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北海道:ジンギスカン離れ? 道内輸入15年で4割超減

輸入減少が続く羊肉。大規模スーパでもジンギスカン用の売り場は大きくない=札幌市西区のスーパー「コープにしの店」で
輸入減少が続く羊肉。大規模スーパでもジンギスカン用の売り場は大きくない=札幌市西区のスーパー「コープにしの店」で

 ◇ジンギスカン世代高齢化/割安感薄れ/外食料理へ

 北海道を代表する料理の一つ、ジンギスカン。ところが、最近、道内の羊肉の消費量が低下しているようだ。スーパーでは家庭向けの販売が減少しており、ジンギスカンに慣れ親しんだ世代の高齢化や少子化に加え、牛肉や豚肉が羊肉よりも安価になったことなどが背景にあるとみられる。ジンギスカンは店などで食べる特別な料理という位置づけに変わりつつあるのかもしれない。【吉井理記】

 国内の羊肉は、95%程度を豪州、ニュージーランドからの輸入に頼っている。主に道内向け輸入羊肉の窓口となっている函館税関での95年の輸入量は1万4500トンだったが、10年には8200トンとなり、4割以上ダウンした。道畜産振興課は「道内での消費量の統計はなく、輸入量で推定するしかない」と説明。道内で生産される羊肉が112トン(10年)で、ほぼ高級料理店向けであることを考えれば、輸入減が需要減を意味する。

 全国的に見ても、羊肉がソーセージなどの加工用として需要が盛んだった75年は約13万トンが輸入されていたが、99年には約2万6000トンに減少。健康志向や牛海綿状脳症(BSE)への懸念を反映し、全国的に「ジンギスカンブーム」が巻き起こった06年は約3万3000トンに増えたが、ブームが下火になり、10年には約1万9000トンとなった。

 道内の大手スーパー役員は「道内ではブームに左右されることはないが、少子化を背景に年々、需要は薄れている。海外産を中心に牛や豚の値段も昔より安くなり、あえて羊肉を食べる人も減っているのではないか」と分析する。

 3年前より1~2割ほど売り上げがダウンしているといい、「店によってはジンギスカン用の冷凍肉がほとんど売れないなんて話もある。限られた売り場スペースを割きたくない商品というのが本音」と明かす。

 老舗羊肉販売店「東洋肉店」(名寄市)の東沢壮晃社長は、最近の豪州の干ばつ傾向や中国の経済成長で、日本向け羊肉の輸入価格が上昇傾向にあることが大きいとみる。「近年は特に外国の影響が強い。価格上昇でスーパーの安売りセールの目玉になりにくくなり敬遠されているようだ」と話す。

 ◇「郷土の味、値下がれば」

 東沢社長は「長期的に見れば消費が減っているのは間違いない。ジンギスカンは道民にとっては外食ではなく家庭で食べるもので、郷土の味。供給価格が下がれば、道内でも羊肉の需要が増してくるのではないか」と話している。

2012年1月31日

 

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