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資金不足のため昨年10月末から運休している北部地区の民間救急ヘリコプターが企業などの支援を受け、今年4月から再開する。28日、県庁で会見したNPO法人MESHサポートの小濱正博理事長は「過疎地域に救急ヘリは必要だ。支えていただいた個人や企業に感謝したい」と述べ、継続した支援を訴えた。北部の医療過疎地域からは、行政の積極的な対応を求める声も上がっている。
救急ヘリの運航には、これまで年間約1億円かかっていたが、東日本大震災などの影響もあって、寄付が伸び悩み必要な資金が確保できなくなっていた。
ヘリ運用のネットワークとノウハウを持つ宮城県のNPO法人に委託費を支払い、健康食品などを扱う株式会社DHC(本社・東京)が、ヘリと運航スタッフを安価に提供することで、MESHは年間運営費が、約6000万円に抑えられるようになった。
運航費は削減できたもののおおむね1年間の運航しか、見込めないという。今後、県や北部12市町村にも公的支援を呼び掛ける。
小濱理事長は「これまで通り患者と医師を運ぶことができ救命率の向上が図れる。医療環境が整わない限り、若い家族も定住できず人口も増えない。中南部との格差是正のためにも継続的に運用できるよう、協力してほしい」と訴えた。
総合病院がある名護市内まで救急車で約1時間半かかる国頭村安田区の神山担治区長は「再開できて本当に良かった」と喜ぶ。一方で、運航が寄付金に頼らざるを得ない状況に「道路などのインフラ整備も大事だが、命があってこそ。一括交付金などを活用し、行政的に運航を支援する仕組みを考えてもいいのではないか」と指摘した。
北部広域市町村圏事務組合理事長の稲嶺進名護市長は「市民の多くが心配していたことなので、ほっとしている」としつつ、今後の支援策について「担当課から詳しい状況を聞き、対応できることがあるか、検討したい」と述べた。