東京電力福島第一原発事故の影響で、東京都民が受けた水道水や食品による内部被曝(ひばく)線量は、全身への影響で乳児48マイクロシーベルト、成人18マイクロシーベルトとの推計結果を東京大がまとめた。乳児でも一般市民の年間被曝限度(1ミリシーベルト)の20分の1、もともと体内にある放射性物質による被曝の数分の1だった。ただし、事故直後の被曝は詳細なデータがなく考慮されていないという。
東京大学の沖大幹・生産技術研究所教授と村上道夫特任講師らが、政府が食品の出荷制限などを始めた2011年3月21日から1年間の飲食による放射性ヨウ素とセシウムによる内部被曝の線量を推計した。
東京都水道局や厚生労働省などによる水道水や乳製品、野菜、魚介類、茶などの分析結果と、厚労省の年齢別の食品群ごとの平均摂取量から計算した。
東京都による乳児へのペットボトル水の配布や、厚労省による汚染食品の出荷制限の対策を考慮すると、放射性ヨウ素による甲状腺の局所的な内部被曝は乳児で1140マイクロシーベルトで、幼児は970マイクロシーベルト、成人は280マイクロシーベルトだった。
甲状腺の被曝線量を全身の線量に換算すると25分の1になる。放射性セシウムも含めた全身の内部被曝線量の推計は、乳児48マイクロシーベルト、幼児42マイクロシーベルト、成人18マイクロシーベルトになった。自然界にある放射性カリウムによる推計内部被曝線量の年約130〜220マイクロシーベルトより少なかった。
村上さんは「放射性ヨウ素による被曝は、原発事故があった昨年3月18日から20日の影響が無視できないが、データが少なく、信頼度の高い推計ができなかった」という。(大岩ゆり)