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弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年
【第2回】 2012年3月14日
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回転寿司事業の最終目標は海外展開!
弁護士法人は今後10年で約6倍にする
――石丸幸人・アディーレ法律事務所代表弁護士

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――弁護士法人と株式会社は会計は別で、利益の計上や、節税等の税制のメリットもない。

 確かに、法律事務所と株式会社間では、連結子会社のように利益を計上したりすることはできない。しかし、両法人の所有者は私で、共通している。例えば、弁護士法人から私が配当を受け取って、それを株式会社に出資するということはできる。

 つまり、資金の移動はできるということだ。また、雇用も異動できる。弁護士法人にいた職員を、株式会社のほうへ転籍してもらうということはできる。法人間ということではなく、私という所有者が共通することで、資金と雇用の異動は可能なのだ。したがって、リスクヘッジとしては有効だ。

――多店舗展開などは考えているのか。

 海外展開を考えている。回転寿司は日本固有の日本発のコンテンツとしてシンボリックだ。本部もアジア圏で展開したいという構想を持っている。そういった構想も本部と一致していて、ビジネスを始めた。

 例えばベトナムは有望だ。中国だったら大連。まだ決まっていないが、狙っている。

ポスト過払いバブル対策は
「寿司」の他は「地方」「その他案件」

――過払いバブルがはじけた。今後の弁護士界をどのように見ているか。

 一時より落ち着いている。やはり東日本大震災震災と2010年9月の武富士の影響が大きかった。だが、私の見方は、一部の選ばれたところに依頼者が集中しているということだ。全体の数が減っているというのもあるが、偏りが出ているといったほうが正しいだろう。

――いずれ過払いはなくなる。その先はどうするのか。寿司店経営だけでは、落ち込みのカバーはできないだろう。

 現在、私どもの事務所では債務整理案件は約1500件/月だ。そのうち、過払いが発生するのは、感覚値であるが、だいたい3から4割くらい。しかし、これは確実に先細っていく。われわれは、全体が減っていく中でもお客さんに選ばれるという自信はあるが、寿司店経営の他に二つの対策を持っている。

 一つは地方に支店をつくっていく。弁護士が増えたといっても、地方は弁護士の偏在がまだまだ見られる。弁護士が少ない地域は多い。それに、まだまだ“殿様商売”の弁護士もいる。そういうところで、支店をつくって活路を見出していく。

 もう一つは、過払いの他に交通事故や離婚などの分野を取り扱っていくことだ。

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弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年

司法制度改革から10年が経った。法曹界の2割しか機能していない現実を「2割司法」と呼んで問題視し、矢継ぎ早に司法制度が改革されてきた。市民に近い弁護士界を掲げたり、弁護士人数を増やそうと司法試験制度や法科大学院制度を整備したり、さまざまな改革を行った。同時に、過払い金返還請求という空前のバブルも到来した。しかし、弁護士界は制度の理想と現在の姿は必ずしも一致していない。改革とバブルに激しく揺らされ、ただ混乱をしているように見える。

「弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年」

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