S&P:仏国債、最上位から転落…ユーロ9カ国格下げ

2012年1月14日 11時42分 更新:1月14日 12時35分

 【ワシントン平地修】米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は13日、ユーロ圏17カ国のうち9カ国の国債の長期信用格付けを1~2段階引き下げたと発表した。債務危機を巡る欧州諸国の対応策が不十分と判断したためで、ユーロ圏で経済力2位のフランスも最上位格付けの「AAA(トリプルA)」から1段階格下げされた。財政危機国を支援するための資金調達などに大きな影響を与え、危機がさらに深刻化する恐れが出てきた。

 S&Pは格付けが最低水準にあるギリシャを除くユーロ圏16カ国の国債を、格下げの方向で見直しを進めていた。格下げはイタリアやスペインなど4カ国が2段階、フランスやオーストリアなど5カ国は1段階となった。フランスとオーストリアが最上位の「AAA」を失い、キプロスとポルトガルは「投機的」とされる水準まで落ち込んだ。

 ドイツ、オランダ、ルクセンブルグ、フィンランドの4カ国が「AAA」を維持するなど7カ国は格付けを据え置かれた。また、ドイツとスロバキアを除く14カ国の格付け見通しが「ネガティブ」とされ、今後、格下げされる可能性がある。

 欧州債務危機を巡っては、英国を除く欧州連合(EU)主要国が昨年12月、財政赤字抑制などの財政規律強化策や、財政悪化国への支援強化などで合意。しかし、S&Pはこうした対策について「資金量や救済力を高めるための柔軟性に欠け、市場の圧力にさらされる国を支援するのに十分ではない」と評価。信用が低下して金利上昇することで国債の借り換えなどのコストが高まり、経済成長が低下する可能性を指摘した。

 S&Pはさらに、欧州諸国を支援するための欧州金融安定化基金(EFSF)や、フランスなどユーロ圏の主要銀行の格下げも検討している。

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