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リチウム電池:新材料、筑波大が開発 充放電、効率8倍

 高効率のリチウム電池の新材料を、守友浩・筑波大教授が開発し、15日付の応用物理学会誌に発表した。既存の最高水準の材料と比べて8倍も効率よく充放電できるという。電気自動車の車載電池などにつながる新技術として注目される。

 新素材は、鉄、マンガン、炭素や窒素で構成されるプルシャンブルー化合物。格子間隔が0・5ナノメートル(ナノは10億分の1)のジャングルジム構造をしている。この間隔はリチウムイオン約5個分あり、出入り口が広いためにリチウムイオンが高速で出入りできると考えた。

 実験ではプルシャンブルー化合物のナノ粒子(粒径50ナノメートル)を1平方センチの薄膜にして電極と密着させた。8分かけて0・01ミリアンペアを充電後に一気に放電すると、1グラム当たり85ミリアンペアの電流を得た。放電時間は1・1秒だった。

 筑波大によると、既存材料で最高の放電性能はオルビン化合物の9秒。この化合物は酸素を含むために時間とともに酸化して品質が劣化するが、新素材は酸化物ではないため30回の充放電でも劣化しなかった。守友教授は「電池に使うには放電時の発熱などの課題があるが、材料自体に驚異的な潜在能力がある」と話す。【安味伸一】

毎日新聞 2012年3月15日 東京朝刊

 

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