マンション管理業について

主な、管理業者の義務について(概略)

管理組合が委託契約の締結に際し、管理業者の義務を最低限知っておかなければなりません。

次に、下記の管理会社からの義務、説明を受けて契約内容を理事会等で具体的に検討し、
各管理組合の実情に合った又は、不利とならない様に交渉することが重要です。


マンション管理業の義務

 平成13年8月マンション管理法の施行により多くの管理組合が管理を管理会社に委託しているがトラブルが多い為、管理業者を登録制として監督し、義務を課し、管理の適正化を図ろうとしている。

 管理会社の義務に関して下記のものがあり、管理組合、区分所有者は熟知の上、注意が必要です。

A.国土交通省への登録の義務                 (マン管法53条)
B.委託契約を締結する前に、管理業務主任者による重要事項の説明(マン管法72条)
C.契約内容を記載した書面の交付               (マン管法73条/
D.管理実績、財務諸表等の情報開示等             (マン管法75条・79条)
E.修繕積立金を組合理事長名義とする等の分別管理       (マン管法76条)
F.管理事務の報告                      (マン管法77条1・2項)  

 管理業者の業務処理の原則・・・
  信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならない。
マン管法70条
 管理業者の秘密保持義務・・・・
  正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
  管理業者でなくなった後においても、同様とする。
   (マン管法80条)

<A 国土交通省への登録の義務>

登録を受けないと営業できません。(登録拒否事由に該当すると拒否される)
管理業とは・・・管理組合から委託を受け、基幹事務を含む「管理事務」を業として行うものです。
(注.基幹事務・・管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納並びに専有部分を除いたマンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整)清掃、修繕・保守のみを行うだけでは管理業になりません。

登録要件として、登録拒否事由に該当しないこと及び、財産的基礎(300万以上)を有すること、並びに一定数の管理業務主任者の設置が必要です。有効期間は5年間です。
(注.財産的基礎・・貸借対照表に計上された資産総額から負債総額を控除した基準資産額)

※ 管理業務主任者・・・国家資格です。
H13年に第1回目の試験があり、受験者57,719人、合格者33,742人、合格率58,5%でした。
管理会社は、その事務所ごとに管理組合30組合ごとに1人の成年者である専任の管理業務主任者を置かなければなりません。

<B 委託契約を締結する前に、管理業務主任者による重要事項の説明>

(委託契約締結の前に、その契約内容の判断材料として行われる説明)

※ 重要事項の内容として

1.マンション管理業者の商号又は名称、住所、登録番号及び登録年月日
 2.管理事務の対象となるマンションの所在地に関する事項
 3.管理事務の対象となるマンションの部分に関する事項 (注1)
 4.管理事務の内容及び実施方法
  (管理業者の固有財産及び他の管理組合の財産と分別管理の方法を含む。)

 5.管理事務に要する費用並びにその支払の時期及び方法
 6.管理事務の一部の再委託に関する事項        (注2)
 7.保証契約に関する事項               (注3)
 8.免責に関する事項                 (注4)
 9.契約期間に関する事項
                        (注5)
10.契約の更新に関する事項
11.契約の解除に関する事項               (施行規則84条)

上記は、法律に定められている事項であり、最低限その説明をしなければなりません。説明義務は管理業者ですが、有資格者である管理業務主任者が記名、捺印した説明書面にて説明を行います。その際、管理業務主任者証を提示しなければならず、しないときは10万円の過料の罰則があります。管理委託契約を同一条件での更新する場合も重要事項の説明が必要です。

(注1) 重要な項目なので、記載漏れがないように注意します。
(注2) 委託管理事務の内、基幹事務の一括再委託は禁止されていますが、その他の業務を部委託する場合、その内容を明確にします。
(注3) 管理費、修繕積立金を預かる場合、返還できなくなる事態に備え、高層住宅管理業協会等と保証契約を行った場合、その内容。
(注4) 管理会社が責任を負わない事由を明記。その内容は、具体的に十分把握しておく必要があります。
(注5) 9〜11は期間限定なのか、自動更新とするのか又、契約期間内での管理業者の債務不履行、違反等があった場合の契約解除の条件内容、損害賠償の条件内容等に注意が必要です。

締結前に行われる説明であり、後のトラブルにならないようにその内容の確認と把握は重要です。  

 ※ 説明の方法 説明書の交付 説明 説明会
新規、条件変更による更新 管理者、区分所有者等全員に説明会の1週間前までに
重要事項を交付
管理者、
区分所有者等全員
1週間前までに日時、場所を記載した書面を交付して開催する。
同一条件
での更新
管理者等がいる場合 管理者、区分所有者等全員にあらかじめ交付 管理者等 不要
管理者等がいない場合 区分所有者等全員に交付 不要 不要

