中国が希少な金属、レアアースの輸出規制を続けていることについて、日本政府は、各国の企業が不利な扱いを受け、WTO=世界貿易機関のルールに違反しているとして、アメリカ、EU=ヨーロッパ連合とともに、中国をWTOに提訴することになりました。
ハイブリッド自動車やエアコンなどに使われる希少な金属、レアアースは、世界の生産量の90%以上を占める中国が輸出規制を行っているため、国際的な価格の高止まりが続いています。
これについて、日本はアメリカ、EUとともに、WTOに提訴することになりました。
その理由について、日本政府は、中国がレアアースの各国への輸出量を規制し、中国国内の企業と取り引き量を差別していることが、国際的な貿易ルールを扱うWTOのルールに違反している。
中国政府がレアアースにかけている「輸出税」が、中国がWTOに加盟したときの約束に違反しているなどとしています。
日本などは近く、WTOの手続きに従って中国との協議を行い、問題が解決しなければ紛争の解決に当たる専門の小委員会の設置を要請することになります。
中国政府はレアアースについて、限られた資源を保護し採掘に伴う環境破壊を防ぐ必要があるとして、生産を管理し、輸出規制を続けてきました。
ことしの輸出許可枠は、国内の31社に去年とほぼ同じ水準を割り当てると発表していますが、このうち20社については環境対策の審査に合格することが条件だとしており、輸出量がさらに減少する可能性もあります。
また、ことしからハイブリッド車の製造に欠かせないジスプロシウムなど、価格が高騰している一部のレアアースについて、別枠を設けて管理を強化する方針も示しています。
こうした政策の背景には、レアアースを活用するハイテク産業の発展が国内で遅れていることから、輸出規制によって外国のハイテク企業の中国進出を促し、技術移転を進めるねらいもあると指摘されています。
また、各国が代替品の開発を進めているとはいえ、今も中国のレアアースに大きく依存していることから、輸出規制を、いわば外交上のカードにしようという思惑もあるとみられます。
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