石田内閣府副大臣:今回の日銀決定会合で追加緩和はない(2)
3月12日(ブルームバーグ):石田勝之内閣府副大臣(国家戦略、経済財政担当)は12日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、日本銀行が12、13の両日に開く政策決定会合では、2月に発表した金融緩和の効果を注視する姿勢で、追加緩和には踏み切らないとの見通しを示した。
石田氏は、日銀が先月の会合でこれまでの「物価安定の理解」に替えて「物価安定の目途(めど)」を導入したことについて「一定の評価はしている。以前の政策決定会合と比べると相当、変わった」との認識を示した。今回の会合について「おそらくこの前みたいな話にはならないだろう」と述べ、日銀は前回の政策効果を注視する姿勢で、追加緩和には踏み切らないとの見通しを明らかにした。
石田氏は2月下旬の副大臣クラスによる景気対応検討チームの会合に出席した山口広秀副総裁が、今後柔軟に対応していくと発言したことを紹介。これについて「結果が出なければ出せるようにまた緩和をしていく、何らかの方策、方途は取っていく」意思を示したものと解釈しているという。
日銀は2月の金融政策決定会合で、当面、消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率で「1%」を目指し、それが見通せるようになるまで「強力に金融緩和を推進していく」と表明。具体的手段として10兆円の長期国債買い入れ増額を決定した。
石田氏は1955年1月生まれの57歳。衆院埼玉2区選出で現在4期目。昨年9月の野田佳彦政権発足に伴って副大臣に就任する前は、民主党の有志議員で作る「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」(デフレ脱却議連)の中心メンバーの1人として日銀に金融緩和を求める論陣を張ってきた。2月の日銀会合には政府側のオブザーバーとして出席している。
審議委員正副総裁を含め9人いる日銀の政策委員会メンバーのうち、中村清次、亀崎英敏両審議委員はいずれも4月4日で任期が満了する。石田氏は2人の後任人事について「できれば実体経済に詳しい人がいいと個人的には思う」と語った。
政府としての円高是正に向けた取り組みとしては、中国や韓国の金融市場の整備に向けた協力、日本の機関投資家が外債を購入するための環境改善策などを検討することも紹介した。
TPP石田氏が担当する環太平洋連携協定(TPP)をめぐっては、米国では自動車業界団体「米自動車通商政策評議会」(AAPC)が日本の自動車市場は「先進国の中で最も閉鎖的」として日本の協定交渉参加に反対している。
石田氏はこうした米自動車業界に主張に対し、「日本の国民のニーズに応える車を作れば売れる。現にBMWとかベンツとかドイツの車は日本人が乗っている」と指摘。同評議会が政府・日銀の為替介入を批判していることについては「自動車産業のために為替操作なんてやっていない」と反論した。
米国とのTPP交渉参加に向けた協議については4月末から5月初めにかけての「連休ぐらいまでが大きなヤマになる」との見通しも示した。
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更新日時: 2012/03/12 14:49 JST