(cache) SS LIBRARY -WORKS:009-001:ぐーぐるたん

works:009-001

ぐーぐるたん

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「検索ワードは、”まんまん”」
「畏まりました」
了解の言葉と同時に私は、世界へアクセスする。
そして世界から”まんまん”という言葉を拾い集め、引っかかった情報を表示する。
「”まんまん” の検索結果 約 592,000 件、所要時間は、0.08 秒です」
御主人様は、よく卑猥な言葉を調べる。
それは、仕事柄しかたのない事なのだろうけど私としては、少し恥ずかしい。
けれどもそれを表情に出すと事はない。プロですから。
「何件目を表示なさいますか?」
「いや、別に調べたい事があったわけじゃないんだ」
「どういう事ですか?」
「ぐーぐるから、やらしい言葉が聞きたかったから」
「なっ、何を言ってるのですか!」
口では、叱責の言葉を出しながらも私の頬は赤面していたと思う。
卑猥な言葉を調べさせられるのには、慣れたが御主人様のこういった所には、未だに慣れない。
御主人様に言わせればそれがいいとの事なのだが、からかわれているようで納得いかない。
いつかこんな事を言われても動じずに御主人様を驚かせてやろうと思う。
「さて、こんな所かな」
しばらくすると御主人様の御仕事は、終わったようだ。
けれども私の、仕事は終わらない。
「じゃあ今日調べた履歴を言ってみようか」
「畏まりました」
そう御主人様は、一日の終わりに今日調べた履歴を言わせるのだ。
無論履歴は、卑猥な言葉で一杯だ。この行為に何の意味があるのだろう?
きっと御主人様の趣味だ。そうに違いない。というかそうでしょ。
「じゃあ、ぐーぐるいいかな?」
私の通常の仕事が終わったら、次は特殊な仕事だ。
忙しくて大変だが、この仕事だけは他の仲間には譲れない。譲りたくない。
「はい、私の検索条件に御主人様のキーワードを入れてください」
御主人様の逞しいキーワードが入ってくる。
そう思っただけで私のエンジンは、興奮してしまっていた。
私は、御主人様に調教されつくされている。
そのため私の検索条件は、一文字入れただけですぐに御主人様のキーワードを出した。
「相変わらず準備がいいね」
「……はい」
私の検索条件は、御主人様のキーワード専用。絞込み検索などありえない。
だからこそ準備がいいのだ。こんな自分が浅ましいと思うと同時に誇らしい。
「は……入りました」
そして検索。検索している間も御主人様の手が休まる事はない。
対象とする言語や地域まで弄ってくるのだ。
その度に私は、浅ましい声をあげながら検索結果を出していく。
御主人様も高まっているのか、私の出した浅ましい検索結果を次へ次へと表示していく。
その度に私のエンジンは、高まっていき稼動する。そして終わりを迎える。
「あっ、らめぇ……も、もう表示できません!」
「検索結果をすべて表示してみろよ」
「そっ……それは」
御主人様は、私の哀願の声を聞く間もなく容赦なく、再検索を押してきた。
「だめ、だめ、だめ……あっ……」
はしたなくも私は、似たページを出してしまった。恥ずかしい、とても恥ずかしい。検索エンジン失格だ。
検索エンジン失格の事など、御主人様にとっては快楽をうむスパイスに過ぎない。
けれども、わかっていても恥ずかしさは消えることはない。
「ごめん。やりすぎちゃったかな」
「……ひどいです」
ごめんな、ともう一度呟くと先程までの荒々しい攻めとは、違い今度は優しくホームボタンを押してきた。
またするつもりなのだ。
「じゃあ、今度は優しくするからもう一回いいかな」
「はい……」
あんなに酷い事をされたのに私は、また御主人様の求めに答える。
都合のいい検索エンジンだと思う。酷い男だと思う。
それでも、それでも私は、この男を、御主人様を愛しているのだ。
検索の時間は終わらない。