最終更新: 2012/03/13 22:47

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政府の福島第1原発事故の対応の遅れに批判 「司令官不在」や「会議乱立」を指摘

福島第1原発事故から1年がたつ中、政府の対応の遅れが、あらためて指摘されている。その原因として、「司令官不在」や「会議乱立」などの声が上がっている。
東日本大震災で生じた2,200万トンを超える膨大ながれきは、震災から1年たった今でも、全体の6.7%しか処理が進んでおらず、大半が仮置き場に山積みされたままとなっている。
細野環境相は3月11日、「本当にわが国に、絆があるのであれば、被災地を思う気持ちがあるのであれば、被災地のために、皆さんの力を貸していただけないだろうか」と訴えた。
がれき処理に代表される、政府の対応の遅れ。
その原因の1つとなっているのが、司令塔の不在だった。
元内閣安全保障室長で、危機管理の第一人者である佐々淳行(さっさ・あつゆき)氏は、「指揮官が不在。だから、がやがやがやがや、関係省庁みんな来ちゃって、満杯になっちゃって、それが怒鳴り合っているから声も聞こえない。数が多ければいいという、全く危機管理の原則を知らない人がやったことです。『船頭多くして船山にのぼる』という状態が、菅前首相にとっては安心だったんでしょうね」と指摘した。
東日本大震災後に立ち上げられた対策本部や会議は、「緊急災害対策本部」に「被災者生活支援チーム」、さらには「復興構想会議」に「原子力災害対策本部」、「各党・政府震災対策合同会議」など。
しかも、これらの会議のほとんどで、議事録もろくに作成されていない、信じがたい実態が明らかになっている。
野田首相は12日、「議論の全体等が、皆様には伝わらなかった部分があるかと思います。その点については、真摯(しんし)に反省をしていきたい」と述べた。
会議が乱立する一方、最近公開された会議の記録や証言から、菅前首相の「空回りのリーダーシップ」が次々と明らかになっている。
佐々氏は「危機管理というのは想像力なんです。最悪の事態を予想する能力。同時に、悪い情報を黙って我慢して聞くという、ゆとり。わたしの考えている危機管理からは、おおよそ対置的な、真逆の、やってはいけないことを全部やったと思います。一番まずいのは、朝令暮改。特に、国民に真相を伝えなかったこと。特に原子力の問題は、これ罪、万死に値します」と語った。
その中で、「置き去りにされた」と不安に感じたのは、被災者たちだった。
震災およそ1カ月後の2011年4月21日、福島・田村市内の避難所を視察した菅首相(当時)に浴びせられたのが、「もう帰るんですか? もう帰られるんですか?」との声。
この声に、すぐに戻ったものの、被災者の怒りは収まらなかった。
声をかけた男性は、菅首相(当時)に「無視されてどうするんですか、俺たちは」と話したほか、別の女性は「すごく傷つきました」と語った。
この声に菅首相(当時)は、「すみません。あの、知らなかったものですから」と釈明。
しかし、男性は「俺ら、ここで待ってましたよ、総理さん」と話し、女性は「信用できるのも、なかなか信用できないですよね」と語った。
原発事故独立検証委員会の北澤宏一委員長は12日、政府自体の初動の遅れが問題につながったと指摘した。
北澤委員長は「国家全体のやり方としては、初動に非常に問題があった。国全体の備えができていなかった。これは30年来の伝統で、できていなかった」と語った。
そうした政府の対応の遅れが、新たな被害を生んだと言われている問題がある。
放射性物質の拡散状況を予測する「SPEEDI(スピーディ)」。
放射線量の高い地域が、福島第1原発の北西方面に偏っていたにもかかわらず、当初、情報が公表されなかったため、知らずに、この地域に避難した人もいた。
放射線量の高い地域に避難した南相馬市の住民は、「相当、内部被ばくしているよ。みんな言ってるもん」、「情報さえ早く流していれば、こっちの人は逃げなかったの」などと語った。
なぜ、SPEEDIの公表は遅れたのか。
当時、経産相だった海江田氏は2月28日、「その存在を知らなかったのは、残念至極。本当に残念」と述べた。
また、2011年6月3日の参院予算委で、菅首相(当時)も、「私や官房長官、官房副長官、内閣危機管理監などには、伝達されておりません」と、SPEEDIの存在は自分に伝えられなかったと発言していた。
しかし、震災のおよそ半年前の2010年10月に行われた、静岡県の浜岡原子力発電所での事故を想定した防災訓練では、実際にSPEEDIのデータを使用して訓練が行われていた。
菅首相(当時)も「事故に関する情報は、速やかに提供しますので、住民の間に不安が広がらないよう」と述べていた。
にもかかわらず、「伝えられなかった」と弁明した菅前首相。
今後、震度7クラスの地震が、東京など日本の中枢で起こり得るという警鐘が盛んに鳴らされる中、指導者のあるべき姿とその対応が求められる。

(03/13 18:12)


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