- [PR]
事件
【故郷 大震災から1年】酪農家 できる限りのことをやろうとする気持ちが、「希望」ってことだ。
片平さんは、亡くなった男性の牧場の整理を手伝った。
「もう少し生きて牛を育ててほしかったなと思った。そのとき『みんな原発事故で苦しんでいるんだな。俺はやれるだけやってみよう』と決めた」
こだわりを捨ててジャージー牛の飼育頭数を減らし、収入減を補うため和牛を5頭飼い始めた。相馬産のジャージー牛乳を使っていることで敬遠されたジェラートの生産には、山梨や長野産などの牛乳を使うことにした。
「相馬で酪農をやるために考えられることは全てやる。生きて酪農を続ける」
正月明け、ジャージー牛の子牛が生まれた。体毛がまだ短く、人の姿を見るとおびえた様子を見せる。片平さんは牛舎の中を逃げまわる子牛を捕まえ、体が冷えないように白い毛布をかぶせた。そんな作業を日々続けながら、こう思う。
「苦しみを乗り越えてこそ、輝く人生もある。あきらめてはいけない。そのためにできる限りのことをやろうとする気持ちが、『希望』ってことだ」(前田明彦)
●体験や意見をお聞かせください【あて先】news@sankei.co.jp(都道府県か国名、年齢、性別をお書きください)
喪失のニュース
喪失の写真
- [PR]
- [PR]