事件【故郷 大震災から1年】酪農家 できる限りのことをやろうとする気持ちが、「希望」ってことだ。+(3/3ページ)(2012.3.12 21:09

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【故郷 大震災から1年】
酪農家 できる限りのことをやろうとする気持ちが、「希望」ってことだ。

2012.3.12 21:09 (3/3ページ)喪失
片平芳夫さんは、1月に生まれた子牛の世話をしていた(大西史朗撮影)

片平芳夫さんは、1月に生まれた子牛の世話をしていた(大西史朗撮影)

 片平さんは、亡くなった男性の牧場の整理を手伝った。

 「もう少し生きて牛を育ててほしかったなと思った。そのとき『みんな原発事故で苦しんでいるんだな。俺はやれるだけやってみよう』と決めた」

 こだわりを捨ててジャージー牛の飼育頭数を減らし、収入減を補うため和牛を5頭飼い始めた。相馬産のジャージー牛乳を使っていることで敬遠されたジェラートの生産には、山梨や長野産などの牛乳を使うことにした。

 「相馬で酪農をやるために考えられることは全てやる。生きて酪農を続ける」

 正月明け、ジャージー牛の子牛が生まれた。体毛がまだ短く、人の姿を見るとおびえた様子を見せる。片平さんは牛舎の中を逃げまわる子牛を捕まえ、体が冷えないように白い毛布をかぶせた。そんな作業を日々続けながら、こう思う。

 「苦しみを乗り越えてこそ、輝く人生もある。あきらめてはいけない。そのためにできる限りのことをやろうとする気持ちが、『希望』ってことだ」(前田明彦)

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