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“都民が受けた放射線量”試算

3月12日 18時7分

“都民が受けた放射線量”試算
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東京電力福島第一原子力発電所の事故で東京に住む人がこの1年間に水や食品の摂取によって受けた放射線量は、一般の人が浴びても差し支えないとされる値のおよそ20分の1だったとする試算を東京大学の研究グループがまとめました。

東京大学の村上道夫特任講師らの研究グループは、福島第一原発の事故のあと、東京に住む人が水や食品の摂取によって受けた放射線量を国や自治体が行った検査データなどを基に試算しました。
その結果、暫定基準値を超える食品の出荷制限が始まった去年3月21日から1年間に受けた放射線量は、乳児で0.048ミリシーベルト、幼児で0.042ミリシーベルト、大人で0.018ミリシーベルトと推定されるということです。
放射性ヨウ素の影響を受けやすい乳児では、一般の人が1年間に浴びても差し支えないとされる値のおよそ20分の1でした。
試算では、乳児の場合、一生のうちにがんになる人は10万人当たりで3人増える計算で、ディーゼル車の排気ガスに含まれる粒子状物質のリスクをやや下回るということです。
研究グループでは、さらに暫定基準値を超える食品の出荷制限などの効果を検討した結果、乳児で44%、幼児で34%、大人で29%、それぞれがんになるリスクを低減したとしています。
乳児の低減効果のうち8%は東京都が行ったペットボトル入りの水の配布によるものだということです。
試算を行った村上特任講師は、「食品の出荷制限などは、一定の効果があったと考えられるが、実施のコストや農業に与える影響に見合ったものかどうかは検証する必要がある。こうした試算結果を基に社会として許容できるリスクを議論することが大切だ」と話しています。