについてはいくらか知っているだろうが、中国の新文化運動については何も知らないだろう。また、米国のリンカーン大統領についてはかなりよく知っているだろうが、中国の唐王朝についてはほとんど知らないだろう。
教養のある欧米人が知っている数少ない出来事は毛沢東時代のもの、つまり、中国がまだ実際よりも良く見せかけようとしている時代の出来事にほかならない。
ということは、中国と欧米の両方にとって有用な学習過程が存在することになる。まず、欧州と米国の学校は、中国の長い歴史を子供たちに教える努力をもっとすべきだろう。そして中国人は20世紀の自国の歴史を、これまでよりも正直かつオープンな姿勢で検証し始めるべきだろう。
両者が中国の過去に向き合えば、世界の未来に対する準備がそれだけ進むのではないだろうか。
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