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【放送芸能】

NHK「あさイチ」バンの一言って? 朝ドラ余韻 お茶の間と共に

 NHKの連続テレビ小説、通称「朝ドラ」は総合テレビでは午前8時15分に終わるのだが、朝ドラ好きに言わせれば、“8時16分”までらしい。直後の情報番組「あさイチ」の冒頭で、井ノ原快彦や有働由美子アナウンサーらが話すドラマの感想を聞きたいというのがその理由だ。ファンが気になる「あさイチ」の一言のカラクリが気になる。 (宮崎美紀子)

 「一人でドラマを見ているので、話題を共有できる同志みたいに感じる。有働さんたちが期待通りの表情をしていると笑っちゃうし、ドラマに触れない時はガッカリしますね」。朝ドラの感想を楽しみにしている東京都内の女性会社員(29)は、こう話す。

 朝ドラは二〇一〇年春の「ゲゲゲの女房」から午前八時スタートに繰り上がり、十五分から「あさイチ」が新たに始まった。

 朝ドラが八時十五分からだったころ、直後はニュースで、アナウンサーが「八時半になりました」と淡々と原稿を読んでいた。ところが今は、「あさイチ」に映像が切り替わった瞬間、前方下を見つめる井ノ原、有働、柳沢秀夫解説委員が映り、「夏木マリさん、違和感なかったですね」とか「ほっしゃんが死んでる!」など「カーネーション」の感想を話す。

 必ず朝ドラの感想を言う決まりなのか? 本番前の緊迫した時にドラマを見る余裕があるのか?

 スタジオをのぞいてみると、有働アナらは電話出演者とのリハーサルで忙しそうだったが、朝ドラが始まると、キャスター席に置かれた専用モニターにくぎ付けに。真剣に見つめたり、ふき出したりと、その姿は一般視聴者と変わらない。このモニターは八時十分ごろ撤去され、残り数分は前方にあるオンエア中の映像が出るモニターで視聴していた。

 井上勝弘チーフプロデューサーは「新番組だったので、この三人を印象づけたいという狙いもあり、冒頭はトークにした。初回の台本には『その日最も関心のあること、または朝ドラ受け』と書きました」と明かす。

 「あさイチ」は朝ドラから続けて見ている人が多く、まだドラマの余韻にひたっているはず。朝ドラの話題なら、視聴者と「八時十五分の気分」を共有できる−と考えたという。

 これに対し、違和感や不快感を持つ人の声も寄せられている。

 「情報番組に他の番組の感想は不要。時間のムダ」といった意見がその代表例で、そういう声に応えて「感想は週三回以内」と宣言したそうだ。

 最近一カ月を調べると、月−金曜で週五回の放送のうち、だいたい三回、十数秒ほどの日が多かった。ほっしゃんが演じる、主人公のケンカ仲間・北村が登場した日は、井ノ原の“食い付き”が良い。特に時代がワープして北村が遺影になっていた日は、スタジオが沸いた。

 メディアプロデューサーの澤田隆治さんは、この朝ドラ受けについて「うまいことやる。番組の間にCMが入る民放では、こんな流れは作り出せない」とうなる。番組づくりにとって大切なのは、視聴者との間で時間と気持ちを共有することだ−と指摘する。

 「話し相手もなく一人でドラマを見ている人は、井ノ原らが、ふと同じ思いを表現してくれればうれしくなる。特別な機械も使わず、双方向性を実現させた」と評価する。

 おおむね、今のところ朝ドラ受けは視聴者に容認されているようだが、「ゲゲゲ〜」から「カーネーション」まで人気が高い作品が続いていることもNHKに幸いしたようだ。朝ドラの人気がイマイチな時は、どうなるのだろう。

 

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