参院予算委員会で12日始まった12年度予算案の審議で、自民党議員は早期解散を強く迫り、対決姿勢を鮮明にした。攻勢の激しさを象徴するように審議は何度も中断に追い込まれた。ただ、党執行部は2月25日の野田佳彦首相と谷垣禎一総裁の極秘会談を受け、消費増税法案成立への協力と引き換えの「話し合い解散」も模索している。「早期か話し合いか」。解散をめぐる党内の認識の違いも浮かび上がっている。【坂口裕彦、岡崎大輔】
「話し合い解散なんてあり得ない。場合によっては首相問責(決議案)も使い、あなたを必ず追い詰める」。最初に質問に立った山本一太氏が声を張り上げた。この直前、首相は消費増税法案に関し「野党とも真摯(しんし)に議論し、(今国会の)成立を期したい」と協力を求めたが、門前払いされた。
山本氏は価格の高騰が懸念される次期主力戦闘機(FX)のF35を材料に、国会答弁に不安を残す田中直紀防衛相も追及した。12年度予算案で4機分の取得費として395億円を計上したことを踏まえ「1機99億円を超えると取得をやめるか」と質問。田中氏が「運用を含めると600億円。その範囲内で購入したい」など、運用費と取得費を混同したような答弁をしたため、審議は約15分間中断した。
野党が多数を占める「ねじれ国会」を背景に、参院自民党では問責決議などのカードを駆使すれば、野田政権を早期解散に追い込めるとの主戦論が根強い。山本氏は12日の記者会見で「目指すゴールは、4月初めの首相問責決議案の可決だ」と強調。4月上旬の12年度予算案成立以降、首相や田中氏ら閣僚の問責決議案を提出する意向をちらつかせる。
一方、こうした自民党の動きに対し、公明党幹部は「衆院側に『話し合い解散』を模索する動きがあり、参院側は問責を主張している。戦略が統一されていない」とあきれ顔だ。4月の首相問責についても「可決されたら審議がすべて止まるが、世論の批判に耐える覚悟があるのか」と、時期尚早との見方を示す。
毎日新聞 2012年3月12日 23時25分(最終更新 3月12日 23時53分)