東電:企業向け電気料金17%値上げ 4月から

2012年1月17日 20時46分 更新:1月17日 23時48分

東京電力本店ビル(中央)=根岸基弘撮影
東京電力本店ビル(中央)=根岸基弘撮影

 東京電力は17日、4月から企業向け電気料金を平均で約17%値上げすると発表した。福島第1原発事故後の燃料費増で悪化した収支の改善が目的で、年間約4000億円の収入増を見込む。企業からは反発の声が上がるが、西沢俊夫社長は記者会見で、家庭向けについても「できるだけ早く値上げを申請したい」と訴えた。

 値上げは1キロワット時あたり2円58銭~2円61銭を上乗せするもので約24万の契約が対象。東電が示したモデルケースでは、大規模工場(契約電力6000キロワット、月間使用量240万キロワット時)で年間約7431万円(値上げ率18.4%)、中小のスーパーマーケット(同150キロワット、同3万3000キロワット時)で年間約103万円(同13.4%)の負担増になるという。

 値上げ幅は東電と顧客との個別交渉で決まり、政府認可の対象外。政府は東電に、電力を多く消費する産業などに料金面で配慮するよう求めているが、強制力はない。企業は東電以外の電力会社に乗り換えたくても、新規参入業者の東電管内のシェアは6%程度。値上げを受け入れざるを得ない状況だ。

 東京都内で電子部品のメッキ加工を手がける中小企業幹部は「値上げはきついが、電気がないと仕事にならない」とため息をつく。メッキ工程は電力消費が多い。工場一つで電気代は毎月100万円以上。値上げの負担は月10万円を超えそうだ。首都圏に複数の店舗を持つ大手百貨店も「数億円の影響が出る」と懸念する。経済同友会の長谷川閑史代表幹事は「東電は値上げの算定根拠や期間、経営の合理化など消費者が納得する説明をすべきだ」と注文をつけた。

 今回の値上げは燃料費増の穴埋めが目的で、「賠償費用や廃炉費用、被災発電所の復旧費などは盛り込んでいない」(西沢社長)という。東電は今後も原発再稼働は難しいとみられ、企業向けの値上げだけでは経営改善は難しい。家庭向けの値上げも急ぎたい考えだが、枝野幸男経済産業相は17日の記者会見で「私の認可が必要」とけん制した。【立山清也、和田憲二】

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