九州電力は14日、やらせ問題の信頼回復策として、経営陣が利用者の意見を直接聞く「お客さまとの対話の会」を初めて福岡市で開いた。4月に社長に就任する瓜生(うりう)道明副社長らが経済・市民団体の関係者ら13人と意見交換。参加者からは九電の企業体質に対する厳しい意見が相次いだ。
消費者との対話は、やらせ問題を検証した第三者委員会が提言。九電が各種団体に協力を呼び掛け、市民団体や青年会議所の代表者や大学生などが出席した。
瓜生氏は冒頭、やらせ問題に触れ「類似の事案がもう一度起これば、私どもの会社はないという危機感を持っている」と、声を詰まらせながら改革への決意を示した。
参加者からは「電気が足りないというのは、原発再稼働のための口実ではないか」「(原価に利益を上乗せする)総括原価方式で守られていることに疑問を感じる」などの発言が出た。
こうした厳しい声に対し、瓜生氏は「今までは社員が電気を売ってやるという立場だったのではないかと不安感がある」などと述べ、「電気料金で会社が成り立っているという認識をもう一度持ちたい」と応じた。
会場で脱原発を訴えた九州大の田北雅裕専任講師は終了後、「今回で疑問がすべて解消されたわけではなく、信頼回復に向けて何度も開いてほしい」と話した。対話会は16日に大分市であり、4月ごろまでに九州各県で開く。一般には非公開。
=2012/03/15付 西日本新聞朝刊=