全線開業1周年を迎えたばかりの九州新幹線。13日、約6時間にわたって上下線ともストップし、各駅では、運転再開を待つ乗客らがいらだちを募らせた。窓口では切符の払い戻しを求める客らが列を作った。博多駅では在来線ホームに特急「ソニック」(7両編成)を停車させ、宿泊所として提供した。
「さくら557号」は「さくら421号」に押され、午後10時34分、筑後船小屋駅に到着。東京から熊本市水前寺の自宅に帰る途中だった西野正夫さん(78)は「物を言う元気もない」と疲れ切った表情。駅員に「駅長に合わせろ」と声を荒らげる男性客がいる中、社員旅行で熊本県の菊池温泉に向かっていた兵庫県姫路市の会社員、村上雅男さん(59)は「『あと30分、あと30分』とアナウンスがあったが結局6時間半も車内にいた。正確な情報が欲しかった」と話した。
午後9時過ぎにJR博多駅に着いた男性会社員(38)は「取引先に午後6時過ぎから博多駅で待っていてもらい申し訳ないことをした。はっきりしたアナウンスが無く困った」とぐったりした様子。
JR熊本駅では、駅員が事情説明や乗り換えなどの案内に追われた。鹿児島旅行を終え娘と乗車した奈良市の女性(60)は熊本駅で新幹線を降ろされ約4時間半、足止めされた。「『さくら』に乗りたくて来たのに。本当に災難」と憤り、博多行きの在来線臨時特急を待っていた。
就職活動で来ていた鹿児島県日置市の大学3年の女子学生(21)は「佐賀の友人の家に泊めてもらおうかと思っています」。台湾から帰国し、鹿児島に戻る予定だった男性会社員(44)は「在来線もなく、ホテルを捜すしかない。明日も予定があり朝一番でかえらないと」と困惑。出張で鹿児島に来ていた福岡県大野城市の男性会社員(41)が「一泊して明日の始発で帰ろうかと考えている。JRはしっかりしてほしい」と憤った。【松尾雅也、上村里花、澤本麻里子、宝満志郎】
毎日新聞 2012年3月14日 0時39分(最終更新 3月14日 1時27分)