嘉風を軽々と持ち上げつり出しで下す把瑠都(左)=大阪府立体育会館
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◇春場所<2日目>
綱とりが懸かる大関把瑠都(27)=尾上=は嘉風を豪快につり出して2連勝とした。貴乃花に並ぶ22度目の優勝を狙う横綱白鵬も妙義龍を難なく押し倒して連勝スタートとなった。他の大関陣は、稀勢の里が小結栃煌山に押し出されて2連敗を喫した。琴奨菊は時天空を寄り切り、琴欧洲も栃乃若を寄り切って2連勝。日馬富士は新小結臥牙丸を上手出し投げで退けて白星を重ねた。2場所連続10勝の関脇鶴竜は栃ノ心を下し、関脇安美錦とともに2戦負けなし。
すさまじいパワーに館内がどよめく。把瑠都は右を差し、懐に引っ張り込んだ136キロの嘉風を高々とつり上げて前へ。まるで子どもをあしらうかのように土俵外まで運び出す“怪力”にファンから驚嘆の声が漏れる。そんな圧巻の相撲内容にも「たまたまこうなっただけ」と涼しい顔だ。
この日の朝稽古。昨年の秋場所でもろ差しを許し敗れた相手を想定し、何度も立ち合いを確認した。苦手とする小柄で動きの速い相手。全体の稽古が終わってからも取材陣には外へ出てもらって集中力を高めながら若手相手に“居残りトレ”。その効果はてきめんだった。
「どういう相撲をとったらいいかは何となく分かっている。まあ、捕まえてしまえば問題ない。私の相撲って、こんなものかも。狙い通りです」と笑った。
場所前、綱とりのポイントとして「序盤をどうしのぐか」と挙げた把瑠都。何より大事にしたかったスタートダッシュ。強烈なプレッシャーに襲われる中、2連勝という最高の形で表現できた。しかし「ホッとしない。まだ13日間もあるから。先場所は先場所。今場所は今場所。何も意識せずにいつもの場所と思ってやっていきたい」
舞台は一昨年、大関昇進を決めたゲンのいい大阪。「そのイメージを思い出しながら」と把瑠都。上昇カーブを描いて綱どりへ突き進んでいく。 (竹尾和久)
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