最終更新: 2012/03/13 01:48

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福島第1原発事故 故郷を取り戻すことはできるのか、飯舘村の現状を取材しました。

福島第1原発事故 故郷を取り戻すことはできるのか、飯舘村の現状を取材しました。
1年前の3月12日、絶対安全と言われていた福島第1原発1号機で爆発が起きました。
広範囲に汚染された土地の除染は、1年が経過した今も思うように進みません。
失われた故郷を、いつか取り戻すことはできるのか、飯舘村の現状を取材しました。

原発事故によって、故郷を追われて1年がたち、飯舘村の未来をめぐり、今、対立が起きている。
ある村民は「若い人とか、子どもなんて、帰って生活するような場所ではない。あれだけ汚染されていて」などと話した。
村長は「除染を諦めるってことは、どういうことなのか。われわれにとっては、ふるさとがなくなるってことでもありますけれども」などと語った。
およそ6,000人の住民が避難している飯舘村。
日本原子力開発機構による役場前の除染現場を、スウェーデンの研究者が視察のため訪れた。
今、課題となっているのが、除染した土の処理で、飯舘村の国有林に設置された仮置き場は、土のうで埋め尽くされていた。
研究者の放射線計の限界値、20マイクロシーベルト(μSv) は、すぐに超えた。
2011年3月、福島第1原発から、北西方向に拡散した大量の放射性物質。
飯舘村では、44マイクロシーベルトを記録した。
平常時の880倍という危険な数値になる。
しかし、半径30km圏外だった飯舘村の住民に、避難指示はなかった。
5年生の担任教師(当時)は「子どもたちは、あまりわからない様子で、家庭訪問の時も、お外で野球をしていた子どもたちもいて」と話した。
震災前、50頭の牛を飼っていた酪農家の長谷川 健一さん。
牛乳の出荷制限を受けて、2011年6月、全ての牛を処分し、酪農を廃業した。
長谷川さんは「情けない話だけど、もう2度と、ここで牛飼いはできないんだろうな」と話した。
すぐに全住民を避難させなかった国と飯舘村の対応に、長谷川さんは不信感を抱いていた。
長谷川さんは「村をゴーストタウンにしたくない、村にしがみついたわけだ。避難しない、飯舘村民は、そういう首長(菅野村長)、村執行部のそういう判断によって、どんどんどんどん、被ばくをしていった。これが現実」と話した。
飯舘村に設置されているモニタリングポスト。
地元紙に公表されている放射線量は、2月24日、0.7マイクロシーベルト台だった。
長谷川さんは「モニタリングポストから、5メートルくらい離れています。今、2.17、18。どんどん上がっています」と話した。
2011年4月の映像と比較すると、現在のモニタリングポストの土は、別のものになっていた。
長谷川さんは「ここで除染をやった、そのモニタリングポストの周り。その結果、今、0.7ぐらいまで下がった。ここだけ下げたって、それが村のデータとして公表される。おかしいっつうの」などと話した。
飯舘村は、FNNの取材に対して「去年(2011年)12月から、ことし(2012年)1月にかけて、国のモデル事業として、敷地を広範囲に除染した。モニタリングの測定値を下げる意図ではない」と回答した。
震災直後から、飯舘村の変化をビデオカメラで記録している長谷川さん。
2011年8月、飯舘村で行われた除染の実証実験の映像がある。
5.2マイクロシーベルトだった農地は、除染によって、1.9マイクロシーベルトに低下していた。
しかし、除染した農地のあぜ道で測定すると、3.7マイクロシーベルトを指していた。
飯舘村は、復興計画の柱として、独自の除染計画を作成した。
住宅は2年、農地は5年、そして森林は20年かけて除染するという内容で、費用総額は3,224億円だという。
飯舘村の菅野典雄村長は「わたしらとしては、やっぱり除染が全ての全てだというふうに思っています。元のようにはなりませんけれども、できるだけ住めるようには、わたしはなるというふうに思っています」と語った。
ただし、飯舘村の75%を占めているのが山林で、全ての木を伐採する除染は、非現実的という指摘もある。
飯舘村の住民は「うちあたりなんて、木切るなんてなったら、とんでもない話だ」、「強引に国は、何とか無理やりに戻そうとかみたいな感覚なのかな」などと話した。
20年近く、飯舘村の村おこしに関わってきた日大の糸長浩司教授は、飯舘村以外の場所への集団移転を提案している。
糸長教授は「子どもたちも含めて、戻るっていう意味での除染がすぐできるかっていうと、それはほぼ不可能に近いというふうに、僕は思っています。本当は、行政とボトムアップでね、一緒にやっていくっていう、そういう方向になっていないのがね、残念ではあるよね」と語った。
除染による住民の帰還を進めることが復興と考える飯舘村。
最良の選択とは何なのか、複雑な思いを胸に、長谷川さんは飯舘村を見守り続ける。
長谷川さんは「ことし(2012年)が検証の年であろうと思うな。こういう実験とか、そういうものをやって、本当に除染が可能なのか」、「いや、自分で生まれたふるさと、そう簡単にやすやすとは捨てられねえぞ」と話した。

(03/13 00:33)


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