     ※ 説明会の日時、場所については見やすい場所に掲示しなければなりません。
     ※ 1週間前までとは、説明会当日を含めず、中1週間として計算します。
     ※ 説明に際し、管理業務主任者証を提示しなければなりません。

<C 契約内容を記載した書面の交付>

(締結後、締結内容を明確にして書面化したもの)

           
書面に、必ず記載される事項

@ 管理事務の対象となるマンションの部分    
A 管理事務の内容及び実施方法(分別管理する管理組合の財産の管理の方法を含む)
B 管理事務に要する費用並びにその支払の時期及び方法
C 契約期間に関する事項        
D 免責の関する事項
E 管理業務主任者に行わせる管理業務の報告に関する事項
F 管理事務として行う管理事務に要する費用の収納に関する事項
G 管理受託契約の当事者の名所及び住所並びに法人である場合においては、その代表者の氏名

※ 書面に、定めがあるときに記載される事項

H 理事務の一部の再委託に関する定めがあるときは、その内容
I 契約の更新に関する定めがあるときは、その内容
J 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
K マンション管理業者による管理事務の実施のため必要となる、マンションの区分所有者等の行為制限又はマンション管理業者によるマンションの区分所有者等の専有部分への立入り若しくはマンションの共用部分の使用に関する定めがあるとき、その内容
L マンションの滅失し又は毀損した場合において、管理組合及びマンション管理業者が当該滅失又は毀損の事実を知ったときはその状況を契約の相手に通知すべき旨の定めがあるときは、その内容
M 宅地建物取引業者からその行う業務の用に供する目的でマンションに関する情報を要求された場合の対応に関する定めがあるとき、その内容
N 毎事業年度の開始前に行う当該年度の管理事務に要する費用の見通しに関する定めがあるときは、その内容

    DEFGKLMNの項目は国土交通省令に定める事項

締結成立後遅滞なく管理業務主任者の記名、押印のある必要事項が記載された書面を交付しなければなりません。

※ 交付方法 交付対象者
管理業者が管理者でない場合 管理組合の管理者等
管理業者が管理者等である又、
管理者がいない場合
管理組合を構成する区分所有者全員

(重要事項の説明を受け、検討した締結内容であるかを再度確認できる書面です。)

<D 管理実績、財務諸表等の情報開示等>

(管理業者の業務内容を明確にする為を)

 管理会社は、管理組合から委託を受けた管理事務について、委託契約を締結した都度、国土交通省令に定めるところにより、帳簿を作成し、各事業年度末日より5年間保存しなければなりません。
記載事項は、締結組合の名称、受託した管理事務の内容、受託料の額等です。

 管理業者は国土交通省令に定めるところにより、業務及び財産状況を記載した書類を、その事務所ごとに備えて業務に係る関係者の請求により、営業時間中に閲覧させなければなりません。その事業年度経過後3カ月以内に作成し、3年間据え置かなければなりません。
その書類とは
業務状況調書(受託契約件数、受託契約額、組合数等々を記載)、貸借対照表、損益計算書等。

<E 修繕積立金等の分別管理>

     以下を参照してください。

            管理費等の分別管理  


<F 管理事務の報告>


管理会社は、管理組合に対して管理事務の報告をすることが義務とされています。

管理組合に管理者等が置かれているときは組合の事業年度終了後遅滞なく、管理者等に対し、管理業務主任者に管理事務に関する報告をさせ、管理状況について、下記事項記載のの管理事務報告書を交付しなければなりません。

管理組合に管理者等がいないときは、組合の事業年度終了後遅滞なく、説明会を開催して区分所有者等に対し、管理業務主任者に管理事務に関する報告をさせ、管理状況について、下記事項記載の管理事務報告書を交付しなければなりません。

管理事務報告書に記載される事項
・ 報告の対象となる期間
・ 管理組合の会計の収入及び支出の状況
・ 上記以外に、管理受託契約の内容に関する事項

上記報告の際、管理業務主任者証を提示しなければなりません。(提示しないときは10万円の過料

この報告は、管理会社が管理組合に対して行われ、管理組合は管理会社の管理状況に業務不履行等がなかったかどうかを確認することでき、委託契約の内容と比較することが重要です。


今後、管理会社は委託業務に関して、契約内容に基づいて行うことが当然であり、管理組合も契約にない業務を要求することはできません。問題が起きても、原則、免責条項にあたる場合は、管理会社にその損害賠償も請求できません。締結する委託契約各条項の内容には注意が必要です。特に、管理会社が管理の対象とする部分、業務内容、その範囲、費用負担、免責、契約解除の条項は、具体的に内容を確認する必要があります。当然、管理規約との整合性も必要です。













※ 委託契約書、規約の見直し等の提案、支援もマンション管理士の業務です。

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