紙面から(2月21日)/福島原子力事故と安全対策
過酷事故対策をとりまとめ
2012/03/05
四国電力伊方発電所の定期検査では、非常用ディーゼル発電機の分解点検が行われた
北陸電力も今後2年程度で実施する15項目の対策を報告書に明記した。 中国電力は2年以内に防波壁を15メートル級まで増強するほか、40メートル程度の高台に緊急用ガスタービン発電機を設置する対策も盛り込んだ。
電力各社は緊急安全対策に加え、核燃料が溶融するといったシビアアクシデントの対応策も取りまとめた。 政府が国際原子力機関(IAEA)への報告書で示した福島第一事故の原因を踏まえ、昨年6月7日に各社へ包括的安全対策の実施を指示していたことへの対応だ。
電力9社と原電、日本原子力研究開発機構の11社は同月14日、シビアアクシデントに対応する包括的な安全対策をまとめて保安院に報告。 炉心損傷などシビアアクシデントの発生を想定した上で、 (1) 中央制御室の作業環境確保 (2) 発電所構内の通信手段確保 (3) 高線量対応防護服などの資機材確保 (4) 水素爆発の防止対策 (5) がれき撤去用の重機配備--の5項目について対応状況や実施計画を示した。
政府が電力各社に指示した緊急安全対策に対して、立地自治体からは津波対策にとどまる緊急対策だけでは不十分として包括的な安全対策を求める声が上がっていた。 そのため、保安院は包括的対策への評価を実施した上で、立地自治体への説明を通じ停止プラント再稼働への理解を得たい考えだ。 (おわり)
2月21日の紙面ではこのほか、 「原子力を問う 識者の声」 と 「電力各社の原子力安全対策」 を掲載しました。 「原子力を問う 識者の声」 では、鈴木光司氏 (作家) 、橘川武郎氏 (一橋大学大学院教授) 、真山仁氏 (作家) 、高嶋哲夫氏 (作家) 、山名元氏 (京都大学原子炉実験所教授) など13人から、原子力発電に対する考え方をうかがっています。 「電力各社の原子力安全対策」 では、原子力事業者11社の対策をさらに掘り下げてご紹介しています。ご興味のある方は、有料データベースをご活用いただくか、または新聞の一部売りもしておりますので、ぜひご覧ください。
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