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3.11大震災
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「災後」の市民−仙台市の調査から(2)津波からの避難/移動手段、車を選択6割

<「見てから」1割>
 東日本大震災の津波は、仙台市の想定をはるかに超えた。浸水域は海岸線から5キロ以上も離れた内陸部にまで達し、大きな被害をもたらした。
 「想定外」の大津波で、避難行動の判断も分かれた。市消防局の震災に関する市民アンケートによると、浸水被害があった地域(回答者312人)で避難したのは68.9%だった。一方、14.1%が避難せず、津波の襲来を見てから避難した人が9.9%いた。
 避難を始めた時間についても「10分後ぐらいまで」が44.7%、「30分後ぐらいまで」が37.7%、「60分後ぐらいまで」が12.6%で続いた。

<情報が伝わらず>
 すぐに避難しなかった人(75人)が挙げた理由(複数回答)はグラフの通り。「津波が来ると思わなかった」が最多で、津波の情報を知らなかったり、避難の呼び掛けが聞こえなかったりした人も一定程度いた。
 避難した理由も、「屋外の拡声装置の呼び掛けが流れていた」(52人)が、「すぐに津波が来ると思った」(101人)に次いで多く、情報提供の重要性が浮かんだ。
 市内の海岸近くや、川沿いに設置された津波情報伝達システムの屋外拡声装置は、多くが故障したまま。いかに早く、確実に災害の危険性を伝えられるか、多様な情報提供手段の確保が急がれる。
 今回の震災では、車で逃げた人が渋滞中に津波に襲われたケースも目立った。市内でも避難した人(215人)の移動手段は、車が58.6%を占め、徒歩の34.0%を大きく上回った。向かった先は、指定避難所(市立小中高校)や津波避難ビルが4割を占めた。
 政府の中央防災会議は防災基本計画で、徒歩による避難を原則とし、海沿いの津波到達時間が短い地域には、5分程度で避難できるような道路やビルなどの整備を掲げる。市は、震災復興計画で、沿岸部に津波避難用の丘や建物、車を使った避難に配慮した道路を設ける方針を示している。

[東日本大震災に関する市民アンケート]仙台市に住む16歳以上の男女1万5000人を対象に昨年11月25日〜12月22日、郵送で実施。3月1日現在の小学校区ごとの人口比率に基づいて調査対象を割り振り、11月1日現在の住民基本台帳から無作為抽出した。回答は7565人から寄せられた(回収率50.4%)。


2012年03月13日火曜日

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