常総市が、全額国の補助を受けて任意団体「常総元気塾」に委託した雇用創出事業で、雇われた3人のうち2人は元気塾事務局員だったことが、5日の定例市議会の質疑で分かった。「本来の事業目的から外れる」と指摘があったほか、委託打ち切りに伴う経費を市が一般会計から支出していたことも新たに判明した。
この事業は、厚生労働省のふるさと雇用再生特別基金事業に基づき、市が元気塾に委託した「市民コミュニティ支援事業」。当初09~11年度の3カ年計画だったが、元気塾の人件費過大請求などのため市は10年度末で委託をやめている。
質問に立った遠藤章江氏(無所属)は、途中でやめた人を含む被雇用者4人からの聞き取り調査結果として、4人は扶養家族の主婦で「2、3カ月分まとめて6万円もらった」などの証言を紹介。「元気塾のメンバーではないか。本来の事業目的である失業者ではなかった」と指摘し、雇用時の確認方法や毎月7万円を支払う委託契約との矛盾を追及した。これに対し市の糸賀達市民生活部長は「履歴書で確認した。3人は元気塾のメンバーではなく、2人は事務局員だ。賃金支払いは台帳と本人から確認している」と答弁した。
また、委託打ち切りに伴い、元気塾が別の事業者に再委託していたパソコンリース代など精算分約10万円を一般会計から支出していたことが判明。市が議会に提出した支出決議票によると、同5月27日に元気塾に支払っていた。高杉徹氏(無所属)は「元気塾の責任でやめたのだから、一般会計から支出できない」と肩代わりは不当と批判。糸賀部長は「事業終了まで委託事業であり、事業の範囲内という認識で支払った」と答えた。【安味伸一】
毎日新聞 2012年3月6日 地方版