韓国の大企業20グループのうち、1、2位のサムスン、現代自動車両グループをはじめとして、ロッテ、現代重工業、韓進、ハンファ、東部、現代の計8グループが系列会社間で株式の三角持ち合い構造を維持している。
アジア通貨危機以降、大企業グループの出資構造が批判を浴び、LG、GS、SK、斗山、CJの各グループは、持ち株会社が系列会社を傘下に置く形態へと転換したが、三角持ち合い構造を維持するグループも多い。
三角持ち合いとは、A社がB社、B社がC社、C社がA社にそれぞれ出資するなど、グループ内で循環的に出資する構造を指す。4社以上が連鎖しているケースもあり、韓国では「循環出資」と呼ぶ。例えば、現代自動車グループの場合、現代モービス→現代自動車→起亜自動車→現代モービスという株式の持ち合いがそれに当たる。三角持ち合いにより、大企業のオーナーは少ない持ち株で多くの系列企業に対する支配権を行使できる。
政権が交代するたびに、財閥改革の象徴として「三角持ち合いの禁止」が叫ばれるものの、それが実現しないのには理由がある。コストの問題だ。
サムスングループが三角持ち合いを解消し、持ち株会社制に転換するには、20兆ウォン(約1兆4600億円)を超える現金が必要となる。持ち株会社制に転換するためには、李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長一族が持ち株会社を設立した上で、サムスン生命、サムスン電子など上場系列企業の株式を20%以上確保する必要がある。もし民主党案に沿って、三角持ち合いだけを解消し、既存の系列企業を垂直系列化するだけならば、コスト負担は軽減できる。サムスンSDIが保有するサムスン物産株(7%)、サムスン物産が保有するサムスン電子株(4%)をサムスン電子かサムスン生命が買い取れば、ひとまず三角持ち合いは解消する。