将来の月面探査に備えて研究開発が進められている月探査ロボットの試作機が完成し、月面に似た環境の砂丘で、ロボットの性能を確める実験が行われました。
月探査ロボットは、JAXA=宇宙航空研究開発機構が将来の月面探査に欠かせない技術を取得しようと、おととしから国内の大学や企業と共同研究を進めているものです。
13日は、完成した7台の試作機が静岡県浜松市の海岸にある中田島砂丘に初めて勢ぞろいし、このうちの4台のロボットを使って走行テストが行われました。
砂丘は細かな砂や岩などで覆われた月の表面と似ているため、実験の舞台にはうってつけで、このうち水の探査を目的に開発された東京工業大学のロボットは、砂にめり込まない柔軟性のあるタイヤが特徴で、滑りやすい砂地の急斜面もスムーズに上り下りしていました。
大手ゼネコンの研究所が開発した月面基地を放射線から守るフェンスを作るロボットは、土のう袋に砂を詰め込んで積み上げる作業をしましたが、途中で機械が砂をかんでしまい、思うように動かず、実験室と実際の現場との違いを感じていました。
月面基地を巡っては、政府の懇談会が2020年以降の実現を目指す計画を打ち出していますが、多額の予算がかかることから具体化していません。
JAXAの西田信一郎室長は、「いつでも実現できるように課題を一つ一つクリアしていきたい」と話しています。
月探査は、1950年代の終わりから1970年代中ごろにかけて、旧ソビエトのルナ計画やアメリカのアポロ計画で、月面着陸や有人探査が活発に行われましたが、その後、一時途絶えました。
再び脚光を浴びたのが、1990年代に入ってからで、日本が1990年に打ち上げた「ひてん」によって、日本が、旧ソビエト・アメリカに続いて月に探査機を送り込んだ3番目の国になりました。
その後、アメリカやヨーロッパ、そして中国、インドが相次いで探査機を打ち上げ、再び月探査ラッシュの時代を迎えています。
中でも月面の鮮明なハイビジョン映像の撮影などに成功し、3年前に運用を終えた日本の「かぐや」の数々の成果は、新たな月探査に道を開くことになりました。
最近では、月に大量の水が存在する可能性を示唆する研究結果も相次いで出されていて、各国とも月に探査機を着陸させ、資源探査などを行う計画を検討しています。
日本もおととし、政府の懇談会が「かぐや」に続く次の月探査計画をまとめ、2015年ごろに無人の探査機を着陸させ、2020年ごろに無人の月面基地を造るとしていました。
しかし、厳しい財政事情のなかで2000億円ともされる多額の予算がネックとなって計画は具体化しておらず、研究が続けられている程度です。
また、各国とも、自国の予算だけでは負担が大きすぎるとして、世界14の宇宙機関が連携して探査計画を検討する動きも出ています。
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