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LNG:1000万トン大半、日本に 全輸入の1割 中東依存、低減--露と最終調整

 ロシア・ウラジオストクで日露両国が計画している液化天然ガス(LNG)基地建設計画で、生産する年1000万トンのLNGの大半を日本に輸出する方向で最終調整していることが12日、分かった。実現すれば日本が関与するLNGプロジェクトでは最大級となる。政府はロシアからの輸入を11年の712万トン(全輸入量の9%)から2倍以上に増やすことで、LNGの中東依存度を大幅に下げるとともに、値下げにもつなげたい考えだ。【宮島寛】

 伊藤忠商事など日本の企業連合と、ロシア政府系天然ガス会社ガスプロムが昨年4月、事業化の事前調査の実施で合意。今年2月、事業費は1兆円規模と巨額でも採算は取れるとして、事業を推進することを確認した。伊藤忠などが権益を持つ、ロシア極東・サハリン沖の資源開発事業「サハリン1」のガスか、シベリア産のガスをLNGに加工し、日韓などに輸出する方針だ。

 ウラジオでの生産は17年に開始。20年前後には、11年時点の日本の全輸入量の約13%に当たる1000万トンを生産し、大半を日本に輸出。ロシアからの輸入量は日本全体で1500万トン超となり、世界で3、4位になるとみられる。

 日本は11年に消費量のほとんどを占める7853万トンのLNGを輸入し、マレーシア、オーストラリア、インドネシアが約半分を占める。だが、11年は原発停止でカタールなどから緊急輸入し、中東依存度が約2割から27%に急上昇。イラン問題でホルムズ海峡の封鎖懸念が高まり、日本は「中東依存度を減らさざるを得ない」(政府関係者)。電力、ガス会社などは、中東産の契約更新期にロシア産などへの切り替えを想定しているほか、オーストラリアからの輸入も増やす見通しだ。

 世界のLNG生産量は過去5年で約15%増加する一方、世界経済の減速で需給がだぶつき、欧州などが指標としている短期取引の価格は低下。しかし、日本のLNG調達は、価格を原油に連動させる長期契約がほとんどで、欧州より約2割割高だ。電力の3割をLNGでまかなっている日本は、脱原発依存で今後も消費が増えそうなため、欧州向けなどで価格下落基調にあるロシアから、安いガスを輸入したい考えだ。

 ただ、ロシアは06年と09年に、価格交渉が決裂したウクライナ向けのガス供給を停止。欧州にガスが届かない状態になった。このため日本はサハリン1の主要権益を持つ米エクソンモービルと連携するなどして交渉力を強化する考えだ。

毎日新聞 2012年3月13日 東京朝刊

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