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国際
【中国土地買収】海外でも加速 国内の不動産規制も背景に
2012.3.13 22:19
【北京=川越一】中国人や中国企業による海外の不動産買収が加速している。大使館施設ではアルゼンチンなどでも土地が購入された。土地買収の中には中国政府の政治・軍事的意図が疑われた案件もあり、拒否されたケースも出ている。
全米不動産業者協会の報告書によると、2010年2月からの1年間で、中国人が米国で購入した不動産は2万3千件を超えた。投資総額は73億8千万ドル(約6千億円)で、外国人全体の投資額の9%を占める。
投資先は日本や米国にとどまらない。韓国でも昨年、計400万平方メートル以上の土地を購入した。オーストラリアやニュージーランドの農地も例外ではない。
背景には、不動産バブルの崩壊を懸念した中国政府が10年ごろから、国内の“土地転がし”を規制するため、購入戸数の制限や住宅ローンの厳格化などに乗り出したという事情がある。
また、国有地の使用権しか得られない中国国内と違い、海外では所有権を得られることも大きな魅力だ。国内の政治・経済の行く末に不安を抱く富裕層が「安全」を求めて、資産を海外に移す構図がうかがえる。
最近、問題になっているのが、中国当局が民間の投資を装いながら、国策を反映させた疑いが出た土地買収だ。昨年、中国企業がアイスランドで約300平方キロの土地買収を仕掛けたケースがこれに当たる。
将来の北極海航路や資源確保をもくろむ中国政府の政治・軍事的意図がささやかれ、アイスランド政府は結局、申請を却下。国営新華社通信は「善良な投資を安全への威嚇、政治的行為と色眼鏡で見ている。心理的な冷戦だ」と反発した。
アフリカ諸国やブラジルなどでは、将来の食糧確保のためといわれる土地の買いあさりが進み、一部で反対運動も起きている。
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