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大間原発建設 海峡挟み深まる対立 Jパワー板挟み

震災後、建設が止まったままの大間原発

 東日本大震災の影響で建設が休止している電源開発(Jパワー)の大間原発(青森県大間町)について、津軽海峡を挟んで対岸にある北海道函館市が、福島第1原発事故を受け建設の無期限凍結を求める動きを強めている。大間町は早期の建設再開を求めており、事業者のJパワーは板挟みの状態になっている。

 「(半径30キロ圏内が避難地域に指定された)福島第1原発事故を踏まえれば、海峡を隔てて二十数キロしかない函館市民が不安を抱くのは当然のことだ」
 函館市の工藤寿樹市長は1月24日、経済産業省を訪れ、牧野聖修副大臣に詰め寄った。
 隣接市町の関係者らを従え「事故が起これば地域存続の危機にさらされる」として工事の無期限凍結と、原発から30キロ圏内の函館市の同意がなければ工事を再開させないことなどを求めた。だが、牧野副大臣は明確な方針を示さなかった。
 要望は昨年6月に続き2度目。今回は特に、11月に大間町が建設再開を国に求めたことを受けた動きだった。
 函館市はこれまで、大間原発をめぐって蚊帳の外に置かれてきた。Jパワーが1999年、国に原発の設置許可を求めて以降、住民説明会が開かれることも、市への説明もなかった。
 原発事故の発生で、市民の関心は急激に高まった。函館市も深刻な風評被害を受け、市内の観光地「湯の川温泉」では昨年3、4月に数万人規模の宿泊客のキャンセルが発生。市への大間原発に関する問い合わせも数十倍に増えた。
 工藤市長は昨年4月の市長選に初当選後、市議会などで繰り返し大間原発の建設中止を訴えてきた。市長は「大間町には町の考えがあるだろうが、市は住民の意見を伝え続ける」と凍結を強く求める方針だ。
 これに対し大間町の金沢満春町長も「工事再開が全町民の望みだ」と譲らない。
 同町は昨年末、町単独などで計2回、国に建設再開を要望した。震災前の建設予定地では町人口の27%に当たる1700人の作業員が働いていたが、工事休止で4分の1に減少。作業員宿舎の閉鎖も目立つようになった。金沢町長は「地域経済は待ったなしの状況」と語る。
 建設再開の可否については昨年末、国が「建設中の原子力施設は事業者判断」とする見解を示している。Jパワーは「建設を続ける方針だが、時期はいつになるかは分からない」としている。
 国は防災対策の重点地域を現行の原発の半径10キロから、半径30キロに拡大する方針。拡大で重点地域に入ってくる函館市の意向は重くなるとみられ、Jパワーは建設再開に際し難しい判断を迫られそうだ。


2012年03月14日水曜日


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